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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第2章 大陸暦1148年
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014 入学直前の状況②

 アリスちゃんの【恩恵(ギフト)】である【ガラス生成】はどうなっているかというと、<ガラス玉>に加えて<板ガラス>も生成できるようになったみたい。

 さらに<ガラス玉>ではサイズ指定とは別にオプションとして色を指定できるようになったそうだ。おお、それって色付きで生成したあと、ブリリアントカットなんかになるように磨けば偽の宝石っぽいものが作れそうだね。

 現状、<板ガラス>のオプションはまだ何も表示されていないみたいだけど、鋼線(こうせん)の入った(あみ)入りガラスとか防弾ガラスとか作れたら良いよね。夢が広がる。


 あとはエリカだけど【死霊魔法】をほとんどマスターしてしまったそうだ。もちろん実践がなかなかできない魔法なので、理論的な部分のみの習得みたいだけど。つまり、魔法学校で3年かけて学ぶことを入学前の1年半で全て習得してしまった天才ってことになる。まじかよ。

 幼馴染で(建前とはいえ)婚約者であるエリカが天才的な魔法師になって、王国の歴史に残るような偉人になるかもしれない。かたや俺はいまだに<自転車の車輪>も生成できない。

 なんだか差を付けられた気分だ。やはりエリカは俺にはもったいないくらいの才媛なのかな。てか、エリカの実家のアトキンス家が、いつ手の平を返して俺との婚約を解消して優秀なエリカにすり寄ってくるのか分かったもんじゃない。いや、それはもはや時間の問題かもしれない。もちろん、実家の家族と和解できるのは喜ばしいことだけどね。

「私の家族はカーチス家の皆さんよ。アトキンス家なんて知らないわ。もしも婚約を解消するから実家に戻ってこいなんて言われたら、家出してやるから」

「うーん、まあエリカの好きにすれば良いよ。何があろうと俺達一家はエリカの味方だからね」

 こうは言ったものの、できれば魔法学校の卒業まで穏便にやり過ごしたいところだ。そのためにはエリカの魔法師としての優秀さがアトキンス家に知られないようにしないとね。成人さえしてしまえば、親の意思よりも本人の意思のほうが優先されるらしいので…(王国法による規定)。


 ちなみに、俺は滑車やキャスター、リヤカーの車輪を発明した人間として名声を博しているのかというと、そうでもない。俺の名前が表に出ないように、大工さんや鍛冶屋さんにお願いしているからだ。

 だって女神から貰った単なる【恩恵(ギフト)】だし、俺自身が優秀なわけじゃないからね。てか、似たようなものを作ろうと多くの職人達が試行錯誤しているみたいなんだけど、なかなか真円の車輪を作るのは難しいようだ。まぁ見本となる物(俺が生成した物)はあるんだから、あとは精度を上げていくだけだろう。

 なお、他人の発明を勝手に真似して良いのかというと、この国にはまだ特許制度が存在しないので全く問題ない。あと、車輪が普及すると俺の将来の収入に影響するのではという懸念についても大丈夫だろう。【車輪生成】の習熟度が上がれば、もっと素晴らしい車輪(各種のタイヤ)が作れるようになるはずだからね。


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