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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
42/61

第42話 先鋒戦終了

統合新人戦、初戦の戦いは引き分けに終わった。

次の中堅戦はいったい誰が出るのか。

一方、第2ステージの初戦は…


『…以上が報告となります』


『ああ、ありがとう。引き続き頼んだ』


『了解。主人(マイ・マスター)


ハクノからの連絡を受けた俺、黒崎 迅は一呼吸着く。


「…お嬢」


連絡の内容は大会の初戦にお嬢が出場し、同じ公爵家の水炎寺 波流渦との戦いに引き分けたこと。


「いつもどーりの無茶だな。水炎寺相手に捨て身とは」


毎回だが、お嬢の自己犠牲の精神には参ってしまう。

自身の身体を顧みない行動。

これもあの公家院家(くそ)の環境で育ってきた弊害だ。

これでもマシになった方。


「それに遠方に確認された妙な気配も気になる」


…何もなければいいんだがな。






「いやぁ、公家院さんはあと一歩おしかったですね~」


佐々木先生の残念そうな声が聞こえる。


「…あれのどこがあと一歩なんだ?」


隣の的場先生は不機嫌そうだ。


「とはいえ、学年1位を相手に健闘した方だと思いますよ」


親善試合から帰ってきたビートレイ会長はお嬢を擁護する。


「もう少しマシな戦い方はできなかったのか?学内大会の時もあんな戦い方をしていた記憶があるが」


「献身性のある、立派な戦い方じゃないですか~」


「あれが公爵家、ねえ」


的場先生は変わらず悪態つく。


「引き分けたのは運が良かった、というべきでしょうか?」


「…悪運がな」


佐々木先生はやれやれと言った表情を浮かべる。


「あ、先生。他の会場も試合が終わったみたいですよ」


「ふむ。結果はどうだろうな」


ちょうど、他の先鋒戦も終わったみたいだ。

結果は…





「一回戦の相手は嬢ちゃんか」


聖マリウス学院の先鋒、パーラ・ライオネルは対戦相手の女の子に向かって話しかける。


「よろしくお願いします」


老游院の先鋒、林・玉蘭(リン・ユーラン)は深々とお辞儀をする。


「悪いが手加減はできないぜ」


「大会での油断は禁物です。それでいいと思いますよ」


「分かってるじゃねえか」


「両者先鋒が出たみたいなので、試合を開始したいと思います!試合開始!」


司会の念動 勝さんの合図により、両ステージの試合開始が宣言される。


「さあ、殺り合おうや」


ライオネルは後ろに担いでいた槍を手元に取り出し、構える。


「…」


玉蘭は返事を返さず、構えをとる。


「試合には全力で集中ってか?」


ライオネルは槍を向けながら、前へ走る。

すかさず玉蘭も前方に出る。


「死ねやっ!」


ライオネルの槍が玉蘭を射抜く。



グサッ。



玉蘭の小さな身体を貫通し、血飛沫が舞う。


「…これで終わりかよ」


つまらなそうに(きびつ)を返すライオネル。

だが、ふと違和感に気づく。


「…なんだこれ?」


周囲を見渡すと、人の姿は見えない。


「レインこりゃどうなって…あっ?」


ステージの外に待機している聖マリウス学院の生徒、レイン・ザガンに声をかけるがその人物はいない。

それどころか、観客席の人もまったくいない状態だ。


「…先手を打たれてたのは、俺だったわけか」


ライオネルは自身の状況を冷静に分析し、把握する。


「…さて」


ライオネルは何かを決意し、槍を構える。

…そして、



ブシュッ。



自身の足に槍を刺す。


「ってねえなあ!」


すると、


「パーラ。聞こえているのか?」


「ライオネルさん!」


「寝てんじゃねえの?」


レイン・ザガン、ナナ・ノルヴァック、沙花又 陽樹の3者が必死にライオネルを呼びかけていた。


「…よお」


痛みを我慢しながら、同学年の仲間に声かける。


「急に止まったと思ったら自分を刺して…驚いたぞ」


「ちょっと眠たかったんでな。…それよりも」


そういってライオネルは対戦相手の方を見る。


「…いつの間にやられたか気づかなかったぜ」


「誉め言葉として、受け取っておきます」


玉蘭は両手に忍ばせた針を見せる。


「…それがさっきの正体か?」


「そうです」


あっさりと種明かしをする玉蘭。


「これに刺されてから、貴方は幻覚を見ていた。…それだけのことです」


「いつ刺されたのか見えなかったぜ」


「それは企業秘密で」


口元に人差し指をあて、ポーズをとる玉蘭。


「まあ、勝負はこれからだぜ」


「機動力を失ったその足でどうするんですか?」


「なめんなよ」


ライオネルは槍の矛先を玉蘭に向ける。

玉蘭も迎撃に備える。


「飛ばせ!突風(ブラスク・ヴァン)



