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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
40/61

第40話 本戦開始

親善試合が終わり、いよいよ始まる大会。

初戦の相手はいかに… 


「ではさっそく対戦相手を決めていきたいと思います!」


司会の念動さんが組み合わせを発表する。


「ドキドキするね、かのんちゃん」


「…私は出るかも分からないのに緊張どうにかなりそうです…」


私達イリーナル学園、サンジュ学園、聖マリウス学院、老游院の4校はステージに集まり、準備をしているところだ。


「誰が来てもやることは変わらない」


レオナルドさんの言う通り。

誰が相手でも、絶対に勝って見せる。


「お、対戦カードが決まったみたいですね!それでは発表します!」


みんなの注目が念動さんに集まる。


「初戦の組み合わせは…イリーナル学園VSサンジュ学園!隣の方では聖マリウス学院VS老游院となりました!」


私達の初戦の相手は…サンジュ学園!

波流渦のいるところ!

ふと視線を送ると波流渦と目が合う。

やっぱり、意識しちゃうよね。


「それでは皆さん移動をお願いします!」


「初戦はサンジュ学園か。先鋒は誰が行く?」


「相手の出方次第よね」


「俺が出て様子を見ようか」


3人で話し合い、順番を決める。


「では各選手は前へお願いします!」


念動さんの合図で、先鋒はステージへ上がる。

こっちも美登さんが壇上に上がろうとする。

すると向こう側から声が聞こえてきた。


「待ちなさい」


声の主は…波流渦!


「…なにかな?」


美登さんが反応を示す。


「私の相手は貴方じゃないわ。…出てきなさい、華」


…っ。

私を、ご指名ってわけ…?


「呼ばれてるみたいだよ」


隣にいるレオナルドさんは促すように話す。

まだ戸惑っている私。

美登さんはゆっくりと私に近づいてくる。


「公家院さん、いってらっしゃい」


そう言ってステージから降りる。


「…いいの?」


少し自信のない問いかけをしてしまう私。


「先鋒にこだわってるわけでもないしね。それに、こうゆう方が盛り上がるでしょ?」


にこっと笑いながら返事をする美登さん。


「…ありがとう。行ってくるね」


「頑張って」


「気負わないように」


2人の言葉をもらって、私はステージへ上がる。


「待たせるじゃない」


「待つ余裕もないってわけ?」


「それだけ口が利けるなら安心ね」


「言ってなさいよ」


かのんちゃんは心配そうにこっちを見ていた。


「…華ちゃん、大丈夫かな?…どうか、無事で」


かのんちゃんは両手を合わせて祈るのだった。

観客席では、


「いや~青春ですね~」


「これで負けたら、とんだ恥さらしだな」


的場先生は相変わらず辛口だ。


「なんでムードを壊すようなこというんですかね~?」


「事実を言ったまでだ」


「両者先鋒が出たみたいなので、試合を開始したいと思います!試合開始!」


試合開始の合図が鳴る。


「それじゃあ、存分にやりましょうか!」


「…負けないわよ!」


互いに構えをとり、人工魔装を唱える。


『我望むは力なり。数多の困難を超えるため、顕現せよ! 』


長銃魔装(ウェポン・カノンレイ)


お馴染みの人工魔装が展開される。

対して波流渦も同様に詠唱する。


『無限の青、増殖する赤、その根源は大いなる希望を胸に!』


紅藍紫槍ブルージュ・プゥプレェランス


私は銃を、波流渦は槍を顕現させる。


「相変わらずそんな燃費の悪いものを使ってるのね」


「波流渦こそ、そんな細い武器で勝てると思ってるの?」


「その細い武器で学年主席の座をとったんだけど?貴方こそそんなの使ってるから、次席にすらなれないんじゃなくて?」


実績マウントをとられて、何も言えない…。


「うるさいわね!こっちにも事情があるのよ!」


「事情ごときで勝てないなんて、そんな事情なんて捨てちゃいなさいよ!」


大声を張りながら、突撃する波流渦。


キィィィン。


互いの武器が交錯し、重い音が響く。


「どんどん行くわよ!」


槍を振り回しながら、波流渦の攻撃が続く。

接近戦だと、頼みの銃が打てずじまい。


「やりにくい…なぁ!」


小回りの利く武器相手だと、どうしても後手に回ってしまう。

…それなら!

