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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第2章 学内新人戦編
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第8話 学内新人戦メンバー

本家から帰宅した迅と華。

春が過ぎ、暑い季節になったイリーナル学園。

初々しい1年生達はこの学園をどのように過ごすのか…


数週間が過ぎ、少し蒸し暑くなってきた今日この頃。

学園での授業を終えて俺、黒崎 迅は背伸びをした。

すると、背後から元気な声が聞こえてきた。


「それにしても思ったより回復が早くてよかったな」


「そうよ。起きたと思ったら本家のほうに行っちゃって。私たちに一言くらい言ってもよかったんじゃないの?」


「…心配しました」


学友の大樹・うさみ・かのんの3人がそれぞれこの間の件に対して意見を言う。


「それはごめんなさい。すぐに本家にいかないといけなくて…」


「華が謝ることじゃないわ」


「問題はこいつが言う気すらなかったことだよ」


大樹が俺の背伸びした手をつかみながら、文句を言う。

まあ、その点に関しては俺が悪い。


「…それにしても、アレクシスくんの件は驚きましたね…」


「ほんとだよな。一家共々心中なんて、物騒なこともあるもんだ」


「そんなことするような性格には見えなかったけどね」


…アレクシスはあの事件以降行方不明となっていたが、その後サンドロス家が一家心中を図ったことが発覚。

アレクシスも家族と共に発見されたということになっている。

まあ、実際は一家は惨殺。アレクシスは『マガイモノ』という魔物のようなものに変えられているのが真実。

全部ローブの男が関係しており、それを知っているのも現場にいた俺らと魔法協会の上層部くらいだろう。

俺が寝ている間に機密辞令が下されたらしい。


「そんなことより、お前らは新人戦でるのか?」


「おう、自分の実力を知れるいい機会だからな」


「私はどうしようかしら。身の程を知るだけになりそう」


「…私はやめときます」


3人がそれぞれの意気込みを語る。


「新人戦てのは、具体的に何するんだ?」


「もう。この間先生が説明してたでしょ?」


「…でも華ちゃん。黒崎くんは寝込んでていなかった…」


「あっ、そういえば」


思い出したかのように手をポンっとたたくお嬢。


「新人戦は1年生8人のガッチガチのトーナメント戦よ。自分で参加の胸を先生に伝えて、選手として登録してもらうの」


「それって、人数オーバーになったらどうなるんだ?」


「どうなるんだろうな。去年は人数ピッタリだったみたいだぜ」


「ふーん」


「…大抵は成績上位の8人が順当に選ばれてますね」


「中にはこのバカみたやつも稀にいるけどね」


「誉め言葉として受け取っておこう」


成績上位なら、うちのトップ3に加えて、ある程度の実力を持った奴らが選ばれるのが妥当か?

…ん?その場合…


「去年と同様なら、かのんは選手として選ばれるんじゃないのか?」


「…へ?」


拍子抜けした声で返事をする。


「たしかに。かのんなら上位8人に入っててもおかしくないな」


「夏になるまでに思ったより学園をやめた人多いもんね」


「…でも、大丈夫なはず…ですよね?華ちゃん?」


「ええ、大丈夫よ。かのんちゃんなら勝ち上がれるわ」


「珍しく華が脳筋になっているわね。そのゴリラみたい」


「お?やるきあるじゃねえか華。俺も頑張るぜ」


「トーナメントで当たっても手加減しませんからね」


2人だけで盛り上がりをみせる。

その横で呆れるうさみとプルプルと震えているかのん。


「強制でもなければ断ることもできるだろ、そんな心配するな」


「…そうだよね」


かのんは安堵する。


などと談笑しているとクラスルームの扉が開く。

ガラガラッ。


「みなさ~ん、お揃いですか~?」


佐々木先生がみんなに声をかける。


「まあ、揃ってなくても、大丈夫ですよ~。あ、席に座らなくてもいいです~。そのまま楽にしててくださ~い」


そういって教壇に立つ。


「さてさ~て、さっそく本題ですがもうすぐ皆さんが期待している学内新人戦が始まりますね~」


お嬢や大樹を見ながら話を続ける。


「まぁ~中には嫌がってる人もいますけどね~」


おい、お前のことだかのん。先生にはバレてるぞ。


「みなさん様々な感情が錯綜する中ですが。今回は出場メンバーをある程度決めさせてもらいましたので、そちらを報告させてもらいますね~」


「こんだけ息巻いてて、もう8人決まってて俺が出れないなんてオチないよな?」


「そん時は笑ってあげるわ」


「…私は入ってませんように」


腕を組みながら質問を投げかける大樹、それを鼻で笑ううさみ。

そして選ばれないように祈っているかのん。

お嬢は選ばれているので特に反応を示さない。


「え~と、まずは、主席(レオナルドくん)次席(美登くん)、そして公家院さんが自主的に参加が決定しています。あとは成績上位の方をこちらで厳正し、選考を行いました~。」


