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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第5章 大陸暦1151年
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064 新生活②

 俺達は近況を説明し合ったんだけど、卒業式からそんなに日も()っていないので、主に俺とアリスちゃんの現状説明になった。

「アリスがカーチス家のメイドを辞めたのは知っていたのだけど、まさかマークの隣の部屋に住んでいるとは思わなかったわ。でも間違いが起きていなくて本当に良かったわね」

 エリカが冷たい目で俺を見て言ったんだけど、もしも間違いが起きていたらどうなっていたんでしょうか?


 ここで友人達の卒業後の進路をまとめておこう。

・エリザベス様…実家で行儀見習い。なお、新たな婚約話は断り続けているらしい。

・エリカ…アーレイバーク家での住み込み家庭教師(ソフィアちゃんの先生)。

・アンネット嬢…アリアの家の工房(木工場)を手伝いながら、【木工】の技能向上に努めている。

・ソフィアちゃん…日々マジックバッグの生成訓練を行うとともに、一般教養の勉強中。

・ビル…【裁縫】の技能を活かすため、縫製(ほうせい)工場に就職。

・アリア…アンネット嬢と共に実家の工房(木工場)で働いている。


 ちなみに、上の四人が貴族で、下の二人と俺とアリスちゃんが平民だから、貴族と平民の割合は半々(4対4)になった。

 貴族令嬢って早めに婚約者が決められていないと色々と困る(舞踏会のパートナーなどで)と思うんだけど、どうやらこの四人にはまだ婚約者がいないらしい。まぁ、エリザベス様は婚約破棄したばかりだし、エリカは死霊魔法師(ネクロマンサー)だから敬遠されているってのもある。ソフィアちゃんはまだ幼いから良いけど、アンネット嬢はどうなんだろう?内気な性格が災いしているとしても、早く婚約者を決めておくべきだと思うんだけどな。

 まぁ、平民の俺が心配することでもないんだけど…。


「マークお兄ちゃん、私の生成するマジックバッグだけど、セキュリティ機能を付けられるようになったんだよ」

 俺が貰ったマジックバッグはめちゃ便利なんだけど、実は誰でも出し入れできるんだよね。腰のベルトに付けて人込みを歩くときは、気を付けておかないと簡単に中身を()り盗られてしまうのだ。

 エリザベス様の持っているマジックバッグがエリザベス様本人にしか使えないのとは大違いだよ。

 これはセキュリティに関する機能があるかないかの違いらしい。そうか、ついにソフィアちゃんのマジックバッグにもセキュリティ機能を付けられるようになったのか。

「それは良かったね。これでついに市場に出せるようになったのかな?」

 実は、今まで生成されたマジックバッグって、一般販売されていないのだ。そりゃセキュリティの無いものは売れないわな。

「うん、王宮の専売ということで徐々に広めていくらしいよ。売れた価格の7割を私が貰えるんだって」

「そりゃすごい。あ、もしかしたらソフィアちゃんは王室に(とつ)ぐことになるかもしれないね」

 そうなのだ。あの国王陛下には4人の王子と2人の王女がいるらしくて、たしか末の王子がソフィアちゃんと同じくらいの歳だったはずだ。

「マークお兄ちゃん、もしそんな話が来たらどうしよう?断っても良いのかな?」

「いや、さすがに断れないだろうね。てか、断るなんてとんでもない。すごい玉の輿(こし)になるからね」

「いやっ!私はマークお兄ちゃんと結婚するんだもん。たとえ王子様でも断るよ」

 あー、だから俺とは身分差で結婚できないんだってば。エリカ、その辺の貴族教育について、ちゃんとやってるんだろうな?俺は非難の目でエリカを見つめた。

「あんたの言いたいことは分かる。きちんと教育しているわよ」

 エリカもやれやれといった風情(ふぜい)で俺に反論した。


「まぁ仮定の話でどうこう言っても始まらない。さすがに男爵家令嬢が王室に入るってのはあり得ないことだから、まず大丈夫じゃないかな」

 普通、王子様のお相手は公爵家や侯爵家で、まれに伯爵家の令嬢が選ばれるくらいなのだ。男爵家令嬢なんてまず無いとは思うが、あの陛下だからなぁ。舞踏会で一度だけお会いすることができたんだけど、何となく従来の慣習に(とら)われない人物であるように感じたんだよな。

 あと、俺のこの発言にジョセフィンさんの眉がぴくっと動いたってのが、ちょっと気になるんだけどね。


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