第10話「魔の鉱山」 - 3
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
翌日は朝から強い日照りの天気でした。
「まだまだ暑くなりそうね。風も吹いてないからさらに暑く感じそう」
無風だと風魔法の効きも悪い。無風が今日だけならいいんだけど…ちょっと心配。
私たちは旅の準備を終えて王都の西門に向かった。目指すリダニウ鉱山は王都から西に一週間弱かかる。
西門にはこれから出発しようとする馬車が何台か集まっていた。行商の一団かな。この人たちは旅慣れてそう。
旅の途中で盗賊や魔物の襲撃を受けることは珍しくないから、方向が同じならなるべく固まって一緒に旅をした方が生き残れる可能性は上がる。
一団のリーダーらしきお兄さんが声を掛けてきた。
「やあ、俺はジャイルズ商会のジャイルズだ。あんた方はどこに行くんだい?」
ジャイルズさんは全身カウボーイファッションの明るい商人。仲間の人たちも皆カウボーイファッション、流行ってるのかしら。
「リダニウ鉱山? ずいぶんと珍しいとこに行くんだな。まあいい、それなら俺たちと方向は同じだ。一緒に行こう。馬車1台じゃ狙われるぞ」
商人たちと旅か…。戦力としては期待できないので迷ったけど、今回の旅は忍者さんが1人少ないし、物資を分けてもらえそうだからこの提案に乗っておく事にした。
私たちは魔法も使って戦えると伝えると「それはありがたい。我々は商人だがまぁまぁ戦えるので協力するよ」と申し出てきた。素人は無理しない方がいいんだけどなぁ。
◇ ◇ ◇
一団は隊列を組み、私たちとジャイルズさんの馬車は先頭で並ぶことになった。
彼らは王都で武器や資材を仕入れて他の都市で売るのを生業にしているそう。王都にしか無い物はすごく求められてていい商売になるのだとか。私たちも何か仕入れとけば良かったかなー。こういうのはトーマスが専門なので上手く売れる自信無いけど。
ジャイルズさんはリダニウ鉱山の事も教えてくれた。
「あそこの鉱山でだけ採れるリダリアという魔鉱石があって、これが王都の工業地帯には欠かせない。リダリアは石炭よりも高エネルギーを生み出すので様々な開発に使われている。いまの王都の発展はリダリアのお陰と言っても過言じゃない」
こういう話は私にはよく分からない。とにかく魔鉱石はすごいってことね。
「そんなだからリダリアは高値で取引され、争いやトラブルも多いと聞く。人間はもちろんのこと、ドワーフも鉱山が生み出す利益の恩恵を受けているが、それ以上に多くの者があの鉱山で破滅に追い込まれていて、いつしか『魔の鉱山』と呼ばれるようになったそうだよ」
セルヴィオラ家もこの鉱山によって破滅に追い込まれた。トーマスが調べた裁判記録はただの文章だったけど、鉱山やドワーフの町で当時の話を聞けたらもっとドロドロしたものが出てくるんだろうなぁ。お姉様が傷つく話がさらに出てきそうで不安だわ…
(続く)
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★あとがき★
物語の元凶と目されるリダニウ鉱山にいよいよ向かう旅の始まりです。
なぜここが魔の鉱山と呼ばれるのか、次回以降も色々な噂に出会っていくことになります。
次回、敵襲にアンナたちはどのように対応するのか、注目です