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かつ丼とサラダ  作者: いづる
1/5

かつ丼

ドン!!!

その力強い音が店内に響く


目の前の彼、木国 進がテーブルの上に掌を力一杯叩きつけた音だった

「はぁぁぁ」と海より深いため息の後

「ねぇ、おまえはくやしくないの?」

彼は強張った形相で言った。


私は少しの間、キョトンと放心状態に陥った。

彼の口から、本気のトーンで出た言葉に驚きを隠せなかったのだ。

聞き流しやり過ごす事も出来たがそうはいかないと思い、やっと出てきたのが

「えっ?なにが?」と言う言葉だった。

唐突すぎて他に何も言えずじまいで気まずい沈黙が続いた。


木国とは小学生の時、私から声をかけたのがきっかけで小中高とだらだらと腐れ縁が続いている。

家がご近所という事もあり趣味も合うので、よくつるんではこうして井戸端会議をしている。


今時流行らないゲジゲジの太い眉毛と団子っ鼻が、顔の中心にしっかり位置している。丼ぶりを持ち、威勢よくご飯をかっこみながら話す。


「何がだよ。しっかしバラ色の高校生活かと思ったら、またお前と一緒かよ」

と、花見野 香枝も同じく丼ぶりをかっこんでる。

「俺も、同じセリフ返すよ。しかし、おまえってさあ。テニス歴6年の俺と同じなのに、どんどん初心者に追い抜かれてくやしくないのかよ」

「へっ、くやしい? もしかしたら、それで怒っているわけ?」私だって、くやしくなかった訳じゃない。裏で何言われてるかも、わかっている。


「でも、辞める理由が思いつかないほど好きだから、続けてるの。そうじゃなかったら、とっくにやめてる」

「だよなあ。それにしても逆にすごい根性だよな」と、納得したのか進は

最後の米粒まで箸できれいに寄せて食べると満足げに、水を飲み干す。


「そうだ。先週俺のクラスに転校生来ただろう!」

「難病を克服して、転校してきたとか言ってたな」

「そいつと、友達になってくれないか。おまえだったら、異性として身構えなくてすむし元気をもらえると思って」

「また進のお節介焼きがでたな。それにしても異性としてかまえなくてすむって? どういう意味だよ。嫌みか?」

「嫌味な訳ないだろう。いきなり、俺みたいな体育系男子よりもおまえのほうがいいと思ってな。」

「ふーん、まあそれもそうだなあ。廊下とか、移動教室で見かけたやつだろう?! 話してみてタイプじゃなかったら、断るからな」


「ぶっー」思い切り、進は吹き出す。(タ、タイプって? 今まで蛇とかやもりとか爬虫類の好きな種類は聞いたことが、あるが……)

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