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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第8章 大陸暦1154年
143/160

143 魔物暴走③

「サブロウ君、いやマーク殿か…。君達のパーティーも参加するつもりかね?」

 『白狼』リーダーのイチロウさんが俺に質問した。

「はい。(ぬし)への対抗手段は『吹雪隊』だけなので、俺達は魔法師の皆さんを命に代えても守り抜くつもりです」

「そうか…。分かった。俺もパーティーとしての参加判断はできん。各自で参加、不参加を決めてくれ。俺は参加するがな」

 ありがとうございます、イチロウさん。さらに、同じ『白狼』のゴロウさんも続いた。

「リーダー、エマちゃん、仕方ないから俺も参加してやるよ。ボタンちゃんやキクちゃんのような子供まで参加するってぇのに、大人が尻込みしてられねぇよな」

 これで『白狼』は全員参加が決まった。本当に感謝しかない。


 ただ、魔法師の中には不参加を表明する者、参加したいけどパーティーメンバーの反対(または不参加)にあって参加を取りやめる者などが出たため、最終的には火魔法師2名、水魔法師1名、風魔法師2名になってしまった。9人中5人なら上出来だし、各属性が揃っているので、問題なく『吹雪』は出せるだろう。

 魔法師の護衛としては、パーティー全員で参加するのが『白狼』と俺達『めがみん』、そして1級冒険者がリーダーを務める『銀翼』で、その他は任意の参加になった。総勢18名の護衛部隊ということになる。

 つまり、魔法師5名に護衛18名という急造大規模パーティーだな。

 パーティーの名称は『勇者部隊』になった。四郎さんにあやかっているわけだね。そして、その内訳は魔法師5名の『吹雪(ふぶき)隊』と偵察担当の『斥候(せっこう)隊』6名、護衛担当の『直掩(ちょくえん)隊』12名ということになった。

 ちなみに、俺とリズは『斥候隊』、エリカとアリスは『直掩隊』だ。余談だが、この時点ですでに偽名ではなく、本名を明かしている。

 全体を統括する部隊長は、1級冒険者であり『銀翼』のリーダーでもあるノブタカさん、副部隊長が『白狼』リーダーのイチロウさんに決まった。この二人はともに『直掩隊』だ。

 『吹雪隊』の隊長は『白狼』のエマさんであるのは当然として、『斥候隊』の隊長は『白狼』のゴロウさんに決まったよ。俺とリズにとっては知り合いが隊長なのは気が楽だね。


 そして、意外なことにここに主席参謀のオオムラ大佐も参加することになった。

「軍の人間が誰一人参加しないというのはまずいだろう。魔物暴走(スタンピード)を引き起こした責任も取らねばならないしな」

 軍司令官のアリマ中将やその他の参謀達は翻意を促したみたいだけど、オオムラ大佐の決意は固かった。

 で、結局オオムラ大佐は『斥候隊』と行動を共にすることになったよ。


「では取り急ぎ『斥候隊』は出発する。できるだけ早く『吹雪隊』に正確な情報を届けないといけないからな」

 ゴロウ隊長の言葉に従い、俺達は20里(80km)先の(ぬし)を目指し出発した。

 いくら燃え残りだとしても、まだ木々が残っているため、未啓開の密林が進みにくいのは確かだ。なので、予定としては『吹雪隊』と『直掩隊』は一日に2里(8km)を進み、10日をかけて(ぬし)のもとへ到達する。でも俺達『斥候隊』は一日に5里(20km)を進み、4日で(ぬし)を視界に納める予定だ。

 そして、偵察後、引き返して『吹雪隊』や『直掩隊』と合流することになる。

 『斥候隊』の任務はなかなか過酷だけど、仕方ないね。10歳のリズの体力がちょっと心配だ。あと、『直掩隊』にいるエリカの体力も…。まぁ『直掩隊』のほうは、一日2里(8km)だから大丈夫かな…。


 なお、連合軍本体はアリマ中将に率いられて、可及的速やかにスターディアに帰還することになる。今のところ第一波と第二波の魔物が南下しているわけだけど、もしも魔物達に追いつくことができれば、できるだけその数を減らすように討伐する予定だ。

 追いつければ良いけど、おそらく無理だろうな。鉄筋コンクリート製の漏斗壁に期待するしかない。


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