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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第6章 大陸暦1152年
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077 デート②

 馬車の御者台にはメイド服を着た人が座っている。アーレイバーク家のメイドさんかな?あと、馬車の中には誰もいないみたいなので、どうやらエリカ一人で来たようだ。護衛も無しに物騒だな。もっとも、護衛が必要だとは思えないんだけどね。

「エリカ、こんにちは。ちょっと留守してたんだけど、いつ頃ここに来たの?」

「今さっき来たところよ。それよりも両手に花で(うらや)ましいわね」

「ああ、ちょっと街歩きをしてただけだよ」

「エリカ様、こんにちは。今日はマーク様とデートだったんですよ」

 アリスちゃんはナチュラルにあおるよね。うん、知ってた。

「へ、へぇ。それはそれは、お楽しみのところを失礼したわね。マーク、良かったわね」

 なんだか(とげ)のある言い方に聞こえるのは気のせいだろうか。

「エリカ様、こんにちは。マークとアリスとあたいの三人でデートしたんですよ。マークとアリスが二人でデートするのを阻止したので()めてください」

 アリア、さすがのメンタルだよ。うん、知ってた。


「まぁ、とりあえず俺の部屋に行こう。あ、メイドさん、すみませんがちょっとここで待っていてください」

「はい、承知しました。エリカお嬢様、ごゆっくりどうぞ」

 エリカ先生はアーレイバーク家のメイドさんから『お嬢様』と呼ばれてるんだね。


 まぁ、それはともかくとして、俺の部屋に全員が入って、今から弾劾(だんがい)裁判が始まるって様相だ。

「それで詳しい状況を教えてもらえるかしら?」

 俺がメインとなってエリカに説明してあげたよ。アリスちゃんやアリアに任せると焚火(たきび)にガソリンをかけるようなことになるかもしれないからね。

 冷や汗をかきながらできるだけ正確に真実を伝えたんだけど、エリカの機嫌は悪いままだ。不機嫌オーラが出まくっている。俺にどうしろって言うんだ?

「あんた、私の婚約者だったときに一度でもデートらしいことをしたかしら?」

「えっと、そうだね。記憶には無いかな?」

 いや、貴族が気軽に街歩きなんかしないっての。普通は商店主を屋敷に呼びつけるものだからね。

「こ、今度、私ともデートしなさいよね。それで許してあげるわ」

「うん、良いけど、平民っぽい服で来てよね。というか、デートじゃなくて『お忍びで出歩く貴族のお嬢様をエスコートする護衛』って雰囲気にしないと、平民の俺は悪目立ちすることになるんだけど、そこのところちゃんと分かってますか?」

 貴族社会における身分の差は、日本人的感覚からすると想像もできないほど大きいんだよ。

「分かってるわよ。私の専属護衛としてこれからも精進しなさい」

 あれ?勝手に専属護衛に任命されてるけど、俺の意思は?


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