第17話「襲い来るメーガン」 - 3
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
前から迫ってきた老人が短刀を振り上げ襲いかかってきた。
アンナは後ろから来るもう1人の老人を牽制しながら、目の前の男に風魔法のかまいたちを撃ち込んだ。
「セレティスアよ、真空を持ってこの者を切り裂け!」
詠唱に応じて、路地の空気が一瞬歪み、次の瞬間、真空の刃が男に襲いかかる。
不意打ちを腹に食らった男は「ぐあっ」と声を漏らし、その場でうずくまる。切り裂かれたローブの間から鮮血がポタポタと落ちる。
「よし!」
うずくまる老人を押しのけて前へ逃げ出そうとしたその時、背中に焼けるような激痛が走り、彼女はその場に崩れ落ちた。
ザックリと斬られた彼女の服から血があふれ出る。
後ろから来た男がアンナを袈裟斬りにしていた。
「ああああ・・・」
声にならない呻きが喉からこぼれる。
起き上がった男がゆっくり歩いてきて、倒れもがくアンナを押さえつけた。
男は逆手に持ち替えた短刀で容赦なくアンナを刺す。
「ぎゃあああ!!!」
その刃はアンナの体に深く刺さっていた。
その時、路地に大きな声が響き渡った。
「アンナ様!!!」
男たちが振り返る。叫んだのはジャックだった。
ジャックは怒りの形相で路地を駆けてくる。その手には忍者の小太刀が握られていた。
男たちはジャックを迎え討とうと構える。
飛びかかると見せてジャックは懐から出した小さな球をアンナの近くに投げつけた。
その球は地面に当たると小さな爆発音を立てて大量の煙を噴き出した。
「!!」
煙はあっという間に路地を覆い尽くす。男たちは警戒して後ろに下がった。
その隙にジャックは煙の中に飛び込み、倒れているアンナを見つけ出して肩に担ぎ上げた。
ジャックは男たちを撒いて、路地を走る。
「アンナ様、しっかりしてください!」
返事はない。アンナのお腹から流れる血が肩をじわじわと染めていた。
すぐに治療をしなければならない状況だ。
もうすぐ大通りに出られるーーそう思った瞬間、ジャックの胸に鋭い衝撃が走り、アンナを抱えたまま倒れ込んだ。
アンナを狙う老人の戦士は2人だけではなかった。
もう1人のローブの男が待ち構えていたのだ。
ジャックの胸にはナイフが刺さっていた。
「ぐはっ・・・」思わず喉を突き上げてきた血を吐く。
ナイフが刺さったままの胸を押さえ、ジャックは起き上がると3人目の老人と対峙した。
男と睨み合ったまま、懐から何かを取り出すと後方、来た道にそれをばら撒いた。
それは「まきびし」と呼ばれる忍者独特の罠だ。四方に鋭い突起がある小さな金属片で、どの向きで地面に落としても突起が上を向くように設計されている。これで追ってくる男たちを近づけないようにする。
足元には血を流し続けるアンナが、息も絶え絶えに横たわっている。
ジャックは小太刀を構え直し、男の隙を窺う。
「いやーっ!」
雄叫びを上げ、ジャックは男に斬り掛かった。胸の痛みでいつもの鋭い動きは鈍っていた。
男は難なくジャックの太刀を受け止めると、彼の首を掴んで横の壁に叩きつけた。その衝撃でジャックは小太刀を落とした。
「ううぅ・・・」
背中を強く打ちつけられたジャックは、再び血を吐き、倒れこむ。
とどめを刺そうと男が近づいてくる。
「がはっ・・・」
ジャックは起き上がれずに血の咳を吐いている。
男はジャックを踏みつけると短刀を振り上げる。
この瞬間を狙っていたジャックは倒れたまま男のふくらはぎを斬り裂いた。
「ぎゃあっ!!」
男は足を押さえて崩れ落ちる。
ジャックが両手に持っていたのはカミソリのような刃だった。
そのまま男の上にのしかかり、刃を男の喉元にあてがうと、一気に斬り裂いた。
首から高く血しぶきが吹き上がる。男は声を発することなく絶命した。
ジャックは男の上にうつ伏せたまま、しばらく動けなかった。
出血で意識朦朧としている。
それでも彼は立ち上がる。
ふらつきながらアンナを抱き上げると暗く長かった路地を出た。
「アンナ様・・・絶対に死なせない・・・」
ジャックの背後では、まきびしを踏んで苦しむ男たちの声が響いていた。
(続く)
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★あとがき★
これまでになくバイオレンスな回になりました。
深く刺されて気絶したアンナをなんとか助け出したジャックも瀕死・・・追手をかわして逃げ切れるのか。よもやこんな展開になるとは著者も驚き。
次回、アンナ、ジャックの運命や如何に!!