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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
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第60話 魔人襲来②

反魔法結界によって閉じ込められてしまった人々。

中央都市では3人の魔人が出現。

各勢力は結界内のため、手を出すことができない。

頼みの特殊部隊も到着に時間がかかる様子。

打つ手がない…そんな時。

1人の男との連絡がつかない状態であった。


時は少し遡る。

ここは中央都市近く。

不気味な魔力を持つ3つの存在が現れる。

その中で、長髪の者が口を開く。


「…ここが下等生物の生息地、ですか」


2人目のガタイの良い者が続ける。


「こんなちっぽけの所なんざ、すぐ破壊しちまえばいいのによ」


「…早計」


3人目の小柄な者はガタイの良い者を制する。


「すぐ破壊してしまっては、我々が貯える分の卵もなくしてしまいかねませんからね、仕方がないことです」


「…実行」


「そうですね、早速結界でも張りましょうか」


そう言って長髪の者は手を上に掲げる。

すると統合新人戦の会場を薄い結界が覆っていく。


「…あんなんで閉じ込めることができるのか?」


「我々と違って下等なる人間は民を守る習性があります。この作戦はきっとうまくはまりますよ」


この後の展開は知っての通り、会場内の実力者達は結界に手を出すことはできなくなってしまう。


「それでは使い魔を通して彼らにお話にでもしましょうか」


その後、長髪の者は会場内の人々に対して宣戦布告をする。


「さあ、行きましょうか」


3名の魔人が中央都市に足を運ぼうとする。

すると、近くの警備隊に呼び止められる。


「誰だ貴様ら!無断でここに立ち入ることは許されないぞ!」


「…喰嵌(くいばみ)


長髪の者が小柄の者、食嵌に指示をすると警備隊を襲い始める。


「「「な、なんだこいつ!?うわぁぁぁっ!」」」



バリッ…ゴリッ……ゴクンッ。



「…不味」


複数いた警備隊は喰嵌によって一人残らず食べられてしまった。


「それでは」


長髪の者がそうゆうとガタイの良い者と喰嵌はその後ろをついて行くのであった。


「…やばいってもんじゃないでしょ。こんな展開」


少し離れたところでその様子を見ていた青色のツインテール、ビューは戦慄していた。


「今の隊がいくら集まったところで時間稼ぎにもならないわ。…桃花に連絡が取れないってことは、会場の状況はこっちは分からない。幸い会場外なら連絡が取れるから、ハクノに連絡して…はぁ。背に腹は代えられないわね」


そう言ってビューはハクノともう1人に連絡を取るのであった。








場所を移して、ここはイリーナル学園。

ちょうど昼休憩中の俺、黒崎 迅はクラスメイトとともに談笑していた。


「あっちはどうなってると思う?」


「各校の実力者が集まるんでしょ?一筋縄ではいかないのは確定ね」


最初に話した茶髪の男、東郷 大樹と灰色のツインテール、宇佐 美鈴は統合新人戦の話をしていた。


「迅はどう思うよ?」


「んーそうだなあ」


考え事をしながら話す俺。

そんな俺を見てうさみは切り出す。


「ダメね。お嬢様が近くにいないから寂しくて上の空よ」


「んなんじゃねーよ」


否定するがうさみはニヤつきをやめない。


「主人離れしないとな、迅!」


大樹が肩を組んで話す。


「してるっつの!…ったく」


平凡な会話。

そんな空間を、1つの通信がぶち壊す。


『…主人(ボス)、聞こえるかしら?』


『ビューか。何か進展があったか』


通信相手はビューだ。


『進展どころじゃないわ。懸念してた連中が動き出したのよ。しかも会場は結界で手出しできない状態』


『…それは最悪な状況だな』


『ええ。ハクノはすでに現地に向かってるわ。私も通信を切り次第向かうつもりですわ。…主人(ボス)はどうします?』


『…決まってんだろ』


『そうゆうと思いましたわ。メメがすでに転移魔法の準備をしています。人気のないところに来たらメメの方に連絡をお願いしますわ』


『りょーかい』


「…どうした迅?」


俺のわずかな変化に気づいたのか、大樹は勘づいて話す。


「いや、腹いてえなと思ってな。ちょっと外すぜ」


そういって席を立つ。


「ありゃすねたな」


「…あのくらいで拗ねるタマじゃないでしょ」


大樹とうさみは好き放題言う。

そして数分後、俺は人気の少ない校舎裏に来ていた。


『…メメ』


『あるじぃ、待っておったぞ』


『すまない、さっそくはじめて…』


始めてもらってもいいか?

