006 終わった世界の祈り方
「ふぅ、やっと着いた」
家を出て廃墟の中を進み、瓦礫の道を越えてそこに辿り着く。
――教会。
今まで見てきた建物と違い、少し崩れていてもその威厳までは失われてはいなかった。
教会の入り口である巨大な扉の前で立ち止まる。
「うぅ、いつ来ても緊張する……」
けどここまで来たら行くしかない!
扉の大きさもあって体を預けるようにして押し開く。
少ししてギィと重い音をたてながら扉は開いてくれた。
「ひ、開いた。う、けほけほっ」
教会の内部は薄暗く、ほこり臭かった。
ただ、奥の天井が崩れ落ちている個所とステンドグラスからのみ光が射していた。
その光の下に私が探しに来たものがある。
無数にある木製の椅子の間を通りながら光の下を目指す。
これだけの椅子を埋める人がここに来て祈りを捧げていたんだ。
――けれど、今ここには私しかいない。
祈る人がいなくなっても神様はまだここにいるのかな?
中央に掲げられた錆びた十字架を見てそう思った。
「っと、あったあった!」
光の下で屈むと自然に祈るような姿勢になる。
「これを袋に入れてっと、よし任務完了! 後は帰るだけね」
立ちあがって上を見ると、ステンドグラスの美しさに目を奪われた。
「きれい……、あれ?」
よく見てみると小さな亀裂が走っているのを見つけた。
「こんなにきれいなのに最後はみんな壊れちゃうのかな」
あのワインボトルも、このステンドグラスも。
汚れたモノも、きれいなモノも。
最後はみんな同じ。
それは平等のようで、どこか寂しい。
「――帰らなくちゃ」
お兄ちゃんに内緒で来ているし、心配かけたくないから急がなくちゃ!
私は足早に入ってきた扉を目指した。
ギィと再び重い音をたて扉を開いた。
「走って帰んなきゃ! お兄ちゃんに先越される前に!」
帰路を急ぐ私の後ろで扉の閉まる音がした。
再び教会に沈黙が訪れる。
祈る者がいない教会でステンドガラスは静かに輝いていた。




