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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第3章 大陸暦1149年
33/160

033 新型ベッド

 『コイルスプリング付き高級ベッド』が完成したので、マジックバッグに収納されたそれを大工の親方がうちの屋敷に納品しに来た。

 両親の寝室にあった従来のダブルベッドをマジックバッグに収納し、代わりに新型ベッドを設置した親方が俺に言った。

「マーク様、それではここにもともとあったベッドは私どものほうで処分させて頂きます。もしも新しいベッドに不具合がありましたらすぐにご連絡くださいませ」

「うん、ありがとう、親方。あ、そうだ、今度俺の友達を連れてアリアのもとを(たず)ねるかもしれない。アリアの耳にも入れておいてね」

「はい、分かりました。うちの娘に何か?」

 不安そうになった親方に俺は安心させるように言った。

「いや、単に遊びに行くだけだよ。連れて行く友達も同い年の女の子だから安心して」

 そう、アンネット嬢を紹介するだけだからね。


 親方が屋敷を辞したあと、俺は母上のもとへ行き、報告した。父上は王宮で仕事なので、屋敷へはまだ戻ってきていない。

「母上、寝室のベッドを新しいものに交換しましたので、使い心地を試してみてください。柔らかすぎると感じた場合は、多少の固さ調整はできますので」

「ありがとう、マーク。ちょっと行ってくるわ」

 いそいそと寝室へと向かう母上を微笑ましく眺める俺だった。って、どっちが年上か分からないな(前世の分を含めると、精神年齢は俺のほうが上だろうけど)。

 そして平穏だったのはここまでだったことに、うかつな俺は気付けなかった。うん、うかつ過ぎるだろう。俺の馬鹿。


 翌朝の食卓で両親から激賞された。うん、プレゼントした甲斐があったってものだ。喜んでくれて俺も嬉しいよ。

「マーク、私も新型ベッドが欲しいのだけど?」

 ドリス姉さんの言葉にほかの全員からも一斉に圧をかけられた。

「マーク、次は長男である俺の番だよな」

 アレクシス兄さんが言うと、ナッシュ兄さんが反論した。

「兄さん、長男とか別に関係ないんじゃないかな。なぁマーク、次は俺の分を頼むよ」

「皆さん、やはり次は婚約者である私の番ではないかと思うのですが…。ねぇマーク?」

 エリカが『分かってるだろうな、てめぇ』って感じでメンチを切ってきた。怖いってば。


 俺は冷や汗を流しながら、こう言うしかなかったよ。

可及的速(かきゅうてきすみ)やかに全員分を製作してもらえるよう、親方にお願いしてみます。それまでしばしお待ちください」

 両親に贈ったダブルベッドは1000万エンだったけど、シングルベッドは1台650万エンだ。それが4台で2600万エンだね。

 実は俺の貯金は1000万エンを支払ったのでほとんど無くなっている。なので、これは口先だけの約束というか、一時しのぎだ。まぁ、製作に時間のかかるベッドなので大丈夫だろう(適当)。

 てか、13歳の俺に言うの、おかしくない?なんか納得いかないんだけど…。


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