自身の武器を大きく振り上げ、波流渦との距離をとる。


「このままじゃ埒があかない」


そういって長銃魔装についている近接用の剣を取り出し構える。


「さっさと取り出しなさいよ、それを」


「うるさいわね」


「そうやって毎回探るようにおっきな銃で様子見するのが、貴方の悪い癖よ」


「説教しないで!」


私は双剣を携え、波流渦に向かっていく。


「…そうやって、すぐムキになって突っ込んでくるところもね」


波流渦はニヤッと笑い、槍を構え唱える。


炎槍攻天(えんそうこうてん)


波流渦の持つ槍の周りを、赤い炎が纏っていく。


「負けないわよっ」


「無駄よ」


槍を地面に突き刺す。

すると地面を這うように炎が私に向かってくる。


「くっ」


すぐさま後方に飛び回避する。


「だろうと思った」


波流渦はその間に距離を詰める。


「しま…っ」


「はぁぁっ!」


突き刺してくる槍を双剣で防御するが、抑えきれず後ろに吹き飛ばされる。


「華ちゃん!」


かのんちゃんの心配する声が聞こえた気がする…。


「いったぁ…」


なんとか軽い傷で済んだ。

だけど、波流渦の攻撃は終わらない。


「ゆっくり休んでいる暇はあるのかしら?」


地面を這う炎は継続して襲い掛かってくる。


「休んでなんかいないわっ!」


双剣に魔力を込め、そのまま地面に向かって放つ。


ドガァァァン。


地面を這う炎は舞い、霧散する。


「芸がないわね」


「品だけあっても勝負には勝てないのよ」


「誉め言葉として受け取っておくわ」


再び槍を構え、私の方をじっと見つめる波流渦。


「今日は彼はいないのね」


彼…?

迅のこと…?


「彼って、迅のことかしら?」


「それ以外に誰がいるのよ」


「他の従者に構ってると、自分の従者に嫉妬されるわよ」


「あら、うちの従者は寛大よ」


観客席側では…


「おいおいお嬢様、それはないぜ。後ろにいる従者様はこんな感じだってのに…」


風間はふと後ろを振り返る。


「お嬢様…またしてもあんな奴の話題を…」


護衛のレイリーは複雑そうな顔をしている。


「可哀そうに…」


はぁとため息をつく風間。


「貴方の従者さんってそんな感じだったかしら…?」


「彼がいないイリーナルなんて、上層部は何を考えているのかしら?」


「それは同意見ね」


「まぁ、こちらとしては嬉しい限りだけどね」


「うちのメンバーは強いわよ」


「あら、こっちだって負けてはいないかしら」


互いに火花が散るような視線が飛び交う。


「お喋りはこのくらいにして、そろそろ決着をつけようかしらね。このままいたぶっていても、弱い者いじめみたいになっちゃうから」


「誰が弱い者ですって…?」


「自覚がないなら、分からせてあげるわ」


「こんのっ…」


私は即座に長銃魔装を取り出し構える。


「なめんなぁぁぁ!」


銃口から大きな魔力砲が放たれる。


「すぐそうやって血が昇って大雑把に技を出す…」


波流渦は依然として冷静に話す。


「余裕ぶってるのも!ここまでよ!」


青槍守天(せいそうしゅてん)


波流渦の槍に今度は青い炎が纏っていく。

と、同時に周りを覆っていく。


「そんな炎で守れるほど、甘くないわ!」



ドォォォン。



放たれた魔力砲は、波流渦へと直撃する。


「やった…?」


土煙で何も見えない。

次第に晴れていく土煙を凝視する。


「……うそ…」


目の前の現状に落胆する。

直撃を食らったはずの波流渦は変わらず無傷で立っていたのだ。

波流渦は服に着いたほこりを手で払い、


「だから言ったじゃない」


ボソッと呟く。

直後、私の目の前までダッシュ。


炎槍攻天・紅突槍えんそうこうてん・こうとつそう


膨大な魔力が注がれた槍が炎を纏い、突き刺す。

反射的に長銃魔装で防御するが、圧倒的な力に押され耐えきれず…。



ボォォォン。



「うっ…」


私はそのまま吹き飛ばされる。


「華ちゃんっ!」


「ん~今の一撃は凄まじいですね~」


かのんちゃんの叫び声と佐々木先生の感想がこぼれる。


「…おしまいね」


波流渦の言葉がする…。

…このままじゃ、終われない…。

絶対に一泡吹かせてやるんだから…。

ライバル視している同時の戦い。

波流渦の猛攻は激しく、お嬢は苦戦を強いる。

このまま負けてしまうのか…?

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