第46話 レオナルドVS風間
レオナルドVS風間の戦いは激しさを増す。
風間の特大魔法の前にレオナルドはどう対処するのか?
そして第2ステージの対戦相手は…?
「今だけ!ありったけの風を!『暴風』!!!」
風間の風魔法が発動する。
大規模な魔法はまっすぐレオナルドに向かっていく。
「これは~すごい魔法だね~」
観客席にいる佐々木先生も褒める。
「ふんっ」
隣にいる的場先生は鼻で笑うだけだ。
「時間を掛ければこれほどの規模の魔法を撃つことができるんですね。魔力のコントロールを生業とする青色の特色を存分に発揮してます」
ビートレイ会長も感心している。
「レオナルドくんはこれをどう防ぎますかね~?」
佐々木先生はこの現状をどう打破するのかを見極めている様子。
ドドドドドドドッ。
風間の放った風魔法はレオナルドを覆っていった。
「これで…どうだい…」
大量の魔力消費により、目に見えて疲労が分かる風間。
レオナルドの方を見て、直撃したことを確認する。
「…なんかおかしくね?」
風間は今の状況を疑問視する。
自身の放った風魔法は確かに直撃している。
だが、その魔法は当たったにも関わらず、その場に留まったままだ。
「…まさか、ね」
風間の悪い予感は的中する。
「…ション!」
風魔法の中で何やら声が聞こえてくる。
「ほんっと、化け物だよ。あんたは」
風間はボソッと呟く。
そして…
「『王剣風圧』!」
ボォォォォン。
レオナルドを覆っていた膨大な風魔法は霧散していった。
レオナルドは服を払いながら一呼吸置く。
「さすがに危なかった。対応が遅れていたら重症だったよ」
「さらっと言うじゃねえかよ」
風間は渾身の一撃を軽くいなされたことに悔しさをにじませる。
「魔法の重ね掛けで何とか押し返させてもらったよ」
「…そうかい」
「さあ、次はどうする?」
レオナルドは剣を構え、風間に問う。
「ネタ切れだっつの」
風間は投げやりに答える。
「…じゃあ、終わらせようか」
「ここら辺が潮時かね」
風間は空を見ながら独り言をいう。
ヒュゥゥゥ。
ふと周囲を漂う風を感じる風間。
気配を感じ、後ろを振り返る。
そこには自信満々でこちらを見ている水色短髪のお嬢様と灰色髪の従者の姿が。
「…はいはい、やりますよ。精一杯」
風間は観念した様子でレオナルドを見る。
残り少ない魔力で風を動かす。
攻防を繰り広げるには少々心許ない感じだ。
「やる気になったのかい?」
「怒られるんでね」
「大変だね」
「あんたのせいで…なっ!」
風間は会話と同時に走り出す。
「うおおぉぉぉっ!」
風間はレオナルドに向かって拳を振り上げる。
「…その行動に敬意を称すよ」
ザシュッ。
レオナルドは持っていた剣を振り下ろす。
風間の身体から血が噴き出す。
「いってねえなあ!」
斬られながらも右手をまっすぐレオナルドに向ける。
レオナルドは仕留められなかったことに疑問を抱く。
「殺れなかったのが不思議そうだな!そんなの簡単だぜ。斬られる場所を予測してすべての風を集めたんだよ!」
「…違う場所を斬っていたら終わりだったよ」
「運も実力のうちってね」
風間の右手に魔法陣が現れる。
「至近距離で食らいな。『突風』」
レオナルドに攻撃が通る。
「これでどうだい…」
最後の魔法により、魔力が空になった風間の息が切れる。
「再度、敬意を示そう」
顔面に魔法を食らったレオナルドは頭から血を流しながら剣を構える。
「ちっ。くっそが」
レオナルドの剣から魔法が形成される。
そして静かに魔法を唱える。
「『王剣風圧』」
ブオォォォ。
レオナルドの魔法は風間を包み込みステージ外へと吹き飛ばしていった。
『第1ステージ側の試合が終了しました。結果、イリーナル学園の勝利です』
「負けちゃったわね」
「気合が足りません」
「そう言わないの」
サンジュ学園の水炎寺 波流渦とレイリーは風間の試合結果の感想を述べる。
「…勝てるわけないんだよなあ」
救護班の治療を終え、ボロボロになりながら2人の元に帰ってきた風間は文句を垂れる。
