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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第4章 大陸暦1150年
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037 空気入れ

 年が明けて2月、鍛冶屋のおじさんのもとを訪れた俺は、目の前に置かれた『空気入れ』を感慨深く眺めている。

 すでにおじさん自身は何度もテストをしたそうなんだけど、俺も試させてもらおう。自転車のタイヤを生成して、バルブのキャップをはずす。

 バルブに『空気入れ』の空気が出る口金部分を固定して(おじさんに押さえてもらって)、ポンプのハンドル部分を上下して空気を入れていく。おぉ、シュコシュコ言ってるよ。

 タイヤのチューブがパンパンに膨らんで、タイヤを指で押したときの固さがちょうど良い感じにしてみた。

「おじさん、完璧だよ。ただし、口金の部分をバルブに固定する人とハンドルを上下する人の二人が必要なのは困るね」

 そうなのだ。前世の空気入れって口金部分をバネの力でバルブに挟み込むことで固定していたよね。その機構が無いので、誰かが押さえてないといけないのだ。

 でも、これって『ねじりコイルバネ』の出番じゃないか?

「マーク坊ちゃん、ありがとうございます。口金固定は色々と考えてみたんですが、うまい方法を思いつかなくて…」

「今度エイミーさんって人を連れてくるから、その人と相談してみてよ。多分、解決するから」

 【バネ生成】の【恩恵(ギフト)保持者(ホルダー)のエイミーさんね。今や引っ張りだこで大人気のフリーランス職人だよ。


 自転車のタイヤをリヤカーに使用するにはこの『空気入れ』の普及もセットってことになる。鍛冶屋のおじさんにとっては新たな商売のチャンスになるだろう。

 あとは自転車そのものを作るかどうかだな。2輪は乗りこなすのが難しいかもしれないけど、3輪なら普及するかもしれないな。駆動に必要な自転車のチェーンは鍛冶の技術で作れそうだけど、無理そうならギヤの組み合わせでも良いよね。

 そうだ、自転車はここのおじさんには教えずに、【鍛冶】の『技能』を持つエリザベス様に作らせようかな。エリザベス様を自転車の発明者にしてあげよう。友達だし。

 まぁ、それは技術学校を卒業して、成人してからの話、つまり来年の4月以降の話だな。それまでに『空気入れ』が世の中に普及していれば言いわけだ。うん、1年ちょいあるから大丈夫だろう。


 あ、1年と言えば、蒸気機関プロジェクトに参加するかどうかも決めないとね。

 恩恵(ギフト)管理局の人からは今年の10月くらいまでに返事が欲しいと言われてるんだよなぁ。どうしよう?


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