第10話「魔の鉱山」 - 2
※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。
「あ〜美味しかった!! こんなに豪華な朝ごはん食べてのは初めて!」
「美味しかった! ご馳走様でした、もう動けないっ!」
エミリーとジャックが持ってきた朝食はフルコース料理ぐらいのボリュームだったが、あっという間に姉妹の胃に納まった。
それもそのはず2人は前の日はほぼ何も食べずにそのまま寝ていて、気づけば食欲はピークに達していたのだ。
「それではお嬢様方、今日も良い一日をお過ごしください」
料理を片付けてエミリーたちは帰っていった。
満腹で動けなくなったターニャはソファに、アンナはベッドに横たわる。しばらく動けそうにない。
突然アンナは顔を起こし、真剣なまなざしで姉に語り始めた。
「昨日のことですが。お姉様は怒っていいと思います! 復讐に燃えていいと思います! こんな理不尽で残酷なことが起きているのに、何が原因で何が起きたのか分からないままで生きる事なんてできません!」
言葉を切って少し考えた後、アンナは続ける。
「正直に言うと私はお姉様ほどの強い感情は持てていません。ルーファスお父様にはお会いした事が無く、私には前世での父がいて…でもお姉様の役に立ちたい。だからお父様に何が起きたのか必ず突き止めます!!」
びっくりした。しかし突然だが正直な妹の告白は嬉しかった。アンナもアンナの立場で一緒に戦ってくれている。
「アンナ…ありがとう。なんだか…やっぱりアンナの方が大人なんだなって今思った」
「う…」
途端にアンナは顔を赤らめ、悶えるようにベッドに突っ伏した。アンナは前世では35歳で亡くなっていて転生してから17年、精神的には…52歳。ターニャのほぼ倍の時間を生きているお姉様という事になる。
ゆっくり起き上がるも両手で顔を覆ったまま静かに文句を言った。
「お姉様…それは言っちゃダメってあれほど…」
あわてて謝るターニャ。こんなに気が許せる関係になれたのはアンナが前世のことを告白してくれてからだ。
「と、というわけで私は昨日の指示通り、ドワーフ族のところに行って参ります。私ならドワーフ語も話せますからね! あ、そうだ。お姉様はラルフ様のご遺族や古株の聖騎士団員に当たるとのことでしたがアテはあるのですか?」
先日知り合った聖騎士団の青年フェリックスの顔が頭に浮かび、今度はターニャの方が気恥ずかしくなる。
「うん・・・現役の聖騎士団員と知り合ったんだ。その方に聞いてみようと思う」
そう答えたターニャは少しやりにくそうな顔をしていた。しかし、その理由はアンナには分からなかった。
「そうですか。では、私は旅の準備を始めますね。お姉様は怒りや憎しみと上手に付き合ってくださいね! 危ないと思ったら深呼吸するんですよ!」
やっぱり最近はアンナの方が姉だよなと思ったが、今度は口に出さないようにしたターニャだった。
アンナは早速、忍者たちが住む向かいの家に行き、旅の計画を伝え準備を始める。
彼女は姉に黙って忍者を一人王都に残すことにした。姉がまだ心配だったからだ。少し戦力不足が心配だったが、いま姉を一人にしたくなかった。
「エミリーさん、お姉様をよろしく。私の魔力はなんだか強くなってるみたいだし、なんとかなるでしょ!」
(続く)
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★あとがき★
ターニャ・アンナ姉妹の語り回でした。
生きてきてる人生は52年、身体は17歳のアンナはどんな感覚なんでしょう。
美魔女と呼ばれる人が私の知り合いにも居ますけど年齢気にしてなくていつまでも若い。
あんな感じなのかな、と思いつつアンナを描いています。
次話、アンナは忍者を連れて王都を出発、同じ方角へ向かう人達と出会うのでした。