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第33話 指導スタート

新人戦優勝者レオナルドを瞬殺。

生徒会会長候補の速水先輩を雑魚呼ばわり。

先生も下手に手を出せない男。

そんな男のやりたい放題を目の当たりにした各一同。

彼の行動に皆それぞれ思うところがあり…


ー黒崎・今井サイドー


「さぁ、なにしようか」


今井先輩は楽しそうにしている。


「なにするんですか?」


「特に何も決まっていない。というよりはお前に教えることなんてないんだよなぁ」


「俺は教わることばかりですよ」


「いいんだよ、ここでのんびりしてれば。どうしても何かしたいなら俺と手合わせしてほしいぜ」


「手合わせ…ですか?」


「そうそう。あんな実力持ってんなら、俺の成長にも繋がるだろ」


「大したものは持っていませんがね」


「謙遜が過ぎるって」


俺は少し考える。

今井先輩は去年の新人戦優勝者。

そんな猛者から教わることはたくさんあるはず。

決して悪い条件ではない。


「…それじゃあ、お願いします」


「おっ、いいね。んじゃさっそく始めますか」


こうして俺と今井先輩のマンツーマン指導が始まった。







ー黄色組サイドー


「皆集まったかなー?」


本城先輩の声に1年生は返事をする。


「よし、それじゃあここでは黄色グループ、体術を基本とした身体強化などの魔法などをやっていきたいと思うよ」


「俺はともかく、うさみは教わる必要ないんじゃねえの?」


「うさみさんは白兵戦がとっても得意ですもんね」


「あんなのただの付け焼刃よ。本物とは段違いだわ」


「そんなもんなのか」


「華にしたって、体術もいい成績残してるじゃない」


「んー、専門的なところは疎かだからなあ」


「ここでは俺が一番下ってわけだ…」


「その筋肉は無駄ってことね」


「なにおう!」


「そこ、私語は慎んでね」


「「「すみません!」」」


3人して謝る。


「改めて自己紹介するわね。私はイリーナル学園2年、本城 楓。特に実績とかはないけど…あ、水晶の結果は黄色の3かな。よろしくね」


「なんの実力もないのに指導係に選ばれることなんてないわよね」


「えーと、たしか本城先輩は救済の近接者(ディース・プロシュ)って呼ばれてるのよ」


「ディー…なんだそれ?」


救済の近接者(ディース・プロシュ)!本城先輩の魔法は自身の接触攻撃を回復魔法にすることができるの」


「それって黄色の魔法所持者なの?梅野先生みたいに桃色なんじゃない?」


「たしかに」


「私の本分は近接、肉弾戦で間違いじゃないんだけど…。たまたまそうゆう魔法が発現しただけなんだよね…」


頬をかきながら困った顔をする本城先輩。


「後天的な魔法の発現…すごい先輩ね」


「そうなのよ、すごい先輩よね」


本城先輩が褒められて、嬉しそうにするお嬢。


「ささっ。雑談はこれくらいにして進めていくわよ」


気を取り直して、本城先輩の指導が始まっていくのであった。







ーレオナルド・速水サイドー


私、レオナルド・テリオスは速水先輩に教えを乞いていた。


「レオナルド。君には生徒会に1番近い人間としての責任がある」


「はい、速水先輩」


このマンツーマン組は、生徒会繋がりでの組み合わせとなっている。


「この間の新人戦は見事だった。他の追随を許さない完ぺきな勝利を見れて嬉しい限りだ」


「…いえ、あれはとてもギリギリの戦いでした」


「あれは格下相手に油断しただけだ。気にすることはない」


「…油断してはいません。彼は、黒崎 迅の実力は、本物です」


「…またか」


「…また、とは?」


「いや、こちらの話だ。それより話を戻そう。君にはこれから私のもとで色々なことを学んでもらう」


「はい、よろしくお願いします」


「私は君と同じ黄色であるが、魔力4と心もとない。君の実力にはあっていないだろうが許してほしい」


「大丈夫です。先輩にはこれまでの経験と知識があります。私が学べる機会も多いと思っています」


「そう言ってもらえると助かるよ。では、さっそくとりかかろう」


「はいっ」


…黒崎君。

あの時の戦いがフラッシュバックする。


『人間は弱い。なんでも1人で背負えるほど強くねーんだよ』


『お前の言う強さは力しかないのか?精神とか、感情とか、そんなのはお前の中にはないのか?』


『お前がそんなんだから、周りが可哀そうだって言ってんだよ』


僕は、間違っているのだろうか。

目の前の光景が、当たり前の光景が正義だと、正しいのだと、思ってきた。

この間の戦いで、もしかしたら自分が間違っているんじゃないか?と思うことがある。

そんな感情が頭をかき乱す。

一度揺らいでしまった決意は、綻び始める。

あれから短い時間ではあるが、美登君や圭吾と3人で過ごす意味を考えてきた。

何もない日々、特別でもない日常、ただそこにいるだけ。

何もないはずなのに、大事にしたいと思える()()が、もしかしたら彼が言ってた物なのかもしれない。

…そう。()()()()()()、だ。

未だ正しいかどうかも分からないし、正解も分からない。

こんな迷っている状態で、指導をもらおうなどと甘えた考えなのは分かっている。

…この答えを見つけるのは、まだまだ先が長いのかもしれない。








ー紫色サイドー


「…私たちは何をするんでしょうか?」


「…さぁ」


私、天縫糸 花音と隣の美登くんは先輩のいる場所で座っています。

目の前にあるのは色々な物作りの資料。

これは…なんなんだろう?


