160 エピローグ
俺は今、教会に来ている。もちろん、いつもの大聖堂じゃなく、王都のはずれにある小さな教会だ。身元がばれないようにね。
『マーク、ついにハッピーエンドですね』
いやいや、人生が終わったみたいに言わないでくださいよ。ここから新たな人生が始まるんですから。
『それにしてもあなたはよく働きましたよ。私の期待以上の成果です。そんなあなたに朗報です!今ならなんと私の眷属になれるという特典がっ!どうですか?期間限定特典ですよ。あなたが「はい」というだけで、「女神の使徒」から「女神の眷属」へとレベルアップ!さぁ、今すぐ「はい」と答えなさい』
怪しい宗教の勧誘とか、テレビショッピングみたいだな。怪しすぎるだろ…。
ああ、その前に眷属って何ですか?
『神の使い、つまり神使であり、神の一柱でもあります。眷属神ってやつですね。お稲荷様に仕える狐みたいな感じ?要するに、神にならないかって勧誘です』
ええ?嫌ですよ。お断りします。神になんてなりたくありませんから。
『神になれば、日本のマンガ読み放題、アニメ見放題ですよ。寿命も無限だし…』
それはかなり魅力的な話ですが、やはり人間としてエリカやアリス、リズ達と共に生きたいと思います。俺だけ不老不死なんかになったらダメでしょう。
あと、著作権的にもダメでしょう。金払えや、ゴルァ。
『まぁ、そう言うだろうとは思ってましたけどね。ワンチャンいけるかな?って思っただけなので。でも、生きているうちは頻繁に教会に来てくださいよ。まじでお願いね』
はぁ、まぁそのくらいは…。でも、いきなり「新たな使命を与える」…なんて言い出さないでくださいね。頼みますよ、ほんと。
あと、著作権の話は無視ですか…。
『あなたは死ぬまで使徒であることからは逃れられないのですよ。なので、先々のことは分かりません。ほんの数年後に新たなストーリーが始まるかも…』
いや、本当にもうお腹いっぱいですから、勘弁してください。いい加減、平穏な日々を送らせてくださいよ。
『ふっふっふ、眷属の打診を断ったあなたには、腹いせにさらなる試練を与えないとね』
いや、腹いせとか言っちゃってるじゃん。邪神だよ、この人。あ、人じゃなかった。
『まぁ、冗談ですけどね。とにかく、これで一巻の終わりというわけです』
ちょっと待て。その日本語の使い方はおかしい。
一巻の終わりって悲劇的な結末なんかに使う言い方じゃん。ハッピーエンドちゃうんかい!
これにて完結です。
大陸を馬車で巡る話、他国での新生活など、続けようと思えばまだまだ続けられますけど、私が飽きました(笑)
いや、飽きたと言うのは語弊があるな。仕事上の問題と、また新しいシリーズを書き始めたいと思ったからです。
あと、できましたら評価して頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願い申し上げます。




