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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
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第48話 つかの間の休憩

統合新人戦の1日目は終了。

各々が明日の試合に向けての準備をするのであった。

裏ではなにやら不穏な動きが…


統合新人戦の1日目が終了した。

日が沈み、皆で集まって食事をとっている。

イリーナル学園のメンツ、公家院 華、天縫糸 かのん、レオナルド・テリオス、美登・H・紫翁、イチカ・クノウ、佐々木 歪先生、的場 入先生、アルサッド・ビートレイ会長、森波 木馬、浦々 灰賀の大人数で明日の試合について話し合っていた。


「…華ちゃん、大丈夫?」


かのんは怪我明けで復帰していたお嬢、公家院 華の心配をしていた。


「大丈夫だよ、かのんちゃん。…いててっ」


先鋒戦での怪我がまだ完治していない様子がうかがえる。


「無理をしないほうが良い」


レオナルドはお嬢を労わる。

かのんは終始お嬢のことを気にしている。


「それにしても~美登くんの回復力には驚きますね~」


佐々木先生は美登の回復力に感服する。


「怪我の治りが早いなど、盾にしかならんだろ」


的場先生は相変わらずの嫌味だ。


「だからと言って無茶していいわけではないですからね~」


佐々木先生は美登の戦い方を懸念する。


「はい、気を付けます」


美登は反省しながら返事をする。


そんな話の中、自身に話題が向かないように黙っている人物が1人。


「この話は貴方も含まれるのではないでしょうか?」


ビートレイ会長はある人物にそう問いかける。

ある人物は思いあたる節があるようで、気まずそうだ。

というより、思るところしかない。


「…はいぃ」


可愛らしい声で会長の言葉を受け止める。

お嬢だ。


「たしかに公家院さんの戦い方は感心しないところがあるのは事実」


会長の話に便乗するのはレオナルド。


「わ、私だって好きでボロボロなわけないじゃないっ」


必死に弁明するお嬢。


「…華ちゃんは自分の身体をもっと労わるべきです」


かのんは不服そうに話す。


「…ごめんね、かのんちゃん」


お嬢はかのんの言葉が一番響いたらしく、反省するのだった。


「今年の1年生は仲が良くていいねえ」


ふとそう呟くのは、大会中観光と称して観客席に一度も姿を見せていなかった3年生徒会副会長、森波先輩だ。


「去年は散々だったからな」


ケラケラと笑いながら話すのは同じく生徒会の会計、浦々先輩だ。


「そこの2人は1日中、何をしていた?」


的場先生の鋭い質問が飛ぶ。


「すみません。試合までには戻ってこようと思っていたんですが、思いの外観光を楽しんでしまいまして」


「次からは気を付けますよ」


2人はバツが悪そうに謝罪する。


「まあまあいいじゃないですか~。引率は我々が行うので~」


佐々木先生は雰囲気を悪くしないように間に割って入る。


「もう少し生徒会としての自覚を持ってほしいものだな」


的場先生は釘をさすように話す。


「先生。木馬も灰賀も反省してます。この辺で許してやってください」


「…今後はお前も見張っておくんだな」


「はい、分かりました」


生徒会長であるビートレイ会長は的場先生の言葉に了承する。


「いや~ごめんね、アル」


「尻拭いばっかさせちまってるな」


森波先輩・浦々先輩はビートレイ会長に謝罪する。


「全然。いつも支えてもらってるのはこっちだから」


ビートレイ会長は笑顔で返す。


「それで~明日の試合はどうしましょうかね~」


佐々木先生は話題を戻し、1年生に問いかける。


「とりあえずは、公家院さんの体調が万全になるまでは試合は控えたほうが良いかと」


レオナルドはお嬢の試合不参加を提案する。


「えっ…?わ、私はやれます!」


お嬢は勢いよく立ち上がる。


「…華ちゃん。…わ、私も華ちゃんは休んだ方が良いと思います」


かのんはお嬢を心配し提案に同意する。


「ん~。公家院さんのやる気は分かりますが~今の状態で絶対に勝てる自信がありますか~?」


「そ、それは…」


佐々木先生の問いに、二つ返事で返答できないお嬢。


「公家院殿はわしらが頼りなくみえるのかの?」


突然の発言に皆驚く。

声がする方に振り返ると、クノウが隅で座り込んでいた。


