088 パーティーメンバー
俺の部屋の人口密度がえらいことになっている。
友人達全員が集合しているため、8畳のリビングに(俺を入れて)8人だよ。なお、ダンとジョセフィンさん、セシリアさんは馬車のほうで待機だ。
ちなみに、実家の家族からはあとで屋敷のほうに顔を出せと申し付けられている。
「それであんたの上司と相談した結果はどうだったの?上司って国王陛下よね?」
「いや、違うよ。どちらかと言うと大司教猊下のほうかな。まぁ、そっちも本当は違うんだけど…」
エリカの質問には誤魔化して答えるしかない。
「要は言えないってことね。まぁ、良いわ。それで私も連れていってもらえるのよね?」
「ああ、国王陛下からエリカにも特命を出すように手配されるはずだよ。それとアリスちゃんにも」
「ええええ?私にもですか?」
アリスちゃんが驚いているけど、意外だったかな?
「あらためてお願いするよ。エリカ、アリスちゃん、俺と一緒に危険な旅に出てくれるだろうか?」
ここでエリザベス様が話に割り込んできた。
「ちょっとマーク。エリカは分かるけど、アリスは無謀じゃない?大丈夫なの?」
「まぁ旅立ちまでには大丈夫になる予定だよ。アリスちゃん、これから君には厳しい訓練を課すことになるけど、ある技術をマスターできなければ連れてはいけないんだ。どうかな?」
「はいっ!もちろん大丈夫です。絶対に付いていきますから!」
よし、これでパーティーの人員確保はOKだね。
「その訓練って何だ?僕でもできるのかな?」
「ああ、できるぞ。基本的には誰でもできる技術らしい。マスターするのに一般人で三か月くらい、魔法士や魔法師なら半年以上はかかるけどな」
ビルの質問に答えると、ソフィアちゃんも発言した。
「マークお兄ちゃん、私も習いたい。何の訓練なのか知らないけど」
そうだった。『ある技術』としか言ってなかったよ。
「えーっと、ここにいる人限定で教えるけど、習いたい人は申し出てくれ。ただし、他人への伝授は禁止。自分だけの技術とすること。あ、他人に教えるのがダメってことで、見せるのは構わないよ」
「それでいったい何の技術なのよ。もったいぶってないで早く言いなさいよね」
はっ、了解です、エリカさん。
「魔力を身体中に巡らせて身体能力の向上を図る技術、つまり『身体強化』だよ」
「ちょっとマーク、私は魔法学校で『身体強化魔法』は存在しないと習ったわよ。どういうこと?」
「うん。エリカ、そこが勘違いしやすい点なんだけど、この技術は『魔法』じゃないんだよ。だからこそ、誰でも訓練次第で習得できるんだけどね」
アリスちゃんが心配そうに言った。
「私は魔力に関する訓練をやってませんけど、習得できるでしょうか?」
「大丈夫、実は魔力の移動訓練をやっていない人のほうが習得は早いらしい。だからエリカやソフィアちゃんは苦労するかもしれないね。俺もそうだったけど」
「らしい…って誰から聞いたのよ?それがあんたの上司ってわけ?」
エリカの勘の鋭さはやはりすごいな。その通りです。
「それは秘密です。でも確実な情報だよ」
なにしろソースは女神だからね。
「おう、だったら教えてもらおうかな。僕はお前のように剣を習ってないから、そういう腕っぷしの強さに憧れるんだよな」
「あたいも習いたい。木工の仕事にも役立ちそうだし」
「だったら私も訓練したいです」
順にビル、アリア、アンネット嬢の発言だ。
「エリザベス様はどうします?」
「そうねぇ。私だけ仲間外れは嫌だし、せっかくだから習ってみようかしら。舞踏会で言い寄ってくる男どもをぶん投げるのに役立つかもしれないしね」
いや、ぶん投げちゃダメでしょ。てか、本当にぶん投げそうで怖いな。