そう言おうとしたその時、


「…うんこする場所にしちゃあ、ちと開けすぎじゃねえか?」


「あんたがそうゆう趣味なら、仕方ないけどね」


俺は驚いた様子で振り返る。

そこには先ほど、分かれたはずの2人の姿が。


「…お前ら…なんで」


「あんたが変な嘘つくからでしょ?」


「なんかあったなら力になるぜ?」


…嘘だってバレてたってわけか。

俺も顔に出過ぎていたか?


「なんでもねーよ」


「なんもないわけないでしょ。…中央都市で何かあったわね?」


鋭いな、このツインテールは。


「…分かった、素直に言おう。今会場近くで邪魔が入ったみたいだ。俺はそれの応戦に行く」


「なるほどな。俺も連れて行けよ」


「それはできない」


「私達じゃ役不足ってわけ?」


「いや、そうじゃない」


実際そうだが。


「今から使う魔法は1人用なんだ。緊急のな」


「…それなら仕方ないか?」


「それも嘘なんじゃないでしょうね?」


なんでこんなに鋭いんだこのツンデレ女は。


「ほんとだよ、公爵家のツテでね。一刻も早く行かないといけないみたいなんだ」


「…公爵家の名前を使うのは卑怯だわ」


「なんも言えねーじゃねえかよ」


「わりいな」


「…んじゃあこれだけ約束だ」


大樹はそう言って拳を突き出す。


「この前みたいに必ず、全部守ってこい」


「それは前提の話よ。華達にケガさせてみなさい。帰ってきてからあんたをボコボコにするわ」


「…ありがとな」


「あんたのためじゃないわよ」


「頑張って来いよ」


『メメ。頼む』


『ほいきたぁ』


俺の真下には魔法陣が展開される。


「じゃあ午後からの授業、先生に上手い言い訳頼むわ」


「なっ、おい!それは自分でやれよ」


俺は一言伝言を伝え、その場から消える。


「…バカ筋肉、あんたが何とかしなさいよね」


「…うそだろ…」


取り残された2人はこの後の説明をどうすればいいか悩むのであった。







「…ふぅ、ここはっと…」


俺は無事、中央都市に転移できたみたいだ。

…ここが中央都市のどこかは分からないが。


「あ、主人(ボス)!こちらです!」


青髪の女性がこちらに気づき、手を振る。


「ビュー。すまないな、色々と大変だったみたいで」


「いえ、主人(ボス)のためならなんてことはないですわ」


にっこりと笑いながら話すビュー。


主人(マイ・マスター)。現状を報告します。魔人と名乗る3名は現在中央都市の中心部に沿って動いております。警備隊と2~3度接敵するも、正直時間稼ぎにもなっていないのが現状です」


「なるほどな。魔人と名乗るって、魔人じゃないのか?」


「それなんですが…」


ハクノが耳打ちで何かを俺に伝える。


「…ほう。根拠は?」


「ほぼ確信かと」


「それは良い情報だな」


「我々も3人ですので、数は同数。問題ないかと」


「それでいくか」


主人(ボス)、これを」


ビューは黒い被り物を俺に手渡す。

ハクノとビューも着用している。


八華(われわれ)オリジナルのローブです」


「ああ、ありがとう」


俺はそれをフードまで深くかぶる。

背中には鮮やかな黒い花。


「お嬢には微妙な顔をされたが、俺は結構気に入ってんだよな」


主人(ボス)のセンスは世界一です」


「…私は少し恥ずかしいんだけど」


ハクノはお嬢派らしい。

価値観はそれぞれだ、仕方ない。


「そういえば桃夏は?」


「やはり会場内とは連絡できない状態でして…」


「桃夏なら上手く動くことはできるでしょう。…ドジですが」


「やればできる子ってやつな。…ドジだけど」


俺も含めて、散々な言われようだな。

今頃、くしゃみでもしてそうだ。


「それとメメからの情報なのですが、防衛軍は援護にこれないみたいです。…ですが特殊部隊の1人が早急に向かっているとのことです」


「…えっ?FTS(フェティス)?前線専門みたいな人たちがここに?来るわけないでしょ?…まさか」


俺はある人物が頭をよぎる。


「…そのまさかです」


「…あの人なら30分もかからんぞ。…あの人が来るまでに魔人の討伐、そしてすべての痕跡を消して迅速に撤退。…できるか?」


「「八華(ユィットゥ)の名に懸けて」」


「それじゃあ、実行開始」


俺の合図で3人は魔人の元に向かうのだった。

いよいよ動き出した主人公!

そして次回は各戦闘を予定(*'▽')

お楽しみに!

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