「頑張った方じゃない?」
「よく諦めなかったと誉めてやろう」
「へいへい」
これでサンジュ学園・イリーナル学園ともに1勝1敗1引き分けと五分五分の結果となった。
あと2校の戦いが残っている中で、どれだけ勝ち星に繋げられるかが重要になってくる。
次の3戦は明日の午前と、ハードスケジュールだ。
「まあ次に活かしましょうか」
「任せてください」
「任せました」
「お前も勝つために頑張るんだ」
「もう疲れたよ…」
サンジュ学園は次の試合に向け、英気を養うのであった。
「…お疲れ様です」
イリーナル学園の天縫糸 かのんは試合後のレオナルドを労う。
「ありがとう、何とか勝てたよ。…2人の様子はどうなんだろうか?」
レオナルドは負傷して医務室に運ばれたお嬢、公家院 華と美登・H・紫翁の状態を確認する。
「…まだなにも情報がありません。休まれているのではないでしょうか?」
「幸い試合は明日だし、僕たちは2人の様子でも見に行こうか」
「…先生方とも合流しないといけませんし、医務室に集まるように連絡しておきますね」
「助かるよ」
イリーナル学園も2人の状態の確認と明日の試合の相談をすべく、医務室へ向かうのであった。
ここからはサンジュ学園とイリーナル学園の試合終了の裏で行われた第2ステージの試合にさかのぼる。
老游院VS聖マリウス学院の大将戦である。
老游院は学院のNo.2、梁 我酸が出る。
現在、老游院は先鋒戦・中堅戦ともに敗北している状況。
大将戦まで負けるとなると全敗となる。
それだけは避けられない。
なぜ学年1位が出ないのかは謎だが、この梁も相当な実力である。
そんな中、聖マリウス学院の選出は…
「早く行きなよ~」
聖マリウス学院の選抜メンバーである沙花又 陽樹は大将戦に出る選手に早く行くように促す。
「…ほんとに大丈夫か?」
同じメンバーのパーラ・ライオネルは少し心配そうである。
「だ、大丈夫です」
今から試合に行こうとしている選手、ナナ・ノルヴァックは緊張していた。
「幸いうちは勝ち越しているから気負わなくても大丈夫だ」
先ほどの中堅戦で勝ちを手にしたレイン・ザガンは緊張をほぐすようノルヴァックに声をかける。
そんなことも気にせず、沙花又は早く行くように促す。
「ほーらー」
「行かない奴は黙っとけ」
ライオネルは沙花又に注意する。
「い、行ってきますね」
ノルヴァックは手と足を同時に出しながらステージに上がっていく。
対する老游院側では、
「梁。不甲斐ないね」
「梁さん、背負わせる形になってしまってすみません」
林姉妹が梁に対して謝罪を述べる。
「気にするな…というと嘘になるが、せめて1勝を李様に届けよう」
「よろしくね」
「お願いします」
そう言って梁もステージに上がっていく。
「…えらい緊張しているんですね」
梁は硬くしているノルヴァックを気遣う。
「大丈夫です。ここで戦えないのは聖マリウス学院の名に恥じます」
「聖マリウスの、しかも公爵家の方と手合わせできるのは光栄だね」
「公爵家なんて名ばかりですよ」
「ノルヴァック家と言えば治癒系統の魔法で1.2を争う名家。それを名ばかりは、さすがに傲慢かと」
「実力が似合ってないもので」
あくまで自身の実力不足なことを訂正するノルヴァック。
「それは失礼しました」
梁は素直に謝罪をする。
『それでは大将戦を開始してください』
全体アナウンスが放送され、試合の火蓋が切られた。
「それでは話はこれくらいにして、試合に臨みましょうか」
「…よろしくお願いします」
梁は静かに拳を握り、戦闘態勢をとる。
ノルヴァックも緊張しながら身構える。
かくして、老游院の梁 我酸VS聖マリウス学院のナナ・ノルヴァックの試合が始まるのであった。
イリーナル学園VSサンジュ学園 大将戦
レオナルド・テリオスVS風間 風助
結果 レオナルド・テリオスの勝利
老游院VS聖マリウス学院 大将戦
梁 我酸VSナナ・ノルヴァック
試合継続中
しれっとレオナルドさん無敗伝説継続中(´・ω・`)