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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第6章 大陸暦1152年
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089 訓練施設

 大司教経由で話が伝わったのだろう、エリカとアリスちゃんにも国王陛下より特命が(くだ)った。

 その際、陛下にお願いして友人達を訓練するための場所、つまり訓練施設を用意してもらった。単なる広い講堂みたいな場所なんだけど、セキュリティは固い。部外者が訓練を(のぞ)けないように、もちろん入ってこられないようにしてもらっている。

 俺の仕事はもともと研究室でのアドバイザなので、常に研究室にいる必要はない。随時、仕事中でも王宮内に設けられた訓練所に出向いても良いってことにしてもらった。研究室の入っている建物から徒歩10分くらいだしね。

 ビルとアンネット嬢とアリアは仕事があるので、毎日は訓練に参加できないんだけど、できるだけ仕事終わりにでも立ち寄るようにしてもらっている。ただ、エリザベス様とエリカ、ソフィアちゃん、アリスちゃんは毎日訓練所に来ているけどね。てか、自転車の荷台に座席を増設して、アリスちゃんを後ろに乗せて王宮へ通勤しているよ。


 今年ももうすぐ終わるという冬の寒い日、俺はアリスちゃんと二人乗りの自転車で王宮への道のりを走っていた。アリスちゃんが俺の腰に後ろから手を回し、ぎゅっと身体を密着させている。なかなか暖かい。ちなみに、前世でこんな(うらや)まけしからんシチュエーションになったことが無いので、最初の内はドキドキしていたけどそろそろ慣れてきた。まぁ、相変わらずささやかなお胸なので、密着されてもそこまでの弾力は感じないんだけど。

「マーク様、今日こそは成功させますよ。なんとなく、もうすぐできそうな気がするんですよね」

「うん、成功すると良いね。もし成功したら何かお祝いしないとね」

「えへへ、ありがとうございます。頑張ります」


 そんな話をしながら王宮へと到着した俺達は、まずはアリスちゃんを訓練所に送ってから、俺だけ研究室のほうへ顔を出した。

「おはようございます」

 外燃機関研究室に顔を出して挨拶をしたあと、続けて土木・建築研究室にも行って朝の挨拶をした。

 外燃機関研究室の研究テーマは鉄道と蒸気機関車なんだけど、そろそろ王宮の敷地内に線路を引いて機関車を走らせてみようかという話になっている。蒸気自動車でノウハウを蓄積したので、蒸気機関車の開発はかなりスムーズだったのだ。

 土木・建築研究室では鉄筋コンクリートによる高層ビルディングの建築と蒸気自動車をアレンジしたブルドーザを研究している。なお、ブルドーザのバケットは蒸気によって上下できるように作っているよ。将来的にはパワーショベル(ユンボ)なんかも作りたいよね。

「マーク、お前が在籍しているうちに色々やりたいんだが、いかんせん時間が無いんだよなぁ」

 ゴードン室長からもロバート室長からも同じようなことを言われるんだけど、仕方ないね。文句は女神へどうぞ。


 俺は一通り研究室メンバーの作業を見てから、訓練所へ向かった。

 ドアの前に立つ衛兵さんに入室許可証を提示して訓練所の中に入ると、そこにはエリザベス様とアリスちゃんが仲良く会話していた。

「おはよう、エリザベス様。今日は早いね」

「おはよう、マーク。ええ、今日こそは身体強化が成功しそうな予感がして、いてもたってもいられず来ちゃったわ」

「エリザベス様もですか?私もなんです。成功したらマーク様にお祝いしてもらえるので、頑張りますよ」

 アリスちゃんの言葉にエリザベス様が目を光らせた。あ、なんか寒気が…。

「ねぇ、マーク。もちろん私にも成功のご褒美があるのよね?まさかアリスだけ、えこひいきするわけじゃないわよね?」

「はっ、もちろんです。とは言いましても、伯爵家のご令嬢であるエリザベス様に見合うような贈り物は平民の俺には難しいかと…」

 思わず敬語になっちゃったよ。

「そうねぇ。だったら、成功のご褒美はデートで良いわよ。あなた、アリスやアリア、それにエリカともデートしたそうじゃない」

「ああ、それで良いなら『お忍びの貴族令嬢に付き従う護衛』という(てい)で街歩きでもしようか」

「マーク様、私もご褒美はそれが良いです。私が身体強化に成功したら、今度こそ二人きりでデートしましょう。前はアリアに邪魔されたので…」

 アリスちゃんもご褒美はデートか。まぁ、それでやる気が出るならお安い御用だよ。


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