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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第4章 大陸暦1150年
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039 卒業制作②

 卒業制作で『馬車』を作るのは良いんだけど、一つ問題がある。それはサスペンションだ。

 板バネにしてもコイルスプリングにしても難易度が高いんだよな。サスペンション無しでも良いけど、乗り心地が悪くなるのが問題だ。

「100%自力で作る必要はないそうよ。卒業制作の作品にプロの作った既存の部品を組み込むのはよくやることらしいわ」

 アンネット嬢が同じ木工1組のクラスメイトであるアリアに聞いた話らしい。

 うーん、だったらエイミーさんに大型のコイルスプリングを4つ作ってもらって、四輪独立懸架(けんか)を実現しても良いな。現在の馬車は左右の車輪が車軸で繋がっているから、サスペンション性能はあまり良くないしね。まぁ、無理そうなら従来通り車軸懸架(けんか)でも良いんだけど…。


 それにしても、毎日学校の行き帰りに馬車の中で打ち合わせができるのはありがたいね。今日も大きな紙を馬車の中のテーブルに広げて、ラフデザインをしているところだ(まだ設計図を書くまでには進んでいない)。

 各人が意見を出し合いながら構想を練っていくのは楽しいよ。うん、やはり卒業後は蒸気機関プロジェクトに参加しようかな。一人で商会を立ち上げるよりは楽しいかもしれない。


 ところで『卒業制作』というくらいなので、卒業式に合わせて作っていくことになる。製作期間は短い場合で三か月、長くても半年くらいらしいので、俺達も実際に作り始めるのは夏休み明けかな。

 一応、馬車のラフデザインはすでに完成している。御者台は一人用で、車内は四人乗り。二頭立ての小型馬車だ。

 車台(シャシ)担当はエリザベス様で、サスペンションも組み込む予定。

 馬車本体はアンネット嬢の担当で、労力的には一番大変かな?

 車内のソファなどの内装と革製の馬具を担当するのはビルだ。

 アリスちゃんが網入り強化ガラスを生成し、俺が車軸付きの<馬車の車輪>を生成する。

 俺とアリスちゃんは担当分のパーツを生成したら暇になるため、他のメンバーの手伝いに回る予定だ。と言っても【加工】の技能を持ってるわけじゃないから、あまり戦力にはならないかもしれないけど。

 設計図の書き方なんかは3年生の前期の授業で教わるそうなので、やはり実際に活動を始めるのは夏休み明けになるだろうね。ちなみに、生成組にはその授業(設計図の書き方)は無い。残念。


「ねぇ、マーク。馬車の外装部分だけど、私一人だけじゃ少し難しいかもしれない」

 アンネット嬢から相談を受けた。うん、実は俺も気になっていた。

「君と同じクラスに俺達のグループに入ってくれそうな【木工】技能者はいないかな?木工2組からでも良いんだけど」

「うん、それでね、アリアが私達のグループに入りたいんだって。良いかな?」

「へぇー、アリアはてっきり自分でグループを立ち上げて、何か作るものだと思ってたよ」

 なにしろ友達が多い奴だからね。

「もともと卒業制作には参加しないつもりだったんだって。でも、この前描いた馬車のラフデザインを見せたら、ぜひ参加したいって。将来は自分のところでこの馬車を売り出したいって言ってたよ」

 なるほど、ちょっと動機が不純な気もするけど、まぁアリアだったら良いか。エリザベス様との相性が気になるけどな。


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