042 マジックバッグ生成①
教会の中は大騒ぎだ。とりあえず王宮の恩恵管理局への報告と、この場にいる全員への箝口令が言い渡された。
現在、王国に二人いる【マジックバッグ生成】の【恩恵】保持者はどちらもご高齢で床に臥せっており、新たなマジックバッグを作れる状態ではないそうだ。
だからこそ一個1億エンなどというふざけた価格になっているわけだけど。
そこに新たな【マジックバッグ生成】を授けられた者が現れたのだ。王宮としては王城内に軟禁したいくらいじゃないかな?
てか、この情報が漏れた場合、ソフィアちゃんが悪人に誘拐される未来しか見えないよ。女神も良かれと思ってやったことだろうけど、本人にとって幸せかどうかは分からないよね。
はっきり言って王子様や王女様よりも尊い存在かもしれない。不敬罪になるから言えないけど。
「大変なことになった。うちのような男爵家には荷が重いよ」
アーレイバーク男爵が嘆いているけど、申し訳ない…悪いのは女神なんです。俺がここにいたせいでもあるんだけど。
アンネット嬢とソフィアちゃんは手を取り合って喜んでいるけど、無邪気なものだ。てか、姉妹仲が良くて、見てて癒されるね。
恩恵管理局の人が大慌てでやって来たけど、俺の良く知ってる人だった。てか、この場に俺がいるのを見て驚いていた。
「とにかくソフィア・アーレイバーク様には護衛を手配します。ただ色々と調整が必要なため、とりあえずは安全な王城内に保護させていただきたい」
うむ、保護という名の軟禁だな。でもそのほうが良いだろうね。
まじでこの【恩恵】はやばい。
「王城に入るのはソフィアだけですか?できれば私達もこの子の近くに付いていてあげたいのですが」
アーレイバーグ男爵の奥方様が恩恵管理局の人に質問したけど、回答は期待していたものではなかった。
「申し訳ありません。ソフィア嬢だけでお願い申し上げます」
「そ、そんな…」
これを聞いたソフィアちゃんが言った。
「いや、私、行きたくない」
恩恵管理局の人も困り顔だ。あくまでもマニュアルに従って行動しているだけだろうし、付き添いを認めるかどうかは上司の判断を必要とするのだろう。
俺はしゃがみこんでソフィアちゃんと目線の高さを合わせてから言った。
「ソフィアちゃん、一人で不安だろうけど、王城が一番安全なんだよ。護衛が決まればすぐに帰ってこられるから、それまで一人で頑張れるよね」
しばらく俯いて考えこんでいたソフィアちゃんだったけど、顔を上げたときには決意の表情に変わっていた。
「マークお兄ちゃん、私、頑張るよ。でも頑張れるように、キ、キスしてくれないかな?」
真っ赤な顔になったソフィアちゃんは妹みたいで可愛いんだよな。俺はソフィアちゃんの額に軽くキスをしてあげた。親愛の証だね。
アーレイバーク男爵とアンネット嬢の射殺すような視線が俺に突き刺さる。いや、本人の希望なんだし、仕方ないじゃん。
恩恵管理局の人は、事態を収拾した俺に感謝の目礼をしてくれたけどね。
ヒロイン候補「ソフィア」の登場です。
現時点ではロリキャラです。




