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劣弱と呼ばれた最強護衛  作者: 佐藤 拓磨
第3章 統合新人戦編
37/61

第37話 来たる大会

4校それぞれのメンバーも決まり、

いよいよ大会本番の日がやってきたのであった。


「お嬢、準備できましたか?」


公家院 華の護衛、黒崎 迅の声かけに呼ばれた本人は元気よく返事をする。


「ええ、待ちわびたわ!」


自分たちの住んでいる屋敷からの出発。

先輩たちとの合同授業から数週間経った今日。

いよいよ待ちに待った統合新人戦当日。

俺とお嬢は会場のある中央都市に向かうため、集合場所であるイリーナル学園へと足を運ぶのであった。


「迅!見てなさい!今日は私の名前が世間に知れ渡る日よ!」


「はいはい、お嬢の名はすでに知れ渡ってますよ。公爵家の次女としてね」


「テンション下げること言わないで!」


事実を言ったまでだ。

間違ったことは何も言ってはいない。


「それはどーもすみませんでした」


それはそうと、この大会が終わるということはこれまで毎日のように聞かされてた本城先輩との授業がなくなると思うと心から安堵する。


「なにホッとした顔をしているの?本番はこれからよ」


「んなこたぁ分かってますよ」


緊張感のない会話と共に俺ら2人は学園へと向かうのであった。






「やあやあ皆さん~。お出かけの準備ができましたか~?」


バスの中から佐々木先生は呼びかけてくる。

中央都市に向かうバスがすでに手配されており、参加者はそこに乗り込んでいるみたいだ。


「控えを含めた、メンバー5人。全員乗っています。」


「せんせーい。バスの中でお菓子食べてもいいですかー?」


「…は、華ちゃん。はしゃぎすぎだよぉ」


レオナルド、お嬢、かのんはバス内で返事?をする。


「いいですね~。あれ?的場先生も乗ってるんですか~?」


「生徒会も参加だ。私も行って何か不都合でも?」


的場先生の後部座席には、生徒会長のアルサッド・ビートレイ先輩を始めとする副会長の森波 木馬先輩、会計の浦々 灰賀先輩が座っている。


「いいえ~なにも~」


佐々木先生はそうゆうと座席に座っていく。


「まあまあ仲良くしてくださいよ」


一番前の席にいたイリーナル学園長が両者をなだめる。


「皆さん揃ったみたいですし~出発しますかね~」


佐々木先生の合図でバスが出発していく。


「…黒崎くんは大丈夫でしょうか?」


かのんは心配そうに後ろを振り向く。


「ん?何が?」


お嬢はさっそくお菓子を食べている。


「…華ちゃんから離れるなんて、少し考え難いというか…」


「迅は過保護なのよ。…まあいつも心配してくれて、私が危ない目に合うのが悪いんだけどね」


お嬢は少し俯く。


「…だ、大丈夫ですよ。ここには生徒会長さんもいますし、学園長さんもいます」


「…それもそうよね」


ふと、お嬢は後ろを確認する。

数十メートルから離れたところに真っ黒なバイクが走っている。

…とても見覚えのあるバイクだ。

お嬢は携帯を取り出し、うさみへと連絡を取る。


【迅はそこにいる?】


返事はすぐに帰ってくる。


【ええ、ここにいるわ。

 もうさみしくなったの?笑】


【いいえ、なんでもないわ。ありがとう♪】


…じゃああそこにいるバイクは?


