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サイドA-8 スキルを使ってみる

ホクトは、実験を兼ねたネオアンバー・ソメイユワールド滞在1日で、次の段階の作業を行った。。

まずは、取得したスキルの一つ一つを使ってみた。


ネオアンバー・ソメイユワールドの記憶は、なぜか自然に持っているホクトではあったが、取得したスキルはその中の経験には含まれていないため、実践してみることにしたのだ。

でないと、実際に使いたいときにうまく機能させることはできないと判断した。


それは戦闘系のスキルはもちろんだが、索敵や結界、バフやストレージ収納事態にまで及んだ。

もちろん相手がいないと試すことができない盾術や解体術、体力が減ったり毒に侵されないと利用できない回復系魔法は実践できないが、それはやむを得ない。

その場その場で利用する機会を作っていくしかなかった。


なのだが回復系について毒やしびれを取り除く『キュア』については、「ディアーナの首飾り」を身に着けているので、そちらで対応でき、取得しても自分に使うことは無いスキルなのでは、とあとから気が付いた。


まあ、今は対象がいないが、そのうち仲間でもできたら補助として利用しようと、いまはあきらめた。


攻撃系魔法で獲得した風系と水系は、結構使い勝手がよさそうとホクトは感じた。

『風刃』は、言葉の通り風の刃で、Lv10の威力は直径1~2メートルの大木を、安々となぎ倒した。

『烈風刃』は、広範囲強化版で、一度の発動で森の中にちょっとした空き地を作る程度に、木々をなぎ倒した。

『風刃』はともかく『烈風刃』は、使いどころを間違えると、関係のないものまで切り裂いてしまいそうだ。


対して『水刃』は、高圧量の細い水の線が、指の先から出る魔法であった。

貫通力が同じく大木を安々と抜いてしまうほど高く、到達距離も20~30メートルあり、かつ発動後も指で位置を調整できるため、特定対象への攻撃に向いてそうだった。


『俊足』については、単に発動中は足が速くなるだけと思っていたが、それだけではなく慣性のコントロールと感覚の高速化ができることがわかった。

瞬発的な速さとしては、10倍くらいになっていると思うのだが、感覚も10倍になっているらしく体感はできない。

かわりに動いているものがゆっくり動作してたり、周囲の音が極端に聞こえなくなる、低く聞こえるようになった。

これに『隠形』をあわせるとどうなるのだろう考えて、ホクトは興奮した。


『俊足』には、上位スキルとして『飛脚』『縮地』が見えていた。

ある程度『俊足』を使いこなせたら、こちらにも挑戦してみようとホクトは考えた。


『俊足』は、移動の際の思考速度が早くなるが、対して同じく獲得した似たようなスキル『思考高速』は、思考だけが高速化されるというものであった。

魔力の消費は秒単位で行われるが、それがLv10だと3600倍、つまり1秒で1時間の思考ができるというものであった。


そういう場面があるかどうかは今のところ不明だが、緊急で考えをまとめなければいけない場面での利用には有効であると、ホクトは考えた。


ただこのスキル、弱点がふたつあった。

ひとつは高速思考状態にはいると周りの五感情報が、すべてシャットアウトされてしまうこと、もうひとつはその分おなかもすいてしまうことだった。


1時間きっちり時間が過ぎなくてもキャンセル可能な能力なので、安全地帯にいる場合、例えば家とか公共の食堂とか宿屋で、外来ノイズをなくしてちょっと考えこどをしたい場合にも使えるなと考えた。


効果がわからず、獲得した能力が『町のレストラン』であった。

これは、ホクトの期待をいい意味で外してくれたスキルであった。


獲得したときには、利用理の腕が上がるくらいに思っていたのだが、スキルというだけあって魔力を使ったゲーム的ともいえる、特殊な能力だった。

MAXのLv10まで獲得したホクトは、このスキル発動に対して『レシピ』を選択する手順があることに、使ってみて初めて気が付いた。


レシピとしてはだいたい100種類ぐらいで、ホクトもファンタジーなどで知っているような種類の食べ物、肉をやいたもの煮たもの等から始まり、魚をやいたものや煮たもの、簡単なパンやジャガイモの料理などがあった。


