第3話「神童たちの目覚め」 - 2
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
それにしても本当にいい天気。まだ朝早いのに日が眩しい。今日はお姉様の帽子借りようかしら。
お姉様はいつも大きな帽子と顔を隠すベールを着けている。
お母様も外出する時は目の所以外は全部覆われているベルガという服を着ていた。フェイルノスでも我が家しかそんな格好をしていなかったと思う。
「大きくなったら着るものなのよ」と言われてたけど未だにお姉様からは着るよう言われない。
なんでだろう?もっと大きくなってからなのかしら?
でも待って、私が生まれた時お姉様は11歳でその時から着てて、私はもう12歳になってて・・・お姉様忘れてるのかしら? まぁいいですわ。
さて、もう一寝して・・・ちがう、いけない!
お姉様たちと港の朝市に行く約束をしていたんだった!!
あの素振りが終わるまでに降りていかないと叱られる!!
急いで着替えて身支度をし、宿屋の階段を駆け下りて裏庭に走っていった。
お姉様の朝の訓練はちょうど終わったところのよう。
トーマスとダニエラ姉様はもう来ていた。ダニエラ姉様は朝日を浴びながら無邪気に踊っていた。今日も可愛い。
「おはようございます皆様。お姉様、これで汗をお拭きになって」
持ってきた汗拭き布を差し出す。
「おはよう、アンナ。ありがとう。今日はまたすごい寝グセだね」
お姉様は一汗かいたさっぱりした顔で、私の頭を見てからクスっと笑った。
「え!あっ・・・これはその・・・」
慌てて髪を触る。恥ずかしさで顔が赤くなっているのを感じた。
「アンナ、すんごいよ寝グセ」
「うるさい!」
トーマスの憎まれ口は相変わらず。朝から腹立つわ。
「まぁ今日は風も強いし、整えたところでボサボサになってしまうね」
「すぐに直すので少しお待ちになってて・・・皆様・・・」
思わず小さな声になってしまい、必死に髪を整える。
「アンナ、早くしろよ」
「あんたは黙ってそこでお待ちなさい!」
「あんたたち、朝から賑やかねぇ」
踊りながらダニエラ姉様は苦笑していた。
◇ ◇ ◇
私が髪を整えるのを待ってもらい、4人で港の朝市へ向かった。
港に近づくとより風が強くなってきたので「風を和らげる魔法」を唱えて皆様の周りの風を弱めました。せっかく整えた髪が崩れてしまうのは許せません。
「さすがだねアンナ。これは便利だ。しかも4人分も壁を作れるなんて生活魔法には恐れ入る」
もっと褒めてお姉様! でもお姉様はやっぱり魔法は苦手なのね。これは風の精霊魔法ですのよ。生活魔法だなんて言ったら風の精霊セレティスア様に呪われますわよ。
「やっぱりあれかな。アンナたちが生まれた夜は雷雨が凄かったんだよ。お母様のお腹が雷に共鳴して光ったような気がしたんだ。きっとあの時に風雷の神のご加護が宿ったんだろうね。それで言葉もすぐに喋れるようになって魔法も得意で」
「へー、じゃ俺らは風雷の神オーリングリの化身だね」
「そんなことあったの? やっぱりあんた達すごい双子なのね」
ダニエラ姉様はまじまじと私たちを見ている。
いや・・・ちゃんと勉強して訓練して身につけた魔法なんですけど・・・あとトーマス、あんたは風の魔法使えないでしょ。オーリングリ様に雷を落とされても知らないわよ。まぁいいですわ。
(第3話 完)
読了ありがとうございます。
☆☆☆☆☆の評価をぜひお願いします。
星1個でもいいんで♪
★あとがき★
姉ターニャは大きな帽子とフェイスベールを常に着けています。
その理由の説明は・・・第17話かな(笑)
あと今回ダニエラが初めて喋りました。
次の話で説明しますが座長ステファンとその奥さんラミナの娘です。今後も基本いつも踊ってます。
★この世界・物語の設定★
「風の精霊セレティスア」
風雷神オーリングリに仕える、風を司る精霊。
この後も何度も登場するんですが細かい設定考えてません。。。
「風雷の神オーリングリ」
雷・雷鳴を司る神。
セレティスア以上に設定考えてません。。。
次話、港についた面々が悪いヤツを見つけます。