第1話「無双剣士の姉」- 1
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
ザン!
いつ斬られたのか分からないという表情で盗賊たちは崩れ落ちた。
目指す港町まであと少しというところで盗賊たちが現れて、馬車を足止めし「有り金と金目のものを全て置いていけ」と脅してきた。
「嫌だと言ったら?」とステファン座長が馬車を降り聞き返す。
盗賊リーダーの「ならば殺して奪うまでだ」という言葉がまだ途中のところで、彼らはすでに斬られていた。
よりによって俺らの馬車を襲うなんて二重にセンスがない。
旅芸人は金目のものなんて大して持っちゃいない。馬車が大きいのは旅道具と衣装や楽器のせいだ。積み荷はどれも大した値では売れない。
それにこの一座には姉がいる。
無双の姉ターニャがいる。
盗賊たちが敵意を見せた瞬間に姉は剣を抜き、一瞬にして3人が斬られ・・・
あれ、盗賊は4人居なかったっけ。
いた!
「まだだ、トーマス!」
「は、はい!」
姉に怒鳴られ、俺は焦って魔法を唱える。
魔法といっても足元の草が伸びて絡まるだけだ。
しかしその効果は抜群、座長の背後に近づいていた盗賊は突如絡まってきた草に足を取られて転がった。
よし!成功だ。
そこに姉が大きく跳躍して盗賊に覆いかぶさり、革鎧のすき間、肋骨の間に短剣をスッと差し込んだ。いつの間にか剣を持ち替えていた。
暗殺者のように音を立てずに仕事を終える。盗賊は声を出すこともなく絶命した。その無駄のない動きに思わず身震いがする。この人が味方で本当に良かった…
一座を襲った盗賊たちはものの1,2分で殲滅された。可哀想だがお前らはセンスが無かったんだ。
「こらー!トーマス!あんたどこに魔法かけてんのよっ!」
気が緩んでいた俺は、馬車から顔を出したアンナに怒鳴られた。
む、小娘の分際で。。。
俺が焦ってかけた魔法は馬車馬の足元で発動していて、盗賊を転ばせたのはアンナの魔法だったようだ。やってしまった。馬にも睨まれている気がして急いで魔法を解除した。
アンナは双子の妹で俺らは12歳。姉のターニャは11年上の23歳。これだけ歳が離れていると姉は親のような存在で、双子の俺らが喧嘩することはあっても姉に反抗することは絶対にない。
「あんたはいつも大事な時にしでかすからワタクシが先手を打って対処して差し上げたのよ、ふふん」
「う、うるさい!今回はたまたまちょっと的が外れただけだい。この前はバッチリだったじゃないか」
「これくらいの魔法、百発百中じゃないとお姉様の足手まといなのよ!ね〜え、お姉様?」
馬車の中からみんなの笑い声が聞こえてきた。
姉も剣を収め、優しく微笑んでやり取りを見守っている。
くく、ほんと毎回ムカつく小娘だ。いや、俺も小僧だけども。お姫様気取りの言葉使いがさらに怒りを助長する。
「いやぁ〜しかし、あぶねぇあぶねぇ、助かった。ターニャ、トーマス、アンナ、ほんとありがとな。さぁ、みんな!エルミナルはあの森を抜けたらすぐだ」
(続く)
「2話分読んでみたけど、やっぱりなんか違うかな」と思って立ち去るアナタ!
アナタの評価こそ欲しいんです。
☆☆☆☆☆の評価をぜひお願いします。
星1個でもいいのでダメ出しお願いしますm(_ _)m
★あとがき★
主人公は一人でいいかなと思って考え始めたのですが、第2部を考えたら複数人必要になりました。第2部って一体いつ書くんだよって話ですが(笑)
そこで生まれたのが弟妹の双子。この二人、いっつも口喧嘩してます。二人で会話させてると口喧嘩させたくなっちゃう。ところで姉・弟・妹のきょうだいって漢字では「姉弟」でいいんですかね?