どれも素朴な料理ばかりで、食べるのを楽しむというよりは、おなかを満たすものという種類のものがおおかった。


(そういえば、どのラノベでも、異世界料理がおいしくなくて、転生前の料理で名声を得る話がたくさんあるよな)


で、スキルを発動したかったのだが、どれもレシピが選べず、最初は発動までいたらなかった。


何か使い方が間違っているのだろうと考えたホクトは、少し熟考の後、冷蔵庫より在庫のあるボア系の肉と、調味料を机に並べた。

再度魔法を起動すると、今度は何個かのレシピが選べた。

魔法を行使すると、湯気の立つおいしそうなレッドボアのステーキが、1瞬で出来上がった。


つまり『町のレストラン』スキルとは材料を用意して、それを満たすレシピがあれば、魔力を利用して瞬時に利用理ができるというものだった。

調理道具がまったくいらなく、調理時間も必要ないこのスキルは、食事は必須だが煩わしい生活のための時間が削れるため、ゲーム感覚でアンバー・ワールドを楽しむホクトとしては、有効この上ないに違いなかった。


『料理術』のスキルチェインとして、次に見えていたのは『町のパン屋』、『町のお菓子屋』、『町の酒屋』、『都市のレストラン』で、その先にも数多くの『?????』とかかれた未表示部分が存在していた。

現実世界でも少し食にうるさいホクトとしては、これらのスキルを全部取得、カンストしようと心に誓ったのであった。


同時に、次からはお皿やお椀など、受け皿を用意してスキルを発動させようと、机に直にのっかって湯気を立てているレッドボアのステーキをみて、心に誓うホクトであった。


★★★


小屋眼下の森に分け入ったホクトは、パッシブスキルである索敵能力を活用して、周囲の観測をしていた。


ここから最も近い村、ファーラン村とホクトの小屋までは、深い森が永遠と広がっている。

森といえば、魔物が数多く生息する地域でもある。


そもそもホクトのこの世界の記憶でも、森林地帯のほうがヒューマンや亜人の支配する地域よりもはるかに広く、そしてその森林の主は魔物という構図が、大部分を占めるはずである。

ヒューマンや亜人のほうが、少勢力なのが、この世界の常識と覚えていた。


(まさに異世界ファンタジー構図だよな。だとするとうちの爺さんは、相当変わりものだったんだろうな)


ヒューマンや亜人は人口構成は様々でも、まとまって暮らすのが普通であり、ホクトの祖父に当たるジーノのような孤立して暮らす者のほうが、めずらしい。


孤立して住んでいたのには理由がないわけでもなくて、ホクトのこの世界の記憶では、ジーノはこの森の北に広がるベガ山脈で、鉱物の採集を老後の生業としていた為、このような不便な地にホクトとふたりで住んでいたのだろう。


もっとも危険地帯であることに変わりなく、加えれば鉱物採取に赴いてたベガ山脈のほうが、はるかに危ない。

ベガ山脈は、活火山帯であるだけでなく、数種の亜竜が跋扈・徘徊する地域でもあった。


その中でもとくに厄介なのが、集団で生活するルビーレッサードラゴンは、凶暴なうえ小屋一つ分くらいの巨躯の持ち主で有名である。

いくら祖父ジーノが元A級冒険者で、鉱物の採掘が利益率が高いといっても、ひとりでは対応できないリスクがあった。

そういう意味でも変わり者といえば変わり者であった。


ホクトが、北の山脈ほどではないにしても、危険がおおい森に分け入ったのには、よっつ訳があった。

ひとつは、剣技スキルの実践である。


剣術は、相手がいないことには、発動がされないスキルであるため、実際に魔物を狩ってみようとおもったのだ。

そもそも現実世界で剣を使ったこどがないホクトが、スキルによってどのように剣を扱えるのか、もしくは補助されるのかが知りたかった。


ふたつめは、魔物のステータと自分のステータスの比較が行いたかった。

この森にすむ魔物で、ブラッド・ハイベア、グレートレッドボア、グリーンサーペントが、単体では強い魔物の認識はあったが、それがどのくらいのステータスなのかは知らなかった。

なのでこれら魔物を見つけて、鑑定スキルでステータス値を自身のステータス値とくらべてみようというわけだ。


三つめは、単にレベルアップのため、四つ目はあわよくば食材の確保のためであった。


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