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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第2章 大陸暦1148年
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022 観光

 幸い馬には被害が無かった。もう少しエリカの援護が遅かったらと思うとぞっとするけどな。

 そのあとは何事もなく、ジョンソン伯爵領にある伯爵家のお屋敷へと到着した。屋敷の執事さんやメイドさん達も馬車に興味津々で、ダンやマッシュが質問攻めにあっていたよ。頑張ってね(他人事(ひとごと))。

 屋敷はかなり大きくて、客室についても俺達全員が一人一室を割り当ててもらってもまだ余っていた。アリスちゃんはめちゃくちゃ恐縮していたけどね。そして、俺と同室にしてくれと頼んでいたようだが、エリカに頭をはたかれていた。


 この屋敷にはお偉いさんはいないようで、屋敷を切り盛りしているのは執事さんのようだ。

 なので特に緊張することもなく、全員で談笑しながら食堂で食事をしたり、応接室で(くつろ)ぐことができたよ。

 エリザベス様の雰囲気もさらに柔らかくなっているようだ。うん、ホームだからね。

「さて明日の予定だけど、観光名所(めぐ)りで良いのかしら?」

「もちろんだ。どんなところがあるのか楽しみだな」

 俺が答えたけど、ほかの皆も異論はないようだった。


 そして翌日、夏の日差しが照りつける中、馬車の御者台にいる俺は、車内からのナビゲートを受けつつ馬車を走らせた。(あち)ぃー。

 なお、今日は護衛は不要ということで、ダンとマッシュはお休みだ。もしものときでも、俺とエリカでなんとかなるだろう。

 目的地である滝は観光地として整備されているようで、馬で訪れる人のために道の整備に加え厩舎も設置されていた。

 馬車を空き地に停めてから馬の世話を馬丁に任せ、俺達は徒歩で滝の見える位置に移動した。うーん、すごい。前世の華厳(けごん)の滝と同じくらいの高さだろうか。懐かしく感じていると、隣でエリカやアリスちゃんが目を輝かせていた。

「ほえぇー、すごいですねー。感動です」

 アリスちゃんは『すごい』を連発しているんだけど、エリカの感動は少しベクトルが違っていた。

「ここでは私の魔法が使えないわ。空間全てが浄化されているもの。こんなところもあるのね」

 どうやら死霊系の材料が存在しないようです。てか、ここ以外は存在するんだね。


 次に(おとず)れたのは大河とそこにかかる大きな橋だ。

 対岸が見えないくらいの川幅で、それにもかかわらず馬車が通れるような橋が対岸までかかっているのだ。見事というほかない。中国にある10km以上ある橋のような感じかな。前世では実際に見たことは無いけど。

 ここも観光地として有名らしく、観光客の姿が多く見られた。


 最後に広大な花畑がある自然公園を訪れた。ここでお弁当を広げてピクニックの予定だ。

 お弁当はエリザベス様のマジックバッグに入っているので、作りたてでまだ温かいはず。俺も欲しいな、マジックバッグ。

「観光地を馬で回るとかなり疲れるんだけど、今回は本当に楽だわ。アンネットももう慣れたみたいね」

 エリザベス様の言う通り、初日だけ乗り物酔いしていたアンネット嬢もすっかり馬車に慣れたようで酔わなくなったのだ。良かった。

「マークのおかげです。常に窓の外の遠くを見るようにしていたら、気分が悪くなることもありませんでした」

 まぁ、エリザベス様の【鍛冶】でコイルスプリングを作ってもらって、さらに四輪独立懸架(けんか)にすればさらに揺れが少なく快適になると思うよ。将来の課題だけどね。


 それにしても良いところだな。誘ってくれたエリザベス様には感謝だよ。

 それは俺だけでなく全員が感じていたようで、エリザベス株が急騰したね。ストップ高だよ。


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