「あの先輩がここで待ってろと言ったが、意図が分からない」


美登くんも困っている様子です。


「おうおう、集まったかお前ら」


すると突然見知らぬ声が。

私はどこにいるか分からず、きょろきょろしていると、


「…あそこだ」


美登くんが居場所を見つけてくれる。

そして私は美登くんが言った方向を見る。

そこには学生にも関わらず、タバコを吸っている男の人が立っていた。


「…学生はタバコを吸ったらいけないんですよ…?」


私は思わず脳裏によぎったことをそのまま言葉にしてしまう。

ハッと慌てて、タバコを吸っている男性に謝罪する。


「…ご、ごめんなさい!」


「いや、嬢ちゃんの言い分はもっともだ。なんも謝る心配はねぇ。それにこれは見せタバコだ、火をつけてねぇ」


…確かによく見るとタバコの先には何もついてない。


「あの、俺らを担当してくれる先輩…っていう認識で大丈夫ですか?」


「正解」


あの人が…担当の先輩…?

緑の髪をなびかせ、室内にもかかわらずサングラスをかけているあの男の人が…?


「おい、嬢ちゃん。考えていることが顔に出すぎだぜ」


「…あ、す、すみません!」


「いいっていいって。俺の身なりが悪いのがいけねぇ。他にもガラ悪りぃ奴らはいるけどな」


ケラケラと笑いだす先輩。


「それで、この資料の山は何なんでしょうか?」


美登くんは気にせず、話を続ける。


「その資料の山はお前らが勉強するものだ」


「…物の製造方法や部品などの使用方法。他にもたくさんありますが、私たちに関係あるのでしょうか?」


「そっからお前らの得意としている分野、まあ言っちまえば魔法に関連する知識を得るってこった」


「魔法の知識…?」


美登くんには疑問が浮かんでいる様子。


「あー違う違う。魔法の知識を得る、これは魔法を使用するにあたって大事なことだ。…だが今回学ぶのは、魔法に使用するお前らの道具の知識だ」


「…魔法の…道具…」


私の頭によぎるのはビディちゃんにショウティちゃんの姿。

…でも。


「…私の友達は、道具じゃありません」


私は意を決して先輩に意見する。


「…いいね。嬢ちゃん名前は?」


突然の質問に戸惑う私。


「…えっ?わ、私は天縫糸 花音と言います…」


「天縫糸。お前の言い分は正しい。魔法を我が物顔で使用するのは構わない。だが、それを当たり前・当然のように扱うのはちげぇ。お前は魔法を大切してるんだな」


急な誉め言葉に対応に困る私。


「…あ、ありがとうございますっ」


「よし、他に質問する奴はいるか?いねーならさっさととりかかれ。お前らを鍛えるのはお前ら自身だ。よく見てよく学べ」


私達は先輩の言葉の通り、資料の山に手を付けていきました。

そうして私達1年生は各々の先輩の指導を仰いで、きたる統合新人戦に向けて各自レベルアップを図っていくのでした。









ー???ー


「機は熟した」


謎の大柄の人物は告げる。


「我々の傷は癒えた!さっさとここを出るぞ!」


大柄の人物は即座にその場を離れようとする。


「…少し、待っていただけますか?」


「…尚早」


瘦せ型の男と小さな()()は、大柄の人物を抑制する。


「今動かずにいつ動くんだ!ここに留まる理由もない!」


「確かに我々の準備は整いました。…ですが、近々面白いことがあるみたいです」


そう言って痩せ型の男は1枚の紙を見せる。


「んだこりゃあ…あ?ガキの大会だ?こんなののどこが面白いんだよ」


「…奇妙」


「これは我々の手伝いをしてもらっている彼から貰ったものです」


「あの人間からか?」


「ええ。これには将来の卵たちが戦い合うと書かれています。…それとここに」


痩せ型の男は1人の名前を指さす。


「…これは」


「…好機?」


「待ってみるのも手だと、思ってきましたか?」


「なるほど、それならいいかもな。ここなら邪魔も入らないだろうし」


「…絶好」


「ふふっ。では、時期を待ちましょうか」


黒崎 迅率いる面々の知らないところで、またしても不穏な動きがみられる。

この者たちが主人公たちにどのような影響を与えるのか。

また、どんな結末が待っているのか。

この先の展開を待ちましょう、では。

不穏な動きがまた出てきましたね(;´・ω・)

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