そういって、名簿が掲示される。


「いない人はあとでだれか伝えといてくださいね~」


足早に立ち去る先生。

次々と生徒たちが掲示された名簿票を確認しに行く。

それぞれ阿鼻叫喚に声が聞こえる。


「俺らも見に行こうぜ」


「…わ、わたしはあまり見に行きたくありません…」


「なに言ってるのよかのん!ほら、いくわよ」


かのんの腕を引っ張りながら、教団に向かっていく。

その後ろを大樹も追っていく。


「…お前はいかないのか?」


俺の後ろで座っているうさみに問いかける。


「…えぇ、まあ」


窓を見ながら、不愛想に返事を返す。


「大樹と同じでやる気があると思っていたがな」


「私は身の程をわきまえてるの」


「お前なら、良いところまで行けると思うがな」


「お世辞はやめて頂戴」


お世辞じゃないんだがな。

これ以上話しても、変わらない返答が返ってきそうなので、話を切り上げて前を向く。

教壇では手を挙げて踊っている大樹と膝から崩れ落ちているかのんの姿が。

お嬢はかのんの肩に手をあて、なにか話している。

俺は教壇まで足を運び、現状を確認する。


「喜んでるってことは、お前は先生たちの選考に選ばれたってところか」


「おうよ!選考理由として、『その心意気はよし』って書かれてたぜ!」


…それってかませにされてないか?

まあ、黙っておくか。


「…それで?そこに倒れている人は?」


かのんの方向を見ながら質問する。


「かのんちゃんも選考に選ばれてたの!」


お嬢は嬉しそうだ。

かのんはボソボソっと話す。


「…成績上位に選ばれたらしいです。わたしそんな優秀じゃないのに…」


それは落ちた人が聞くと嫌味にしか聞こえんな。


「それにもうひとり!」


お嬢が続ける。


「うさみも選ばれてたの」


遠くで椅子に座り、窓を眺めているうさみはまだ聞こえてない様子だ。


「伝えにいかなくちゃ」


お嬢が選ばれたことを伝えに行こうとするが、


『…えぇ。まあ』

『私は身の程をわきまえてるの』

『お世辞はやめて頂戴』


ふと、さっきの会話を思い出す。

俺は教壇においてある名簿票を確認してから、


「お嬢。ここは俺が行きます。お嬢はかのんを見ておいてください。このままじゃ干からびてもおかしくないですからね」


「そう?じゃあお願いするわ」


俺はそういってうさみのもとに歩き出す。


「…よぉ」


「…なによっ」


変わらず不愛想な態度は続く。


「自分が選ばれてご報告ですか」


「また、そう悪態つくなって。俺は選ばれてないよ」


「そう」


また窓を眺めるうさみ。

俺は続けて、


「…選ばれているのは、お前だ。うさみ」


一瞬こちらを見るが気にしてない様子で、


「…そうなのね」


こいつがいま何考えているか俺には分からない。

もっと嫌がりそうな気がしたが。

まあ会って2-3か月の付き合いだ。

こうゆうのは大樹のほうが分かるのかもしれない。

そういえばこの2人の関係性を深くは知らないな。


「なにずっと黙ってるのよ」


うさみが切り出す。


「いや、お前がなに考えているか分からなくてな」


「べつになにもないわ。気にしないで」


「…そういうならこれ以上とやかく言うつもりもない」


「助かるわ」


その後、3人も合流し5人で他愛もない話が続く。

『歓喜』

『悲愁』

『熱意』

そして『煩悶』


様々な思いが錯綜する。

それぞれの思いが交差した先にあるものは…







名簿票        選考理由

レオナルド・テリオス 主席のため

美登・H・紫翁     次席のため

公家院 華      成績上位のため

天縫糸 花音     成績上位のため

吉田 圭吾      成績上位のため

イチカ・クノウ    成績上位のため

宇佐 美鈴      実技の成績上位のため

東郷 大樹      その心意気はよし


以下の8名を厳正な判断の上、学内新人戦に推薦する。

ついに学内新人戦です。

個人的に1人で盛り上がっていますΣ(・ω・ノ)ノ!

熱い戦いをご期待ください!

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