ブオォォォ。



ライオネルの風魔法が発動する。

槍の先端から、壮大な風が槍となり、玉蘭に襲い掛かる。


「凄まじい威力…。でもっ」


風魔法の範囲外まで回避する玉蘭。


「…これで」


「おしまいだよなあ?」


突然近距離からの声。

反射的に振り向く玉蘭。

そこには傷だらけのライオネルが。


「…なぜ?」


旋風(トゥルビヨン・ヴァン)!」


さっきの魔法は突き刺さるような風が流れていた。

今度の魔法はすべてを覆うような激しい風が避け道を塞ぐように迫る。


「なぜ動けるかって?気合いだよ」


「…くっ」


玉蘭は両手で防御をとるが、直撃を避けられない。



ドドドドドドッ。



玉蘭のいたところは魔法により大きな損傷が。


「…やっかいだったぜ」


「林・玉蘭選手!場外によりパーラ・ライオネル選手の勝利です」


念動さんの合図により、第2ステージの試合が終了する。


『第1ステージ側の試合が終了しました。結果、引き分けです』


アナウンスにより、第1ステージの試合も終わったことが分かる。

これで先鋒戦が終了となる。


「ライオネルさん。治療します」


ノルヴァックが試合帰りのライオネルに治癒魔法をかける。


「すまねえな」


「いいえ、大丈夫ですよ」


魔法をかけると負傷した足はみるみる治っていく。


「相変わらずの馬鹿げた効力だな」


「そんなことないですよ」


褒めるライオネルに謙遜するノルヴァック。


「あっちは引き分けか」


アナウンスを聞いたレインは独り言のように呟く。


「…波流渦…華…」


「同じ公爵家として気になるんすか?」


「友人でもありますからね」


「なるほどね」


沙花又の質問に答えるノルヴァック。


「次の試合に備えるぞ」


レインは次の試合に向けてチームを引き締めるのであった。






「玉蘭大丈夫?」


姉の美蘭は心配そうに妹の玉蘭に問いかける。


「お姉ちゃん…ごめん負けちゃった…」


「大丈夫!お姉ちゃんが仇とるから」


「次は負けられないぞ?」


隣から梁 我酸(リャン・ウォンスァン)が投げかける。


「分かってるわよ…。絶対負けられないわ」


そういって美蘭は上の階を見つめる。


「…李様がみているもの。負け越しは死を意味するわ」


「分かっているならいい」


梁は静かに口を閉じる。


老游院は李が見ている中、不甲斐ない戦いは絶対にできない。

1敗してしまった以上、後がない彼らは背水の陣だ。

次の試合はどんな戦いを見せてくれるのか?






「さあさあ、どんどん参りましょう!次は中堅戦です」


念動が次の試合を段取りをしていく。


「…次は中堅戦だね」


レオナルドは次の試合のことを考え、選手の選考をする。


「俺がいくよ」


真っ先に名乗りを上げる人物が一人。

美登である。


「俺がいってもいいんだぞ?」


レオナルドは心配そうに問いかける。


「いや、元々先鋒に出る予定だったのが先送りされただけだ。いけるよ」


「…頑張ってください」


かのんも美登を応援する。


「頼む」


これでイリーナル学園の中堅の選手が決まった。

問題はサンジュ学園の中堅相手だが…


「誰が出ても勝つ」


「その意気だ」


「行ってくる」


レオナルドに檄をもらい、美登はステージへと上がっていく。

そんな美登の相手は…


「君が次の相手か」


美登の前に現れたのはレイリーだ。


「お手柔らかに頼むよ」


「お嬢様に不甲斐ない試合は見せられない」


「俺もクラスメイトの勝利を届けるつもりで来たからな」


「互いに悔いのないようにしよう」


「いいね」


レイリーは拳を、美登は剣を携える。


『それでは中堅戦を開始してください』


アナウンスと同時にレイリーは素早く駆ける。


美登はお馴染みの構えをとる。


互いに一触即発まで詰め寄る。



ギィィィン。



交差する音が響く。

はたしてどちらが勝つのか。

中堅戦が始まっていくのであった。





老游院VS聖マリウス学院 先鋒戦


林・玉蘭VSパーラ・ライオネル


結果 パーラ・ライオネルの勝利

先鋒戦は以上の通りになりましたね(´・ω・`)

次は中堅戦!楽しみです(/・ω・)/

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