051 精神年齢
王都へ戻る2泊3日の復路では一日だけ馬車の御者を交代して、俺とジョセフィンさんが御者台に、ダンとセシリアさんが車内ということになった。さすがに三日連続で御者台ってのはつらいだろうからね。
何気にダンとセシリアさんの仲が急接近というか、距離が縮まっていたのが意外だったよ。でも、彼は空気が読めないよ。それで良いのか、セシリアさん。
「マーク様と会話していると年配の男性と話している気分になりますね。いえ、決して悪口ではないのですが」
まぁ、精神年齢はそうかもね。前世の記憶が残っている弊害だろう。
「子供っぽくないことは自覚していますよ。お気になさらず」
そんな話を御者台でジョセフィンさんとしていると、車内からダンが声をかけてきた。
「マーク坊ちゃんって絶対俺よりも年上だろ?なんかうちのお屋敷の執事の爺さんと同じ匂いがするんだよなぁ」
失礼な!加齢臭は無いはずだぞ。てか、あんたが子供過ぎるんだよ。
俺が無視していると、馬車の車内では俺の年齢詐称疑惑に関する議論が始まった。
「あいつは14歳じゃなく、18歳くらいだと思うな」
このビルの発言にアンネットが反論した。
「私は16歳くらいだと思いますね」
「違うわ、そんなレベルじゃないはず。きっと30歳くらいよ」
って、おい!この声はエリザベス様だな。
「マークは正真正銘14歳よ。私は小さいころから一緒だったからね」
そうそう、さすがはエリカさんだ。やはり持つべきものは幼馴染だな。
「でもあの落ち着きようは20歳を超えてますよね」
アリスちゃんの発言にがっくりきた。そんなに老成した感じなのか?
「私はマークお兄ちゃんが何歳でも構いませんよ。私が成人したら、け、け、結婚を」
「はい、そこまでー。ソフィアちゃん、不穏な発言は慎むように。マークは私の婚約者なんですからね」
隣のジョセフィンさんが小声で俺にささやいた。
「相変わらずモテモテですね。ナイフで刺されないように気を付けなさいよ」
「ハハハ」
乾いた笑いしか出ねぇ。いや、エリカならナイフなんか使わずとも魔法でお仕置きできちゃうからね。
そんなこんなで、復路は何の問題も発生せず、王都へと帰り着いたよ。
うん、なかなか楽しい旅行だった。明日からはまた車輪生成の日々が始まるなぁ。リヤカー用の<自転車の車輪>の供給が需要に間に合ってないんだよ。
夏休みだってのに忙しいのはいつも通りではあるけど、収入もすごいことになっている。家族用の新型ベッド代(2600万エン)を稼ぐためにも頑張らないとね。




