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013 終わった世界の始め方
そうして
一人の少女が旅立ちました
ある時は毒の雨にさらされ、ある時は獣から身を隠し
またある時は夜空の下で孤独に耐えました
けれど少女は、一度も涙を見せることはありませんでした
少女は果てしない廃墟の地を歩き続けました
やがて、少女が歩んだ地には草木と笑顔だけが残りました
今は病が現れることはなく
今の世界は鮮やかに彩られ
そして、ただひたすらに花や草木が広がるだけでした
どこまでも、どこまでも
童話『灰色の終わり』巻末より抜粋
世界は終わった。
けれど、私たちは続いていく。