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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第2章 大陸暦1148年
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026 馬車の献上

 現時点で王都を走っている馬車は、我が家(カーチス家)のものとエリザベス様のところ(ジョンソン家)のものだけだ。

 当然これを見た王室や高位貴族(公爵や侯爵など)なんかも馬車を欲しがっているらしい。大規模な商会なんかもね。

 リヤカーの車輪を作ろうとしていた工房なんかが馬車製造にも参入してきているみたいで、王都の経済は活況を呈している。まぁ真円度の劣る車輪にベアリング無しの車軸だと、どうしてもうちの製品の劣化版になってしまうんだけど、開発や製造の経験を積むことが重要だからね。参入業者が増えるのは良いことだ、うん。

 馬車製造のコーディネイトに関しては、俺はもう(おこな)っていないんだけど、馬車用の車輪の発注があればそれには(こた)えている。つまり、俺が今提供しているのは、釣瓶(つるべ)用の滑車、配膳ワゴン用のキャスター、リヤカー用の車輪に、馬車用の車輪を加えて4種類ってことになるね。

 もちろん、車輪サイズや材質などの様々な要望には応えるようにしている。というか、相変わらず忙しいよ。忙しすぎるよ。毎日、魔力が枯渇しているよ、ふぅー。


 ちなみに、11月初旬にジョンソン家用の馬車を納品してからというもの、エリザベス様の技術学校への登下校にはこの馬車を使うようになったようだ。

 でも馬車のサイズが大きいので、ビルやアンネット嬢、俺とアリスちゃんを途中で拾ってくれるのがいつものパターンになっている。下校時もそうだ。

 年末の寒い季節になってきたので、めちゃくちゃありがたい。馬車の中に暖房は無いけど、風があたらないだけマシだね。御者のダンやマッシュは御者台で寒そうだけど。


 なお、うちの馬車はどうしたのか?

 はい、男爵家風情(ふぜい)が貴重な馬車を持っているのも悪目立ちするので、12月初旬に王室に献上しました。中古品だけどオーバーホールして、きれいに清掃もして新品同様にしたよ。 これにより、父上が国王陛下から直々(じきじき)にお褒めのお言葉を頂いたそうだ。うん、良かった。で、褒美として何を望むか?と聞かれた父上は『愚息と相談の上、後日返答申し上げます』と答えたそうだ。もちろん、愚息とは俺のことだね。

 これを聞いた俺は『王都民全ての【恩恵(ギフト)】一覧を閲覧できる権利』を望んだよ。王宮にあるのか教会にあるのかは分からないけど、必ずリストがあるはずだ。

 いやあ、なにしろ『車輪の再発明をしたくない』からね。実は優秀な【恩恵(ギフト)】なのに活用方法が不明な能力を持っている人がいたら、俺のほうで把握しておきたいわけだよ。これもまた、前世の記憶を持つ転生者の義務じゃないかな?

 ただし、個人情報だから閲覧を断られる可能性もあるけどね。


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