インタールード vol.3 -5 あねふくラジオ
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。明らかに一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
★「血路 ーー アリアの散り際」読了後
トーマス「い、いやあ・・・「血路 ーー アリアの散り際」、壮絶なストーリーだったね」
アンナ「迂闊に作者にツッコんだ自分を悔やんでますわ・・・」
タリーサ「・・・」
トーマス「姉さんが黙ってしまってるよ…」
タリーサ「私は心の整理が必要だから、気にせず次のコーナーに行って…」
アンナ「…では、最後のコーナー『いまあの人に会いたい』です!」
トーマス「特別ゲストの方がもうスタジオの外で待ってるそうなのでお呼びしましょう、どうぞ!!」
スタジオの防音扉が開き、その人物は入ってきた。
タリーサ「え!? 嘘でしょ? え?え?」
驚きの表情を浮かべるタリーサの瞳からやがて涙が溢れ出す。
アンナ「えっと…お姉様のお知り合いですか?」
タリーサは無言で涙を流したまま、男性を凝視している。
トーマス「感動の再会、なのかな? あの…失礼ですがどちら様でしょうか?」
???「タリーサ…久しぶりだな、大きくなったなぁ」
声を聞くや否や、タリーサは立ち上がり、男性の胸に飛び込む。彼女は抱きついたまま、わんわんと泣き始めた。
アンナ「お姉様…」
???「初めまして。ルーファス・セルヴィオラです」
トーマス「えー!!!!! お父さんですか!?」
ルーファス「はい。タリーサは私の一人娘です。いや、妻アイリーンは妊娠してましたね。もう一人、弟か妹がいるはずなんですが、生まれる前に私が死んでしまって顔を見れてないのです」
アンナ「驚きました…私たち双子がその子供です、お父様」
ルーファス「本当ですか!?」
トーマス「はい、私がトーマス、こっちがアンナです」
ルーファス「アイリーンと話していた名前だ…男の子ならトーマス、女の子ならアンナにしようって…」
タリーサは泣き続けている。
アンナ「作者様…よくこんなゲストを思いつきましたね…」
ルーファス「驚いたな…それで、3人は仲良く暮らしているのですか? アイリーンは?」
トーマス「お母さんは数年前に病気で亡くなりました。その後私たちは道化師になって、月明かり団という一座に加わって旅に出て、この物語が始まったんです」
ルーファス「そうだったのか…アイリーン…」
アンナ「あ、そうよ! お父様、聞いてください。この物語はお父様がなぜ誰に殺されたのかを知りたいお姉様の物語です。ずばり! 何があったのか教えてください!!」
タリーサが泣き止み、顔を上げる。
トーマス「え…それ、言っちゃっていいの?」
ルーファスは目を閉じてしばし考えた後、やがて口を開いた。
ルーファス「話すことは簡単だ。でも犯人が誰なのか、動機は何なのかということは表面的な問題でしかないんだよ。いま物語は、私が死んでから何年経っているのかな?」
アンナ「え?? 17年です」
ルーファス「ベレンニア王国はまだあるのかな?」
アンナ「どういうことですか? ありますよ。いま私たちは王都ルオハンジェで暮らしています」
トーマス「わかった! 王国が無くなっちゃうくらい大きな動きが絡んでる話ってことか…」
ルーファス「その通り。この物語は我々親子の物語であると同時に『正義とはなにか?』『何が私たちの未来にとって正しいのか?』を問う物語なんだ。それは国や生き方が大きく変わるかもしれない問題なんだよ」
タリーサは涙を拭わず真剣な眼差しで話し始める。
「お父様…私はそんな大仰な話は興味ありません。お父様ともっと一緒に過ごしたかった。私が育っていくのを見ていて欲しかった。どうしてこんな事に…」
それを聞いてルーファスはタリーサの両肩を掴んだ。その眼差しは娘に負けず劣らず真剣なものだ。
「タリーサ、前を向きなさい。どんなに望もうとも私が生き返ることはない。でもお前たちはこれからも生き続けていく。お前たちはどんな世界で、どんな正義の為に生きるのかをよく考えて前に進んでほしい。新しい世界を作るんだ。私の願いはそれだけだ」
タリーサは一瞬、驚いた表情を浮かべたが、やがて小さく頷いた。
ルーファスは娘を一回強く抱きしめると、ふっと手を離した。
「トーマス、アンナとも会えて良かったよ。3人で強く生きるんだぞ」
その言葉に、双子も涙をこらえながら頷いた。
ルーファスはスタジオの扉を開けると、一度振り返って微笑んだ。
「また、会おう」
その言葉を残してルーファスはスタジオを去っていった。
(続く)
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★あとがき★
ラジオ番組に戻って、特別ゲストは17年前に亡くなったタリーサたちの父ルーファスでした。
真相は語らない、でも思いは少しでも伝えたいと思っての登場となりました。
次回、いよいよラジオ番組も締め括りかな?