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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第6章 大陸暦1152年
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075 土木・建築研究室

 6月、年度途中にもかかわらず、新たな研究室が立ち上げられた。その名も土木・建築研究室。

 研究内容は、建設重機(スチームローラー等)や建築素材(コンクリート等)についてってことになる。

 そしてなぜかそこにも所属することになったのだ。…って誰が?俺だよ、オレオレ。

 外燃機関研究室と土木・建築研究室の両方に所属っておかしいんじゃないの?しかも国王陛下の特命だよ。断れねぇ…。

 まぁ、俺自身の研究テーマは無くて、あくまでもアドバイザで良いらしいので、なんとか両立できそうではあるんだけど。


 もともと外燃機関研究室に所属していて蒸気機関の構造にも詳しく、なおかつ土木にも興味を持っているという人が土木・建築研究室の室長に任命された。

 それがロバートさんだ。そう、去年自転車開発チームのチームリーダーだった人だね。俺としてもロバート室長だったら働きやすいのでありがたいです。

「マーク、これからよろしくな。新しいアイディアはどんどん出してくれて良いぞ。一緒に技術革命を起こしてやろうぜ」

「はい、よろしくお願いします。さっそくですが、蒸気圧による可動式の排土板が欲しいですね。バケットタイプの排土板を上下できれば便利です。あとは土木機械として使う蒸気自動車を後退(バック)できるようにしないと…。それに…」

「おいおい、ちょっと待て。一度に言うな。少しずつやっていこうぜ。ふぅ、ゴードンさんの苦労が少し分かった気がするぜ」

 は?別にゴードン室長に苦労はかけていないと思うんだけどな?


「とりあえずコンクリートの配合実験からですね。郊外実験場のコンクリート舗装はすぐにやらないと…」

「ああ、そうだな。何か注意点はあるか?」

「そうですね。配合する砂ですが、川砂がベストで海砂はあまり良くないって聞いたことがあります。あと、石灰に水を加えると発熱しますので、火傷(やけど)に注意ですね。あ、石灰を加熱して生石灰(せいせっかい)を作ったほうが良いのかどうかは俺もよく覚えていません」

 加熱温度も知らないよ。100度や200度といった低い温度ではなかったと思うけど。

「まぁ色々と試してみるさ。そのための研究室なんだからな」


 この研究室、優秀な研究員が王宮の各所から引き抜かれて、さらには在野からも募集したらしい。俺も含めてロバート室長以下、総勢12名の研究員が揃っているので、きっとなんとかなるだろう。俺には無理だけど…。

 ちなみに王都の石畳は、雨の排水という点ではコンクリート舗装よりも優れていると思う。なので、コンクリートの出番は道路よりも建物のほうにあるかもしれないね。あ、その場合、鉄筋にしないといけないだろうね。

 この国の建物は全て木造建築で、王城なんかも遠目には白亜のお城なんだけど、実は木造で漆喰(しっくい)を塗っていることによる白さなんだよ。姫路城みたいな感じかな。もちろん造形的には西洋のお城だけど。

 鉄筋コンクリートが使えるようになれば、建築における革命になるだろう。うん、楽しみだ。


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