「…クノウさん。そ、そうゆうわけじゃないわ」


「なら、よいではないか?お主のおともだちの天縫糸殿も心配しての発言じゃということは分かっておろう?」


そんなことはお嬢もよく分かっている。


「分かったわ。かのんちゃんごめんなさい」


お嬢はかのんに頭を下げる。


「…華ちゃん!?謝らないで?わ、私も過ぎた真似したと思う…」


「そんなことないわ。かのんちゃんの気持ちはとてもありがたいもの」


「…華ちゃん」


2人は互いに笑いながら微笑む。


「てか、クノウさんは何時からそこにいたんだ?」


美登は思っていたことを口に出す。


「わしかの?わしはずっとお主らとともに行動しておったぞ?試合中も一緒にな」


「…まじかよ」


クノウは一言も発していなかったとはいえ、誰にも気づかれないほどの気配遮断。

さすがはクノイチ一家の娘と言ったところか。


「それじゃ~明日の午前は公家院さんを抜かした4人で戦ってもらって~。午後からは様子を見ながら公家院さんが出れるどうか検討しましょうか~」


佐々木先生の提案に皆承諾するのであった。








ー???ー


「中央都市はどうなっていますか?」


「…賑々」


「そいつは上々だな」


3つの声が聞こえてくる。

薄暗い空間ではっきり見えないが、シルエットだけで言えば長髪の者、ガタイの良い者、小柄な者がいる。


「貴方の使い魔のおかげで都市の状況が見えるのはこちらにとって都合がいい」


「だが都市には実力者が集まってる。どうするつもりだ?」


「心配いりませんよ。今やってる催し物の詳細は教えてもらってますからね」


「ああ、あの駒か」


「…傀儡」


「厄介な人たちの場所は把握してます。彼らには織の中に入ってもらいましょう」


「…なるほど。それなら存分に暴れられるな」


「…暴動」


「今都市には優秀な魔力を持った卵が集まっています。彼らを食らうことで我々のさらなる力を手に入れ、今度こそ万有引力の魔女(グラビティ・ウィッチ)に勝ちます」


「そいつぁいい。それで?決行はいつだ?」


「…明日」


「そうです。機会をうかがいつつ、適切なタイミングで暴動を起こします」


「明日が楽しみだな」


「ええ、明日は我らの新たな門出です」


「…快挙」


「そういえば、その駒は今どこにいる?」


ガタイの良い者は駒の居場所について聞いてくる。


「彼は今都市にいるはずですよ」


「…潜入」


「現在進行形で都市の状況が把握できるってわけだ」


「そうですね」


「彼は使い魔だけでは全体を把握するのは困難。警備や探知などがあればなおのことです。ですが彼はその両者ともに引っかかる心配はない。これほど都合の良い者はいないでしょう」


「都市の奴らも気づかずってことか。いい気味だな」


ガハハッと豪快に笑う。


「…準備」


「そうですね。我々は明日に備えましょうか」


「明日が楽しみだぜ」


そういって3つの声は暗闇に消えていった。

明日、中央都市に()()が起こる。

現段階ではそれを察知するのはいない。

中央都市の警備は万全。

仮に何か起こったとしても、現状都市に集まっている人物がいれば大抵解決できる。

それほどの実力者が集まっているのだ。

…それが慢心に繋がったのかもしれない。

実力者がいる。

それはとても心強いことだが、同時に警戒が解ける原因にもなる。

今回は、少し後者の方に傾いているのかもしれない。



…だが、例外もいる。



「…やっぱり変だわ」


そう独りで呟くのは色味がかったきれいな青色のツインテールをなびかせる女性、ビューだ。


(もや)がかかってて詳しくは分からない…けど」


本来、(もや)がかかること自体、異常なことなのだ。


「都市には厳重な警備がいるわ。考えすぎかもしれないけど…。私にはそんなもの関係ないのよね」


はぁ…とため息をつくビュー。


「警備が完璧だろうがザルだろうが関係ないわ。私は主人(ボス)のために動く。主人(ボス)が華様のために動くのなら、それは八華(われわれ)も同義だわ」


そういってほかのメンバーに通信を行うビュー。


「皆にも共有して、ハクノには華様の護衛強化のお願いと桃夏には会場の不審者探しの徹底報告とメメには…」


ぶつぶつと呟きながらやるべきことを淡々とこなすビューだった。

第6話に登場した何者かがとうとう動き始めました(´・ω・`)

明日からの動きに注目ですね。

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