表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第1章 大陸暦1146年
4/160

004 初生成②

 突然、部屋のドアがノックされ、姉さんの声が聞こえてきた。

「マーク、大きな音がしたけど大丈夫?何かあったの?」

 ターニャさんがドアを開けるとドリス姉さんが入ってきた。心配そうな顔をしている。

「ごめん、姉さん。ちょっと【恩恵(ギフト)】を試していてね。生成したものが床に落ちて大きな音がしただけだよ」

「もう、驚かさないでよ。それで、その丸いものは何なの?なんだか怖いんだけど…」

 この世界の人の魂は交通事故死した人のものばかりって女神が言っていたから、もしかしたら遺伝子、じゃなかった魂のレベルで車輪に対する恐怖が植え付けられているのかもしれないね。

 …いや、まさかね。

「よく分からないけど、これが車輪っていうものらしいよ。使い方はこれから調べてみるよ」

 説明が面倒なので、ごまかしておいた。

「ふーん、生産系の【恩恵(ギフト)】ってなんだか面白そうね。私の【治癒魔法】ってモノを生み出すものじゃないから、ちょっと(うらや)ましいわ」

 いやいや、どう考えても【治癒魔法】のほうが良いと思います。ファンタジーの定番だし。


 その後、ドリス姉さんとメイドのターニャさんが退室し、俺一人になった。

 床の絨毯(じゅうたん)の上に重い車輪が載ったままだと絨毯に(あと)が付いて怒られそうなので、消せるかどうかを試してみた。

 メニューから<車輪削除>を選ぶと、この部屋の地図が白黒で表示され、そこに一つだけ赤い点が点灯している。おそらくこの点がさっき生成した車輪だと思われる。

 地図の拡大や縮小も念じるだけで自由自在だ。そしてその赤い点を選択した瞬間、ダイアログボックスが表示された。そこには『削除しますか?[はい][いいえ]』とあったので[はい]を選択した。

 その瞬間、床の上にあった車輪が消えうせた。ただし、今度は魔力が失われた倦怠感は無かったよ。


 くくく、なんか楽しくなってきた。もう少し練習しようかな。

 今日はもう寝るだけなので、気絶しても良いようにベッドの中に寝転んで車輪生成の限界を試してみることにした。

 <滑車>を選んだ場合、材質は鉄のみで直径と幅を設定することができ、凹型の溝があるものが生成できた。井戸にやぐらを組んでそこに滑車を取り付ければ、井戸の水くみが多少は楽になるかもね。

 <キャスター>を選んだ場合、やはり材質は鉄だったけど、接地面は鉄かゴム製を選択できた。ただし、サイズは固定だ。椅子の脚に取り付けたり、食事の配膳用ワゴンを作ったりできるかな。

 ただし、<滑車>と<キャスター>は<車輪削除>で削除できなかった(削除対象物として表示されなかった)。別に小物だから良いけどね。

 あとは大きな音がしないように10インチサイズの馬車の車輪を大量に生み出してみた。この大きさだと馬車というよりは台車とかに使えそうだ。調子に乗って生成していると意識が遠のいてきた。これって眠れないときに有効…か…も…。


 翌朝、すっきりと目覚めることができたんだけど、床一面に広がる車輪に足の踏み場もない状態だった。絨毯に痕が付いて怒られるパターンだ、これ。やっべぇー。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