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第18話「因縁の決着」 - 4

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

隠れ家にいたメーガン夫人は、再び襲撃失敗の報告を聞いても怒りの感情を見せることはなかった。


「ふん、あいつらが仕留められるとは思ってないわ。陽動さえしてくれれば十分。さあ、行くわよ」


側近に指示を出すと、メーガンは倉庫の外へ向かい、待機していた黒い馬車に乗り込んだ。その所作は貴族の威厳を保ちながら、堂々としたものだった。


街は夜に突如起きた火事に騒然としていた。路地を走り回る兵士や、遠くで警鐘を鳴らす音が混じり、重々しい空気が広がっている。その喧騒を尻目に、メーガン夫人の馬車はゆっくりと闇の中に消えていった。


◇ ◇ ◇


「ここを抜ければ王都を出られます。馬車も用意してあります」


忍者の案内に従い、タリーサたちは暗い地下道を抜け、ようやく郊外の草むらへとたどり着いた。湿った夜風が肌に触れ、しばらく忘れていた外の匂いが鼻をくすぐる。


ようやく一息つけると思ったその時、タリーサたちを囲むようにいくつもの松明が一斉に灯った。


松明に照らされて老騎士たちの姿が浮かび上がる。

その中心に、優雅なドレスをまとった1人の女性が立っていた。顔は穏やかな微笑を浮かべているが、瞳の奥に潜む冷酷な光が鋭い。


「待ってたわよ、タリーサ、そしてアンナ・セルヴィオラ。初めまして、私がメーガン・ドウヴェインよ。私を探していたんでしょう? なかなか会えないからこちらから出向きましたよ」


彼女の言葉に合わせるように、周囲の老騎士たちが剣を抜く。彼らの表情に年齢を感じさせるものの、目はまるで野獣のように鋭く、長年の鍛錬を物語っていた。


「貴女が・・・メーガン夫人・・・」


「貴女たちには何の恨みもないけど、その血統は残しちゃいけないのよ。悪いけどここで死になさい。弟さんもすぐに地獄で会わせてあげるわ」


挿絵(By みてみん)


その言葉を合図に騎士たちがタリーサたちへ突進してきた。

アーノルドはとっさに周囲を見渡し、即座に判断を下す。


「姫様、地下道に戻ってください! 広い場所では不利です!」


懐から取り出した小さな球を騎士たちの足元に放り投げる。球は小さな爆発音を立て、辺りに煙幕を撒き散らした。煙に巻かれた騎士たちが足を止め、戸惑う隙を突いて、アーノルドとエミリーはアンナを担ぎ上げ、急いで地下道へと戻る梯子を降り始めた。


タリーサも2人に続いて梯子を降り、剣を抜く。


狭い地下道は、彼らにとって理想的な戦場だった。幅が狭く、敵は1人ずつしか進めない。これなら大勢に囲まれることなく、一騎討ちで勝負できる。


「一対一なら負けない」


タリーサの剣が風を切り、次々と前に現れる老騎士たちを打ち倒していく。彼女の身のこなしは無駄がなく、聖騎士団長グレースに鍛え上げられた剣術が確実に敵を捉えていた。


形勢を立て直すべく、老騎士たちは次第に地下道を諦め、地上へと戻っていった。アーノルドは深く息を吐き、タリーサも一瞬剣を休めて状況を見渡す。


その時、地上から激しい地響きが聞こえ、混乱と怒号が入り混じる。


「新手が来たのか?」


アーノルドの顔がこわばる。

いくら狭い地下道でも物量で押されたら敵わない。

そうこうしている内に反対側から回り込まれて挟み撃ちを受けるかもしれない。


タリーサは梯子を少し登り、地上の音に耳を傾けた。


(続く)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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皆様の応援が作者のモチベーションとなりますので、是非協力よろしくお願いいたします!


★あとがき★

遂にメーガンとの最終決戦です。タリーサの強さをほどほどに描きつつ、物語を長引かせないようにするのに少し工夫をしました。


次回、地上で何が起きたのか!? ついに決着!

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