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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
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第61話 魔人襲来③

主人公である迅は中央都市に参戦。

側近のハクノ・ビューと共に魔人3名の撃退に向かう。


「うじゃうじゃと湧いてきますね」


長髪の者は次々と出てくる警備隊のことを汚物を見るような目で見ていた。


「こいつら、自分の実力差も分からんのか?」


「…犠牲」


ガタイの良い者と小柄の者、喰嵌(くいばみ)はそれぞれの意見を口にする。


「これが人間という生物なのですよ、今後のために覚えておくといいです」


「理解できんな」


「…学習」


「もうすぐ中心部です。そこには魔力を帯びた武具が置いてあるとのこと。それを取り込んだ後、会場内の人間達を取り込めばさらなる力が我々の手に」


「そいつぁ楽しみだな」


「…歓喜」


3名の魔人は目標の場所に徐々に近づいている。

もうほとんどの警備隊も全滅状態だ。

だが、3名の魔人に立ち塞がる黒いローブを被った3つの人影が。


「まだいたのかよ」


ガタイの良い者は手から魔法陣を展開。

魔力の塊を3つの人影に放つ。

人影のうちの1人が複数の魔法陣を展開。

魔力を込めた攻撃をいとも簡単に防いでしまう。


「…あ?」


「こんな空気みたいな魔力量、初級風魔法でも対応可能ね」


複数の魔法陣を展開した人影(女性の声)は煽るように話す。


「なんだ…骨のありそうな奴がいんじゃねえか。雑魚ばっかで飽き飽きしてたんだよ。おい女、こっち来いよ?俺が殺ってやる」


「あら?もっと魅力のある誘い方は出来ないのかしら?それとも貴方の周りはそんな口説き文句で喜んでついてくるのかしら?品性のかけらもない」


「決めた。お前はおれが相手だ」


完全に頭に血が昇っているガタイの良い者は殺気を放ちながら近寄ろうとする。


「…待て鎧舎(がいしゃ)


