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003 終わった世界の彩り方
「……や」
「アリス?」
「や、いや……」
「どうした、」
「いやぁ、ママ、いかないでッ!」
「アリスッ!」
――お兄、ちゃん?
気が付くと私はお兄ちゃんに抱きしめられていた。
「アリス、何を思い出したかは言わなくていい。けれど、これだけは聞いてくれ。アリス、君は一人じゃない、僕がここにいる。それだけは忘れないでくれ」
「お兄ちゃん……」
「落ち着いたかい? まだ少し気分が悪そうだからそこのソファに横にしているんだ、 その間に朝食を作っておくよ」
「待って」
心細さからつい呼び止めてしまった。
私に呼ばれてお兄ちゃんが振り返る。
「何だい?」
「その、私も、朝食作るのを手伝う」
「そうかい? じゃあまずは地下に保存してある材料を取りに行こうか」
「うん!」
こうして私たちの朝は始まる。
少しでもこの灰色の世界を違う色へと彩るために。




