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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第1章 大陸暦1146年
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003 初生成①

 誕生日の夜、自室でさっそく【恩恵(ギフト)】を試してみた。

 武術系ならその武器を使用して練習すれば勝手に上達するらしい。魔法系では魔力の移動や魔法陣について、教師や魔導書から学ぶ必要があるとのこと。

 でも生産系は家族全員使い方が分からないそうで、メイドさんの中に一人だけ生産系【恩恵(ギフト)】を持つ人がいたので、この人に教えてもらうことになったのだ。

「マーク様、私の【恩恵(ギフト)】は【布生成】なのですが、このように小さな端切(はぎ)れを生成できます」

 メイドのターニャさんが右手を俺の前に出して、そこに布の端切れを生み出した。ちなみに、20代前半でなかなかの美人さん(かつ巨乳)なので見てるだけで癒される。

「すごい!()から(ゆう)が生まれたよ。エネルギー保存則はどうなってるの?」

 閉じた系の中で質量が増大するわけがないから、どこかで辻褄(つじつま)が合うようになっているのかな?

「なんとか保存というのが何なのか分かりませんが、とにかく私は布を生み出せる能力を女神様からいただきました」

「あ、ごめん。今のは忘れて。いったいどうやっているの?」

 俺はターニャさんから【恩恵(ギフト)】の使用法を教えてもらった。それによると、まず頭の中で自分の【恩恵(ギフト)】を思い浮かべると、そこにメニューが出るので一覧から機能を選択していくだけとのこと。ただし、習熟度が低いと出現するメニューの数も少なく、習熟度が上がるにつれて選択可能な一覧も増えていくそうだ。

 なお、ターニャさんはこの能力を破れた服のパッチ当てくらいにしか使っていないため、習熟度が低くあまり活用できていないそうだ。

 ちょっとRPGっぽいな。鍛冶や裁縫、細工のスキルを使うときみたいだ。


 俺はターニャさんの目の前で【車輪生成】の【恩恵(ギフト)】を思い浮かべてみた。すると、目の前にパソコンの画面のような四角いディスプレイが現れ、そこにメニューらしきものが表示された。

 なになに…、<車輪生成><車輪削除><終了>だって。

 <終了>を選ぶと目の前からディスプレイ画面が消えた。ふむ、指で触れる必要もなく思考操作できるようだ。超ハイテクじゃん。

 もう一度ディスプレイ画面を表示して、今度は<車輪生成>を選ぶ。するとさらにメニューが出てきた。

 <滑車><キャスター><馬車の車輪><自転車のタイヤ><バイクのタイヤ><自動車のタイヤ><バス・大型トラックのタイヤ><建設重機のタイヤ><飛行機のタイヤ>と並んでいる。ただし、<滑車>と<キャスター>と<馬車の車輪>のみ有効(選択可能)であり、残りはグレーになっていて選択できない。習熟度が上がることで選択できるものが増えていくってパターンかな?


 とりあえず<馬車の車輪>を選んでみた。

 <ホイール材質>の右側に[木製][鉄製]とある。<接地面>の右側に[木][鉄][ゴム]、さらにその下に<車輪サイズ><車輪幅>などの細かい数値設定項目が並んでいた。あと、オプションとして<車軸付き>というチェックボックスがある。ここにチェックを入れると車軸長という数値設定項目が現れた。

 適当に<ホイール材質>として[木製]を<接地面>として[ゴム]を選択し、<車輪サイズ>は20インチ(なぜかインチ単位だった)、<車輪幅>は2インチにしてみた。車軸オプションは無しで。

 設定後、一番下に表示されている【生成実行】を選択すると、目の前に直径約50センチメートルで車輪の幅が約5センチメートルの車輪が出現し、床に落下して大きな音を立てた。それとともに身体の中から何かがごっそりと抜け落ちるような倦怠感(けんたいかん)があふれてきた。

 ふらついた俺を慌てて抱きかかえてくれたターニャさんが謝罪してきた。

「マーク様、大丈夫ですか?申し訳ありません。お伝えするのを忘れておりましたが、【恩恵(ギフト)】を使用して何かを生み出すと身体から魔力が失われます。一度に多くの魔力を失うと気絶してしまいますのでご注意ください」

 先に言っておいてよ。でも現在俺の頭がターニャさんの巨乳に包み込まれているから許そう。うん、最高に柔らかい。

「ところで、これって何ですか?見たことがありませんが」

「ああ、これが車輪というものらしいね。使い方はおいおい調べていくとしよう」

 まぁ、知ってるんだけどね。でも一本生み出すだけでこんなに疲れるとは…。転生者の特殊能力で魔力無限大とか無いのかよ。ほんと使えない女神だな。


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