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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第2章 大陸暦1148年
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023 王都への帰路

 観光の翌日、王都へ向けて屋敷を出発した。もともと4泊5日の日程だったので、予定通りだ。

 なお、街の中を走るときのような細かい操作が必要な個所を除き、復路は基本的に護衛であるダンとマッシュに御者を任せた。

 車内空間の快適性って俺自身は検証してないからね。ずっと外だったし…。

 車内は窓から風が入るとはいえ、やはり外よりも少し暑かった。でも、直射日光を浴びないだけ車内のほうがマシかな。

 そういえば、クーラーって作れないのかな?俺自身はクーラーの仕組みって全く知らないんだけど、【恩恵(ギフト)】で【クーラー生成】とか【氷生成】とか無いものかね?

 あと、冬場のために暖房器具が必要だな。現状の家庭用暖房器具って薪ストーブしかないんだけど、馬車の中では使いにくいよね。電気は無いし、うーん、どうしよう?

 あと、【恩恵(ギフト)】の中に【バネ生成】とか無いかな?【鍛冶】でコイルスプリングを作るのは、かなり大変だと思う(前世の知識によると)。

 とにかく、現在存在する【恩恵(ギフト)】の一覧があるなら確認したいよ。既存の一流品があるのに、わざわざ自前で三流品を作ることはないからね。余談だが、これこそが『車輪の再発明をしない』という格言なんだけどね。


「おい、マーク、おいってば」

「はっ、ごめんごめん呼んだ?」

「会話をふっても何も反応が無いからびっくりしたよ。何か考え事かい?」

 ビルに何度も呼ばれていたようだ。

「ああ、車内の改善点をまとめていたんだよ。やはり実際に乗って体験すると改善すべき点がたくさん見つかるね」

「お前すごいな。僕は快適という言葉しかないけどな」

 それは、やはり前世の科学文明の知識があるからだろうね。

「マークは本当に優秀ですわね。エリカさんが少し羨ましいですわ」

 エリザベス様がデレた?ツンだけじゃなかったんだね。

「わ、私もそう思います。エリカ様、代わってください」

 アリスちゃんはもともと俺への好意を前面に押し出してきていたから、この反応はまぁ分かる。

「代わって頂けるのなら私も立候補したいです」

 え?アンネット嬢も?モテ期の到来か?いったいどういうことだ?

 ビルからの『リア充死ね』波動もビンビン感じる。視線が痛いよ。


「もう、皆さん、冗談もほどほどにしてくださいな。マークとの婚約を解消したりはしませんわ」

 あれ?エリカさん。『仮の婚約』なんだから、成人したら解消する予定だよ。皆には言えないけど。

 一連の会話を聞いていたのだろう、御者台からダンが車内に向けて言った。

「マーク坊ちゃん、モテモテだな。まじで(ねた)ましいぜ」

 いやいや子供のときの恋心なんて、おままごとみたいなものだろう。俺としては5年後くらいにモテ期が来て欲しいよ。


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