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第17話「襲い来るメーガン」 - 1

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

その後もタリーサは、毎朝グレースの家に通い稽古をつけてもらっていた。


心の中で驕りがあった。

当代最強と謳われた聖騎士団の団長と副団長を葬った者が相手であっても、渡り合えるだろうと過信していた。


それがグレースと出会い、身の程知らずであることを思い知った。彼女とまともに剣を交える事ができなければ、いつか出会う宿敵との戦いに勝ち目はない。


剣が激しく交わるたび、火花が散り、耳をつんざくような鋭い音が周囲に響き渡る。


「剣の間合いとずらしたタイミングで魔法を撃つんです、タリーサ様!」


タリーサは一瞬の隙を狙い、魔法を繰り出した。しかし、グレースはその動きを見抜き、軽く身をひねってかわすと、足払いを繰り出してきた。タリーサは間一髪でかわしたが、次の瞬間、剣の束で手の甲を打たれ、剣は音を立てて地面に落ちた。やはり、まだ及ばない……


「魔法と剣撃の両方で攻める時は、片手で剣を扱い続けねばなりません! 剣を出したらすぐに引く! 大振りした後は剣の持ち手が狙われます! それを予測して次の攻撃を用意する!」


唯一、グレースに肉薄できたのは忍者に習った暗殺術を使った時だった。


正面から斬りかかり、剣が交わるか否かというところで大きく身を捩って相手の背後に回る。相手が振り返った時には、持ち替えたダガー(短剣)が相手のノドに当てられている。


「タリーサ様の強みは忍者の動きも併せ持っているところです。よく訓練を積んだ騎士ほどこの動きには対応できないですよ」


「…。そう仰いますが、グレース様に通用したのは最初の一回だけです。凹みます…」


タリーサは埋まらない実力差に焦れていた。

焦る弟子を見てグレースは呆れたように言う。


「何言ってるんですか。最初の一回が通用すれば忍者は暗殺成功ですよね?」


◇ ◇ ◇


指示から数日後、早くも2人の庭師がメーガン夫人の部屋で報告をしていた。


「発見しました。王都の劇場で踊り子をしています。剣士としても活躍していたようです。毎朝、聖騎士団長の家に通って稽古をした後、午後から夜まで劇場で働いて帰宅、という毎日を過ごしています」


つば広の大きな帽子に顔を隠すヴェール姿という目立つ風貌の女性はすぐに特定された。既にタリーサの行動は監視され始めていた。


「奴には妹と弟がいます。妹は同じ家で暮らしており、弟はカルメサス伯爵家で宮廷道化師をしています。3人は週に一度、カルメサス伯爵家の館に集まって近況報告をしあっています」


聖騎士団長やカルメサスの名を聞いてメーガンは警戒する。グレースやマリアが関わってくると厄介だ。速やかに3姉弟を葬りたかったが、弟は後回しにする事にした。


「姉と妹から先にやって」


その言葉は氷のように冷たく、部屋の空気を凍らせた。

庭師たちは無言で頷き、部屋を出ていった。


挿絵(By みてみん)


一方、ドウヴェイン侯爵は妻の部屋に庭師が頻繁に出入りする様子を目にするたびに、胸の奥に不快な感覚が広がっていた。


「おい、グレン。メーガンは庭師と何をそんなに話しているんだい?」


執事は分かりかねたが、やや気を使いながら答えた。

「奥様のいつもの拘りで、庭の改造を計画しているのではないでしょうか」


侯爵は釈然としない表情で「そうか・・・」と呟くと自室に戻っていった。

彼の脳裏には、徐々にメーガンに対する疑念が渦巻き始めていた。


(続く)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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★あとがき★

タリーサがグレースの元で修行を積んでいる中、メーガン夫人が動き出し、早々に居場所を特定されてしまいました。第2部はひたすら聞き込み調査ばっかりでしたが急にバトルモードに突入です。当分続きます。


次回、妹アンナに忍び寄る魔の手・・・

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