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第18話「因縁の決着」 - 5

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

「誰か、いや騎馬隊か何かが来たみたい」


タリーサは慎重に梯子を登り、そっと地上を覗く。


そこに広がっていたのは、激しい合戦の光景だった。どこからか突如現れた騎馬隊が、メーガンの老騎士たちを蹴散らし、次々と倒していく。メーガンの騎士たちは、たちまち槍で突き崩され、あっという間に戦況は決した。


メーガンは捕らえられ、縄で縛り上げられていた。


「無礼者! 私に触るんじゃない!!」


捕縛されてもなお、彼女は顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。


「侯爵夫人、おとなしくなさってください」


「私を侯爵夫人と知ってこの失礼な行為は許さないわよ! 早くこの縄を解きなさい!!」


声を張り上げるメーガンの前に、1人の男性が馬から降り立った。


「もうやめないか、メーガン」


静かだが力強いその声に、メーガン夫人は一瞬言葉を失った。振り返ると、そこにはメーガン夫人の夫、ルイス・ドウヴェイン侯爵が立っていた。顔には深い悲しみの影が漂っていた。


「ルイス……?」


かすれた声でその名を呼ぶと、彼女の瞳には一瞬戸惑いが宿った。しかし、次の瞬間、彼女の顔は憤怒の色に染まり、目を血走らせて叫び出した。


「あなたは関係ないでしょ! 離しなさい! これはエルドムイとセルヴィオラの戦争よ。私一人になってもこいつらは根絶やしにする!!」


メーガンは縄に縛られたまま、凶暴な獣のように体を揺らし、暴れ出そうとする。その様子を、ルイスはじっと見つめ、ため息をつくと、ゆっくりと妻の肩を抱き寄せた。


「やめないか。もう終わったんだ」


タリーサは一歩、また一歩とメーガンに近づき、彼女をじっと見据えた。


「何度でも来てください。私は貴女方が恐れ、手出しできなかった聖騎士団長ルーファス・セルヴィオラの娘です。本気で私を殺すおつもりなら、一個師団をご用意ください」

「う…」

その言葉に、メーガンは凍りついたように黙り込んだ。

タリーサはゆっくりと息を吐き、踵を返すと忍者とアンナの元へ歩いていった。メーガンは両腕を背後で縛られたまま、呆然とした表情でその姿を見つめていた。


騎士たちは夫人を馬車へと押し込み、ドウヴェイン侯爵はその場に立ち尽くしていた。無言のまま妻を見送り、その背中に向けてただ一言、祈るように呟いた。


「まったく……」


メーガン夫人を乗せた馬車が走り去ると、ルイスはタリーサの前に立ち、深々と頭を垂れた。


「全て悪いのは妻だ。私が代わってお詫び申し上げる。しかし、申し訳ないがこの件については貴族の特権を全て使ってでももみ消させていただく。なかったことにさせてほしい。どんな悪女であっても私の妻なんだ……許してくれ……」


彼の声には心底からの苦悩がにじんでいた。その姿を見つめ、タリーサはしばらくの間何も言わなかった。しかし、やがて静かな声で、毅然と答える。


「ドウヴェイン侯爵、頭を上げてください。それで構いません。全てなかったことにしてください」


タリーサはその言葉をきっぱりと告げ、侯爵の目を真っ直ぐに見つめた。ルイスの顔に、わずかに安堵の表情が浮かぶ。そして、もう一度彼女に深々と礼をすると、馬車へと歩み去っていった。


静けさを取り戻した草むらに一筋の風が吹き抜けた。


「ジャック…終わったよ…私たちは生き残れた。守ってくれてありがとう…」


タリーサはそう呟くと夜空を仰ぎ見た。


挿絵(By みてみん)


(第18話 完)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけますと嬉しいです!

皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!


★あとがき★

長期戦にしないで侯爵の騎馬隊が一掃することにしました。

妻の失態は夫がもみ消します。


次話、メーガンが黒幕だったのは分かったけど結局何が起きていたの?

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