長髪の者はガタイの良い者、鎧舎の名を呼びその場にとどめる。


「何者だ貴様ら?結界を抜けたわけではあるまい」


「誰があんな気味の悪い結界なんかに引っ掛かるとお思いですの?あんなのに入るのは桃夏くらいですわ」


2人目の人影が手を払いながら話す。

名前を呼ばれた桃夏はまたくしゃみでもしているだろう。


「それでは貴様らは部外者、というわけか。援軍が来るには早い時間帯だな」


「そんなのどうでもいいですわ。こちらは手短に貴方がたを処理しないといけませんの。早く降参するか死ぬか、どちらかにしてほしいですわ」


「…驕慢」


喰嵌は2人目の人影の言葉に言い返す。


「それはどちらの方ですの?」


「…なんで2人ともそんなケンカ腰なの?」


その場の空気に置いてけぼりな3人目の人影、黒崎 迅は頭のフードを外し、困った様子で言う。


「魔物如きに礼儀など不要です」


「そうですわ」


1人目の人影、ハクノと2人目の人影、ビューもフードを外しながら、魔物への嫌悪を言葉で示す。


「見る感じ、貴方がリーダーをお見受けしますが、取引をしませんか?」


長髪の者はリーダーと判断した俺…ではなく、ハクノに話しかける。


「…ふふっ、魔物如きは相手を判断する眼も理解する知能も持ち合わせていないのですね」


「ハクノがリーダー?確かに八華(わたしたち)の中で1番最初に見つけてもらい、全般指揮を執ってはいますけど、主人(ボス)を差し置いての発言、万死ですわ」


変わらず煽るハクノと最初は笑っていたが、最後は真顔で殺気を放つビュー。


「…そこの男性がリーダー?御冗談を。ローブを取った後も魔力のかけらも感じない彼が?」


確かにフードを恥じた今、魔力量の順で言えば、ハクノ→ビュー→俺の順番で合っている。

魔人が勘違いするのも無理のないことだ。

だが、この2人にとっては死活問題らしい。


「「殺す」」


あーあ、怒っちゃった。

別に事実なのに。


「ハクノ、ビュー」


「「はっ」」


俺の言葉で瞬時に我に返ったハクノとビューは返事をする。


「ただちにこの場を制圧する。…まじで()()()が来たらシャレにならん。とっととずらかるぞ」


「「了解」」


その言葉を皮切りに、ハクノは2つの魔法陣を展開する。

1つは俺とビューの上。

もう1つは鎧舎と喰嵌の上だ。


「なんだ?」


「…疑問」


「ハクノ・ビュー、なる早で1分…と言いたいところだが、情報も得たいし痕跡も消したいしな。5分だ」


「はっ」


「はっ。この魔法は敵を倒せば解除される仕組みですので。それでは、『次元別転移(ディマン・シオン)』」


ハクノの魔法が発動すると魔法陣の下にいた4人はその場から消える。


「なんと…転移魔法…。それにこれは座標・時間ともに問題ない。なんだこの高度な魔法は…」


長髪の者はハクノの魔法陣をみて、感動している。


「…貴方と話などしたくはないのですが、知っている情報をすべて吐きなさい。そうすれば早く終わるわ」


「…貴方の魔法、他に何があるのですか?貴方を喰らえば、私は本物に…」


長髪の者は1人で酔いしれている。



バシュンッ。



そんな奴の頬を、何かが通る。

長髪の者の頬からは紫の液体が。


「…魔物如きに時間を使うわけにはいかないの?早くしてちょうだい」


ハクノの魔法による攻撃だ。


「…フフッ、ハハハッ!貴方は私に勝てるとでも?いいだろう、我が名は長形(ちょうけい)!今から貴方を喰らうまじ…」


魔人だ!と言おうとしていた長形と名乗る者。

その声は1つの出来事で遮られてしまう。



…シュン。



ハクノの隣に魔法陣が展開され、そこから1人の男性が。


「終わったぞー」


その正体はハクノの主人、つまり俺だ。


主人(マイ・マスター)、お早いお帰りですね」


「そりゃあさっさと済まさないと…マジでやばいぞ」


俺は少し悪寒を覚えながら話す。


「き…貴様!他はどうした!?」


言葉を遮られたことより、お仲間の姿がないことを気にする長形。


「ああ、俺の相手あのデカブツだったんだが。全然話通じなくて速攻で殺ってきた」


「…は?」


長形には信じられない光景だろう。

仮にも()()()()()自分達の仲間がこんなにも早く殺された事実なんて。

しかも過小評価していた魔力空っぽの俺になんて。


「き、きっともう1人がやったんだろ!?そうに決まってる!」


「だったらビューと一緒に帰ってくるっての」


「私は別々に飛ばしましたよ?」


「ど、どんな手を使った!?」


「この手」


そう言って自分の手を見せる俺。


「もうあの者に何を言っても無駄ですよ主人(マイ・マスター)。…それに魔人もどきを否定しないとなると、やはり正解みたいですね」


ハクノは冷静に分析する。


「ま、魔人もどきとはなんだ!我々は正真正銘のまじ…」


再び魔人だ!と名乗ろうとする言葉を遮られる。


「私達は本物と遭遇したことがあります」


ハクノの一言。

その一言で長形は瞬時に黙る。


「…な、…そっ」


「ほんとだぞ?お前らとは格そのものが違うガチモン。死ななかったのが奇跡レベルのな」


俺の言葉に動揺が隠せない長形。


「う、嘘をつくな!」


「あの通り、こちらの話は通じません。ですので自白魔法で割った方が早いかと」


「それで頼む」


そんな話をしていると、



…シュン。



2度目の魔法陣展開。

長形の顔に笑みがこぼれる。


「く、喰嵌が帰ってきたか!これで2対2に…」


「まじで最悪ですわ」


魔法陣から現れたのはビュー。


「早かったじゃん」


主人(ボス)より後れを取るとは、鍛錬が足りないですわ。申し訳ありません」


深々と謝罪するビュー。


「気にすることないっての」


「な…な…」


長形の驚きを隠せない態度。

そんな態度を見たビューは、


「…あの魔人もどき、さっきと比べて変になってませんこと?」


「驚きすぎて壊れたらしい」


俺は一応フォローを入れる。


「それにしてもあのチビっ!何度も噛まれそうになって気色悪いことなかったですわっ!ハクノ!なんでわたくしの相手にしたんですの!」


「好みかと思って」


「ふざけないでくださいません!?」


「俺を無視して話を進めるな!!!」


見ると長形は自身の魔力を最大まで溜め、こちらを威嚇していた。


「お前らなんぞ、この魔力量で潰してくれるわ!」


長形の叫びが町中に響く。


「…ハクノ」


俺は長形を見ずにハクノの名前を呼ぶ。


「はっ」


ハクノは返事と同時に長形の周りに多数の魔法陣を展開する。


「なっ…」


「撃ってくれて構いませんよ?私の魔法とどちらが早いか、試しましょうか?」


「な、なめるなぁ!!!」


長形は貯め込んだ魔力を放出する。

それに対してハクノは一言呟く。


「『彼方に降り注ぐ星々プルヴォワール・ニュイテトワレ』」



ドゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ。



長形の周りに展開された魔法陣から大量の魔法が発動する。

隕石のような、はたまた別世界の爆撃のような魔法が長形に襲い掛かる。

魔法発動後、長形のいたところには無数のクレーターが。


「…これ元に戻せんの?」


「戻すより、撤退した方がよろしいかと」


「まじかよ…」


ハクノはそんな話をしながら黒ずみになっている長形に近づき、額に手をあてる。

するとハクノの手から緑色の波動が。


「…完了しました。それでは帰りましょうか」


「早く行くぞ。おっかねえ人が来る前に帰らねえとめんどいことになる」


「誰がおっかなくてめんどくさいって…?」


3人以外の凛とした声。

俺は振り向くこともなくすべてを察する。

他の2人はすぐさまフードを被るが、もう遅いだろう。

この場の誰にも気づかれることなく隠密できる実力、声を出すだけでこの威圧感。


『…終わった…』


心の中で手を合わせながら、声のする方へ振り返る。


「…ご無沙汰してます。…がはらさん」


そう。

声の主は真っ赤な髪を1つに束ねた美女、特殊部隊、FTS(フェティス)のメンバー、恋ヶ原 引子だった。

逃げる前に見つかっちゃいましたね(^-^;

それにしてもハクノ、お前どんだけ強いんだ…

底が見えねーぞ…


あ、あとあの魔人もどきの名前は、

長髪の者    長形

ガタイの良い者 鎧舎

小柄の者    喰嵌

となっております。

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