第6話「ヴァーレルソルイの洞窟」 - 1
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
6人もいる割に頼りないパーティは町はずれの洞窟に向けて進んでいた。
さすがに町の中からはずれに向かって歩いているので、魔物に出会ったりはしない。何事もなく2時間ほど歩いて洞窟の入り口まで来た。
来てみてこの依頼の深刻さを思い知った。
そこかしこに傷だらけの冒険者たちが倒れているではないか。これはヤバい案件だ。
「私が治療する。周囲を警戒してくれ」
ギルバートが負傷者に駆け寄り回復魔法をかけていく。この魔法使いは精霊魔法だけでなく聖魔法も使える。偉そうにしてるだけあって大した実力だ。
洞窟から何かが飛び出してこないか身構えたが大丈夫だった。外には出てこないようだ。
振り返るとピーターとダニエラがこわばった表情で立っていた。
月明かり団も旅の道中で戦闘になることは少なくないが、姉がすぐに撃退してくれるお陰で誰かが負傷することは無かった。こんなに大勢の負傷者を見たのは初めてだろう。俺だって初めてだ。
回復した冒険者に中の様子を聞く。
「何度斬っても魔法を喰らわせても起き上がってくる。そんなのが奥からどんどん出てきて、仲間たちが次々やられて、なんとか逃げてきたのがここにいる奴らだ」
「壁が崩れた場所の近くにまだ怪我で動けず隠れている仲間がいるはずだ。助けてやってくれ…頼む」
十分に回復した冒険者たちにギルドに帰るよう指示し、俺たちは気を引き締めて洞窟の中に入った。
洞窟は昔から探索されているというだけあって松明を設置する台が各所に作られており、地図も掲げられていた。
中を進んでいくと、明るく開けた場所が見えてきた。奥で何かキラキラと光っている。
「おお~、金銀財宝発見か~?」
ピーターが気を持ち直してはしゃいだ。スキップで広場の中に入っていく。
彼の声に反応してキラキラがゆっくりと動き始めた。
「ピーター、下がれ!財宝じゃない!!」
キラキラした輝きは弧を描いて空中に伸びていく。
なんと、それは怪しく七色に光る大蛇だった。
「ひぃええええええ!!!!」
腰を抜かしたピーターは四つん這いになって逃げ出した。
入れ替わるように姉が剣を抜き、低い姿勢で突っ込んでいく。
すばやい噛みつき。捻ってかわす。
懐に入る。白い腹を斬る。
血が吹き出る。
苦しげな咆哮。再び舞い、斬る。血。
再び噛みつき。
剣で受け流す。大蛇の上に飛び乗る。
姉は大蛇にまたがり、首の付け根部分に剣先を当てるとぐっと力を入れ刺し込んだ。
それは大蛇の脳に達し、致命傷となった。
大蛇の目は生気を失い、静かに崩れ落ちた。
「お見事。剣士ターニャの実力は噂に違わないものだな。しかしこの魔物は元々この洞窟にいた種。先ほどの冒険者たちが言っていた種はこの後だ。油断するなよ」
こんなデカい蛇が普通に出てくる洞窟なのか。これは試練の探検になりそうだ。
ピーターとダニエラはすっかり青ざめている。
(続く)
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★あとがき★
ギルバートは洞窟とともに追加されたキャラですが、魔法使いなのに初っ端から回復魔法を使えるようにする必要が出てきてしまいました。この後もどんどん不思議な能力を披露していきます。こいつメチャクチャ強いんだよなぁ。
七色の大蛇は生成AIにあれこれ作ってもらってたら生まれた魔物です。
AIと共創というには少々大袈裟ですがAIには日々助けてもらってます。