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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第3章 大陸暦1149年
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035 秋の状況

 学校の夏休みも終わり、秋から冬にかけての季節になったが、またもや王宮の恩恵(ギフト)管理局から呼び出された。

 来年度の予算編成をしているらしいんだけど、いよいよ来年から重油を燃焼させることによる蒸気機関の研究を始めることになったそうだ。んで、俺が再来年に技術学校を卒業したら、そのプロジェクトにアドバイザとして参加してほしいと言われたよ。

 うーん、学校を卒業して成人したら、自分の商会を立ち上げようと思っていたんだけどなぁ。まぁ俺の【車輪生成】で蒸気機関車の車輪を作るってのも魅力的だけど、どうしようか?

 返事はすぐにじゃなくても良いと言われたので、とりあえずは保留だな。ゆっくり考えよう。


 呼び出されたついでに灯油ストーブの構造を教えてあげた。灯芯をつまみを回すことで上下する(出し入れする)タイプね。

 暖房器具と言えば、王宮では暖炉、一般家庭では(まき)ストーブが普通なんだけど、灯油ストーブって薪ストーブに比べると超お手軽なんだよな。俺の部屋にも一つ欲しいんですよ。もうすぐ冬になるしね。

 恩恵(ギフト)管理局の人もこの情報に喜んでいたよ。すぐに鍛冶屋に相談してみると言っていた。試作品が出来上がったらぜひ試用させてください。


 あと、商売に関してだけど、鍛冶屋のおじさんのところはリヤカー製造で大儲け、大工の親方(アリアの父ちゃん)のところは馬車とベッドと配膳ワゴンなどで大儲けだそうだ。

 もちろん俺も車輪の提供で大儲け、アリスちゃんも板ガラスの提供で大儲けという状況だね。

 異世界での定番である戦闘や魔法も良いけど、やはり生産職って良いなと思う今日この頃…。命の危険も無いしね。


 そうそう俺の【恩恵(ギフト)】である【車輪生成】は習熟度が上がったことで、ついに<自転車のタイヤ>を選択できるようになった。ただし、空気入れが無いとタイヤのチューブに空気を入れられないんだけど、これについては鍛冶屋のおじさんに相談してみないといけない。

 なので、リヤカーの車輪を<自転車のタイヤ>に変更したいんだけど、まだできないんだよな。

「おじさん、今までの重い車輪に比べたら格段に軽くて丈夫だよ。どうかな?」

「マーク坊ちゃん、このスポークって言うんですか?細い金属の支柱で支えられたゴム製の車輪に空気を入れて使うってのは画期的な発明ですね」

 鍛冶屋のおじさんに自転車のタイヤを見せて、空気入れの製造をお願いしているところなのだ。

「うん、『タイヤ』って言うんだよ。で、できそうかな?俺は『空気入れ』の仕組みがよく分からないからお願いするしかないんだけど…」

「そうですね。なんとか考えてみますよ」

 よし、任せたよ。一応、手押し式の空気入れの外観デザインだけは伝えておいた。でも、ポンプの部分の内部構造が分からないんだよな。


 それからアリスちゃんの【ガラス生成】では<板ガラス>に新たなオプションが増えたそうだ。

 なんと、(あみ)入り強化ガラスが作れるようになったのだ。これは古参の職人(【ガラス生成】の【恩恵(ギフト)保持者(ホルダー)で、かつ長い間研鑽を積んだ人)ならば至れる境地みたいなんだけど、まだ技術学校の生徒であるアリスちゃんが作れるようになったのはすごいことらしい。

 なんだか俺の周りって優秀な人が多くない?エリカもそうだし、アリスちゃんもだよ。俺も負けていられないな。


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