「見間違いかしら」


そんな独り言をこぼす。


「…なにかありましたか華ちゃん?」


「なんでもないわ。さあ、中央都市に向けてレッツゴーよ!」


お嬢は大会に備えることにしたのだった。










「あんたがついて行かないなんて、明日は雪でも降るのかしら?」


バスを見送り、俺たち居残り組は学園へと帰っている途中。

うさみはそんな俺に対し、懐疑的な態度を示す。


「なんだ?文句でもあんのか?」


「あんたのことだから、絶対ついてくと思ってたわ」


「確かにな」


大樹も同意する。


「別に。あんだけの大手様が一緒なら問題ないだろ」


「ふーん」


それでもうさみからの不審な態度は拭えない。


…まあ、ハクノをついて行かせてるからなんかあったら連絡来るだろ。

そう、お嬢が見た見覚えのあるバイクの正体はハクノ。

お嬢の護衛として選ばれたのはいつものつよつよ美人である。


「なんかあったらすぐ向かえばいいだけだ」


「「一人で行くなよ」行かないでよね」


2人から釘を刺される。


「肝に銘じておきますよー」


そうして俺たちは授業へと戻るのであった。








「着いたー」


数時間後、お嬢何事もなく中央都市に到着した。


「長旅お疲れ様です~。さあ大会は昼から~。我々は控室にでも行きましょうか~」


佐々木先生の誘導で選抜組は案内を受ける。


「私は用があるので別行動をさせてもらいますよ」


「あ、僕もです」


イリーナル学園長とビートレイ会長は大会の段取りがあるのか、その場を離れていった。


「お偉いさんは大変なのね」


「…そうみたいですね」


「俺らは自由行動でもするか?アルもいねーし」


浦々先輩は森波先輩に声をかけ、それを了承する。


「時間までには帰ってくるんだぞ」


「分かりました」


「はいよー」


先輩組もその場を後にした。


「他の生徒たちももう着いてるかもですね~」


そんな佐々木先生の独り言にお嬢は反応する。


「他の…生徒…」


お嬢が浮かぶ生徒は()()

1人はサンジュ学園の水炎寺 波流渦。

もう1人は…


「なんだ?他の生徒に怖気づいているのか?」


的場先生がお嬢に問いかける。


「いいえ、これは武者震いですよ先生」


ニコッと笑い、的場先生の問いに答える。


「そうか、自分が学園を背負って試合に出るということを忘れないようにな」


「的場先生~今から生徒にプレッシャー与えてどうするんですか~?」


佐々木先生が2人の会話に割って入る。


「事実だ。試合の時に委縮されたらこちらも困るからな」


「大丈夫ですよ佐々木先生。的場先生、ありがとうございます。試合で全力を出せるように頑張りますね」


「…華ちゃん、大丈夫ですか?」


「大丈夫よかのんちゃん。こんなんで潰れるくらいなら、公家院家の看板でとっくに病んでるわ」


かのんはその言葉にホッとする。


「皆さ~ん、話しながら歩いている間に到着しましたよ~」


前方にはイリーナル学園一行様と書かれた看板がある。


「ここで少し休んでいてくださいね~」


目的地に到着し、イリーナル学園側は休息をとるのであった。








主人(マイ・マスター)。華様は無事に到着されましたよ』


『そりゃあ良かった』


俺はハクノからの連絡を、授業を受けながら返事をする。


主人(マスター)がお嬢様から離れるなんて、不吉なことでも起きるんですかね?』


『桃夏。そうゆうことを口にするものではないわ』


『はぁーい。ごめんなさい』


さっきも似たようなことを言われたな。

俺を何だと思ってるのか。


『ハクノ。周りの様子はどうだ?』


『大御所が集まっているせいか、索敵しずらいですね。あまり範囲を広げると逆に探知されそうです』


『まあそこにはいろんなとこからの強者が集まってるからな。ほどほどに頼む』


『承知しました。…1つだけ、お耳に入れたいことが』


『なんだ?』


『ビューからの情報なのですが、遠方に妙な気配を感じたそうです』


妙な気配…?


『こちら側に問題がありそうか?』


『ビューも断言はしませんでしたが、可能性はあるかと』


統合新人戦も注目度の高い催し物。

なにかしらの弊害は付き物か。


『基本的にこちらから手出しするつもりはない。警備も厳重だろうしな。お嬢に危害が加わるようなら、殺す』


『ビューも分かっていると思います』


『んじゃ、そんな感じで』


『了解しました』


ハクノは通信を終える。

…妙な気配…か。

仮に大会に危害を加えようとする連中がいたとする。

ビューがそれらを妙な気配なんて言い回しをするだろうか…?

テロ組織だのなんだのと、もっと断定するような発言をする可能性の方が高い。

…ということは、何者と判断つかない()()()、ということになる。


「…きな臭せえな」


「黒崎くん、聞いてますか?」


佐々木先生の代わりに座学を教えてくれている喜界 好美先生が注意喚起する。


「え?聞いてますよ」


とっさにしらを切る俺。


「喜界先生。迅は華のことが心配で授業に集中できてませーん」


うさみがいじるように手を挙げ発言する。


「もう、黒崎くん。主を心配するのは良いことですが、学生の本分を忘れてはいけませんよ?」


喜界先生から可愛らしい注意を受ける。


「…すみません」


反論するのが面倒なので、謝ってその場を収める。


「では、続きをしますね」


そういって喜界先生は中断していた授業を開始する。

…さっきのハクノとの話を思い出す。

嫌な予感が的中しなければいいんだがな。

大会の会場に向かった一行。

迅は絶対ついて行くと思ったのですが、思いの他あっさり(´・ω・`)

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