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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第6章 大陸暦1152年
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081 魔力付与の成功

 エリカとのデートの際に初めて成功した『身体強化』だが、その翌日に筋肉痛になることもなく無事だった。やはり強化した時間によって筋肉への負荷が違うのだろう。

 どのくらいの時間なら大丈夫なのかを検証すべきなんだけど、やる気が起きないよ。そりゃそうだ。翌日、筋肉痛になるんだから…。今度教会で女神に尋ねてみよう。

 もう一つの技術である『魔力付与』、つまり武器に魔力をコーティングする技術だけど、こちらもなんとかマスターできそうだ。

 今、アパートの裏庭に鉄棒を立てている。太さは直径2cmで長さは2m、その鉄棒を50cmほど地面に埋め込んでいるのだ。苦労して深さ50cmの穴を掘り、鉄棒を立ててからそこにコンクリートを流し込む。これで来週の休日には訓練に使えるようになっているだろう。


 んで、次の休日、早朝から俺はその鉄棒の前に木刀を構えて立っていた。まだ暗い早朝である理由は、あまり他人(ひと)に見られたくないからだ。

 木刀に魔力をまとわせ、それを硬化させる。一応、刃に当たる側が鋭利になるようにイメージしてみよう。

 『身体強化』を発動させてから、木刀を袈裟懸(けさが)けに振りぬいた。

 あれ?鉄棒に当たった衝撃が手に伝わると思っていたら、なぜかあっさりと振り抜けたよ。やべぇ、木刀が折れたかな?

 そして、一瞬の(のち)、鉄棒がゆっくりと二つになって上半分が地面に落ちた。えええ?嘘だろ?木刀で鉄の棒を斬っちゃったよ。まじか?

 木刀の状態を確認すると、傷一つ付いていない。うーん、これは相当やばい技術なんじゃないか?てか、せっかく苦労して地面に埋めた鉄棒が短くなっちゃったよ。


 横で見ていたアリスちゃんが手を叩いて喜んでいる。

「マーク様、すごいです。手品みたいです」

 まぁ、確かにあり得ないって意味では手品みたいだね。俺もちょっと信じられないよ。

 あとは発動までの準備時間だな。すぐに『魔力付与』を発動できるように練習していこう。もちろん『身体強化』もだけど。

 そう言えば、森に落ちてる木の枝なんかにも『魔力付与』できるのかな?まぁ、おそらくはできると思うけどね。あと、素手つまり手刀(しゅとう)にも『魔力付与』ができれば面白いな。もしそれができるのなら、無手での無双ができるかも。うーん、男のロマン。


 その日の昼前に一人で教会へ行った。

 大聖堂で(ひざまず)いて祈りを(ささ)げると、すぐに女神の声が聞こえてきた。

『マーク、今回は前回の祈りより2週間しか()っていませんが、どうしましたか?』

 身体強化と魔力付与に成功したことを報告しようと思いまして。あと、身体強化の筋肉にかかる負荷について、詳しいところを教えてください。

『それはおめでとう。あなたの今の筋力であれば、身体強化が3分以内であれば負荷はほとんど無いはずですよ。つまり翌日の筋肉痛はありません。ただし、5分が活動限界ですから、気を付けてくださいね。5分を過ぎるとその場で動けなくなってしまいますよ』

 なるほど。アンビリカルケーブル断線後に内部電源のみで動く場合の活動限界と同じですね。って、何の話だよ。

『あなたもエヴァ好きだったのですね。私も好きなんですよ。新劇よりも旧劇ですよね、やっぱり』

 いや、俺は新劇の序が好きですけどね。特にラストの「笑えば良いと思うよ」のところとか。てか、テレビ版とか前世では年齢的に見てないですよ。


 このあと、なぜか地球(日本)のアニメの話で盛り上がった女神と俺だった。意外とオタクな女神だった。


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