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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第3章 大陸暦1149年
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027 恩恵管理局

 俺が国王陛下にお願いした【恩恵(ギフト)】一覧閲覧権だけど、見た内容を他者に漏らさないことを条件に許可された。言ってみるもんだな。

 年が明けて2月に入ったある休日に王宮の恩恵(ギフト)管理局を訪れた俺は、局員の立会いのもと膨大な量の書類がファイリングされた書庫に入室した。

 ここには過去100年分の王都民の恩恵(ギフト)情報が収納されているらしい。一人一枚として約20万枚ってところかな(毎年2千人くらいが【恩恵(ギフト)】を受け取るらしいので)。

 毎日100枚を閲覧しても2000日(5年半)は必要だね。コンピュータ化されていて簡単に検索できれば探しやすいんだけど、もちろんそれは無理。

 なお、王都民以外の王国の民については、各領地の貴族家で管理されているそうだ。希少な【恩恵(ギフト)】については、王宮への報告義務があるみたいだけど。


 ところが、この20万枚の書類自体は閲覧できないと言われたよ。閲覧できるのは一覧表だけみたいだ。そう、恩恵(ギフト)管理局の人はとても勤勉で、【恩恵(ギフト)】の一覧表を作ってくれていたのだ。

 魔法系、武術系、生産系、商業系に分類されている一覧表はとても分かりやすい。俺の見たいのは生産系だけなので、それを見せてもらった。


 9割以上を占める『技能』の系統としては、人数の多い順に並べて、

【加工】

【木工】

【裁縫】

【鍛冶】

【陶芸】

【細工】

【調薬】

【精製】

などがある。

 この中でも【精製】だけはその実態が不明だそうだ。ふむ、何だろう?

 ちなみに【加工】は、様々な分野における加工技術が向上するものだそうで、要するに器用貧乏ってことらしい。プロフェッショナルにはなれないけど、どれもそこそこの腕には成れるわけだね。


 次に、とても希少な『生成』の系統だけど、希少な順に並べると、

【マジックバッグ生成】

【石油生成】

【磁石生成】

【バネ生成】

【ゴム生成】

【ガラス生成】

【紙生成】

などがあった。

 これ以外にもあったんだけど、俺の目についた興味深いものだけをピックアップした結果だ。そうそう、うちのメイドのターニャさんが持つ【布生成】も載っていたね。


 上記の詳細は以下の通り。

 【マジックバッグ生成】は、この王都でもこの国全体でも二人だけしかいないそうだ。その名の通り、マジックバッグを生成できる。

 【石油生成】は燃える水を生成できるだけで、希少なのにあまり役に立っていないとのこと。…って【精製】の『技能』と組み合わせれば、重油・軽油・灯油・ガソリンなどを精製できるんじゃないの?てか、重油専焼缶と蒸気エンジンを船に搭載すれば船舶分野の革命になるし、ガソリンエンジンを作ればすごいことになるよ。いや、灯油ストーブだけでも画期的だよな。

 【磁石生成】は方位磁針やバッグの留め具くらいにしか使われていないみたい。いやいや、磁石とコイルを組み合わせれば電気を作れるようになるじゃん。

 【バネ生成】も今一つ不人気というか、使い道が無い【恩恵(ギフト)】という扱いらしい。習熟度が上がれば馬車用のサスペンションに用いる『コイルスプリング』が作れそうだけどな。

 【ゴム生成】で生成されるゴム製品はなかなかの人気だ。てっきりゴムの木から採取してるんだとばかり思ってたよ。

 【ガラス生成】はとても人気のある【恩恵(ギフト)】で、就職先に困ることはまず無いそうだ。そう、アリスちゃんの【恩恵(ギフト)】だね。

 【紙生成】は『生成』系の中では最も人数が多く、活躍の場も広いらしい。うん、文明レベルに対して紙質がめちゃくちゃ優れているのに違和感を感じていたんだよな。これだったのか。


 ちなみに、俺の【車輪生成】が世界でただ一人だけの最も希少な【恩恵(ギフト)】として新たに記載されていた。これも最初はよく分からない【恩恵(ギフト)】という扱いをされていたそうなんだけど、リヤカーや馬車が登場して『車輪』の認知度が高まったため、ようやくどういうものなのかが分かったそうだ。まぁ【鍛冶】や【木工】で同じようなものが作れるため、そこまでの希少性は無いという判断らしいけどね。


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