インタールード vol.3 -1 あねふくラジオ
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。明らかに一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
タリーサ、アンナ、トーマスの3姉弟は、重々しい扉を押し開け、中へと足を踏み入れた。
扉が静かに閉まると、そこには奇妙な光景が広がっていた。壁際に並んだ数々の道具は、見たこともない形状で、まるで魔術師が使う装置のように淡い光を放っている。赤や青の小さな灯りが、規則正しく点滅しており、その様子はまるで生き物のようにリズムを刻んでいた。
「ここが…そうなのね」
タリーサが低い声で呟く。
「トーマスは来たことあるの?」
アンナが期待を込めて尋ねる。
「いや、実際に中に入るのは初めてだよ。前世では外を通り過ぎたことはあるけど・・・」
トーマスは周囲を見回しながら言った。
部屋の一角には大きな窓があり、その向こうにはさらに別の部屋が広がっていた。
窓越しに見えるのは、慌ただしく動く人々と、不思議な道具たち。彼らは何やら忙しそうに手を動かし、まるで重要な準備を進めているようだった。時折、緑や赤の光が窓越しに輝き、彼らが行っている作業が順調に進んでいることを示しているかのようだった。
「何をしているのかしら?魔法の準備でもしているのかも」
アンナは目を輝かせて、窓の向こうの様子を覗き込んだ。
その時、向こうで忙しく動いていた一人がこちらに気付き、軽く手を振って挨拶しながら歩み寄ってきた。
「お待ちしておりました! こちらへどうぞ」
三人は案内されるままに、隣の部屋に通された。
そこには中央に円卓があり、その上には並んだ金属の道具が備え付けられていた。柔らかそうな椅子が三つ並んでおり、それぞれの前には話をするための装置が整然と設置されている。
タリーサとアンナは、それらの道具をじっと見つめ、少し不安げな様子だった。
「ここに座って、これを耳に当てるのかしら?」
タリーサが首をかしげ、恐る恐る手に取った。
「そうだよ、それはヘッドセットっていって、自分の声や他の声が聞こえるんだ」
トーマスは慣れた様子でヘッドセットを装着し、マイクの前に身を乗り出した。
「これでちゃんと声が入るんだ。さっきの窓の向こうにいたスタッフが音量を調整してくれるから、心配しなくていい。」
「そうなのね…。ちょっと不思議な感じだけど・・・」
タリーサもトーマスの言葉に従い、ヘッドセットを耳に当てる。
音が反響して、自分の声が返ってくる感覚に少し戸惑いながらも、落ち着きを取り戻した。
「わあ、これは面白いわ! 自分の声がこんな風に聞こえるなんて!」
アンナも同じようにヘッドセットをつけ、声の響きに驚きつつも楽しんでいる様子だった。
その時、部屋の片隅でスタッフが合図を送り、マイクのテストが始まった。
「では、少し声を出して確認してください。音がきちんと届いているか確認します」
タリーサが先に口を開く。
「タリーサです。これで聞こえていますか?」
「はい、ばっちりです。」スタッフが笑顔で答える。
続いてアンナが続けた。「アンナです。私の声も大丈夫?」
「はい、しっかり聞こえていますよ」
最後にトーマスがマイクに向かって話す。
「トーマスです。これでOKだよね?」
「完璧です。これで全員、準備が整いました。お好きなタイミングで始めてください」
三人は一瞬顔を見合わせ、タリーサが小さく微笑みながらうなずく。彼女は落ち着いてマイクに向き直り、静かに口を開いた。
「さあ、始めましょうか!」
◇ ◇ ◇
★オープニング
タリーサ「『姉は旅芸人の道化師なのに魔物相手に無双してまして、これ絶対伏線だと思うんです』略して『あねふく』緊急特別企画!」
アンナ「第2部終了記念! 座談会ラジオ~~~!!」
トーマス「え、ボク、タイトルコールのセリフないの?」
タリーサ「ということで、始まりました。まさか三人でラジオ番組をやるとは思わなかったわね」
トーマス「作者が三連休で浮かれて思いついた企画らしいよ。挿絵もアニメ調になってるし」
アンナ「でもいいじゃない。第1部の後半からずーっとシリアスで第2部になってからはさらにシリアスでハードな展開になってたから、こういう肩肘張らない時間も必要よ」
タリーサ「いや、ほんとに。元々シリアスな物語だから仕方ないんだけど第2部になって息つく暇がない感じだったわ」
アンナ「ちょっとね、私は言いたいです。こんなハードな展開になるなら先に言っておいて欲しかった! 私、背中から斬られた上にお腹刺されるなんてちょっと酷いですわよ! その頃トーマスなんて美味しいご飯食べてぬくぬく寝てたのよっ!」
トーマス「え・・・ボクが責められるの!? そんなの作者に言ってよ。メーガン夫人が出てきてからボクの出番ずっと無かったんだよ?」
タリーサ「今日はそういう作者への文句も含めて、番組を盛り上げていきましょう!」
(続く)
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★あとがき★
あー第3部への繋ぎどうしようかな~~~、と考えてたらこれを思いつきました。
第2部を振り返っていきましょう!