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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第2章 大陸暦1148年
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017 仲良しグループ

 俺とアリスちゃんが屋敷に帰り着いたとき、エリカはとっくに帰宅していた。

「エリカ、魔法学校はどうだった?大丈夫だったかい?」

 おそらく【死霊魔法】の【恩恵(ギフト)】を持っていることは知られていないと思うけど、万が一ということもある。

「もちろん大丈夫よ。クラスの自己紹介でも【死霊魔法】の【恩恵(ギフト)】持ちであることを宣言したわ。引いている子もいたけど、そんな子とは友達になる必要もないしね」

 うーん、エリカも心が強くなったものだ。もう俺が手助けすることはないかもしれないな。

「それよりあんたのほうはどうだったのよ。女の子の友達なんか作ってないでしょうね?」

「あ、あー、ビルって男の子と友達になったよ。あと、アリスちゃんがアンネットって女の子と友達になったかな」

「なんか怪しいわね。そのアンネットさんは可愛い子なんでしょう?」

「ああ、アーレイバーク男爵家のご令嬢で可愛いと思うよ」

「あんたは私の婚約者なんですからね。浮気は許さないんだから」

 いや、エリカさんや、浮気って…。俺達まだ子供だよ。まぁ嫉妬してくれるのは嬉しいけどね。


 夕食の席で家族からも学校のことを色々と質問された。技術学校というのが物珍しいからだろう。他家との付き合いもあるだろうし、ジョンソン伯爵家、リチャードソン子爵家、アーレイバーク男爵家の令息、令嬢がいたことを報告しておいた。

 ビル・リチャードソンやアンネット・アーレイバークと友達になったことも。

 そして驚いたことに、リチャードソン子爵と父上は職場の同僚で友人関係だった。世間って、案外狭いな。


 それから二週間が経過し、学校生活にも慣れてきた。

 俺はビルと、アリスちゃんはアンネット嬢と仲良しでよく四人で一緒に行動している。エリザベス様はちょっと浮いているな。俺としては仲良くしたいんだけど、なんか孤高のご令嬢って感じで、高飛車な態度が改まらないのがボッチ状態を作り出しているのだ。そのくせ俺達を横目でチラチラ見てくるので、気にはしているんだよね。

 そんなとき、グループワークを行うために五人でグループを組むように先生が言った。エリザベス様をチラ見すると絶望の表情を浮かべている。

 あちこちで勧誘や話し合いが行われている中、席に座ったままのエリザベス様…。俺はエリザベス様の目の前に立って勧誘を試みた。

「エリザベス様、俺達のグループに入りませんか?」

 あ、言い方間違えたかも。『入って頂けませんか』って言うべきだったか…。

 エリザベス様は一瞬嬉しそうな表情になったんだけど、返ってきたのは拒絶の言葉だった。

「この無礼者。(わたくし)の許しも無く話しかけてくるとは…。ええ、お断りですわ」

 聞いていたビルの顔が憮然としたものになり、アンネット嬢やアリスちゃんも眉をひそめた。うーん、何度も言うようだが俺はエリカで慣れているから何とも思わない。ここは強引にでも誘ってあげるべきだろう。

「そうおっしゃらず。ぜひグループに入って頂きたいのですよ。学業優秀なエリザベス様に」

「え?そ、そう?そこまで言うなら入ってあげてもよろしくてよ」

 くっ、ちょろいぜ。あとでエリザベス様以外のメンバーにはフォローしておかないとな。この子って本質的には良い子だということを。


「グループが決まったらリーダーを決めて俺に報告しろ」

 担任のハリス先生の言葉に俺達は全員で話し合った。

「僕はマークがふさわしいと思うな」

「わ、私も」

「ええ、マーク様が良いと思います」

 順にビル、アンネット嬢、アリスちゃんの発言だ。いや、君らエリザベス様を()せよ。ほらぁ、頬を(ふく)らませてるじゃん、って可愛いな。

「俺はエリザベス様が良いですね。もちろん俺が補佐、というかお助けしますよ」

 ちょっと嬉しそうな顔になったエリザベス様だったが、リーダー自体はやりたくないようだ。

「そのような雑事にこの(わたくし)の手を(わずら)わせるのは不敬ですよ。リーダーは、ま、マークがおやりなさい」

 俺の名前を呼ぶときにちょっと赤くなったように感じたけど気のせいかな?

 むー、前世でもクラス委員や班長なんかに推薦されることが多かった俺だが、今世でも同じかよ。ま、仕方ないか。

「分かったよ。では俺がリーダーということで先生に届け出てくる」

 敬語じゃなかったことにエリザベス様が怒り出すかな?と思ったけど、特に何も言われなかった。これからはエリザベス様も含めた五人の仲良しグループで行動しよう。エリザベス様って昼食の時間もボッチだったから、気になっていたんだよね。あ、先生が五人グループを作れって言ったのは、もしかしてこの状況にするためかな?


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