121 隊商
「我がフジヤマ商会はこの国の首都に拠点を置く商会なんですが、ここマツシマとの間に物資輸送の定期路線を持っております。今回、冒険者ギルドに護衛依頼を行ったのは、うちの商会の人間だけでは道中の安全が確保できないと判断したからなのです。それを踏まえて同行したいとおっしゃるのなら、別にお止め致しません。いかがなさいますか?」
隊商のリーダーさんが俺達に最終確認を行ってきた。
「脅威は魔物ですか?盗賊ですか?」
「主に魔物ですね。最近、脅威度の高い魔物が未開拓領域以外でも頻繁に出現していることが報告されております。隣国ではクレイジーベアなどという脅威度1級レベルの魔物が出現したそうです。まぁ、隊商の中の商会員によって退治されたそうですが…」
うん?なんか聞いたことがあるような話だな。俺達のことじゃないよね?
「足手まといにはなりませんので、同行させていただきたくお願い申し上げます」
ここで『白狼』のリーダーであるイチロウさんが俺に言った。
「冒険者が敬語なんか使うもんじゃないぞ。お前達は冒険者登録したばかりの新人だと受付のカスミから聞いている。この道中で俺達『白狼』から冒険者のふるまいを学んでくれ」
「はい、分かりました。どうぞよろしくお願いします」
「敬語!」
「分かったよ。よろしくな」
「それで良い」
なんとも俺の『良い人センサー』がビンビンに反応する人だ。この人がパーティーリーダーならあまり気を遣わなくても良いかもしれない。
「俺は剣士だが、こっちのゴロウは弓矢を使う。あと、この国の出身ではないが、こいつは魔法師のエマだ。よろしくな」
「ゴロウだ。よろしく。中衛よりの後衛って感じだな。あと、エマは純粋な後衛ってことになる」
「エマよ。よろしくね、イケメンさん。歳はいくつ?ジュルリ…」
おっと、女神っぽい残念な性癖を持っていそうな人だな。大丈夫か?
「エマ、引かれてるぞ。自重しろよ」
イチロウさんに注意されるエマさんだった。
今度はこっちの番だな。
「サブロウだ。この三人とパーティーを組んでいる。俺とこの子キクが剣士で、こっちのボタンが徒手格闘、アヤメが魔法師で後方支援だな。あ、アヤメは子供の頃、外国に住んでいたので魔法の【恩恵】を持ってるんだ」
「アヤメよ。死霊魔法師なの。よろしくね」
「ボタンです。素手で戦います。よろしくです」
「キクだよ。おいらはサブロウ兄ちゃんの弟子なんだ。よろしくね」
『白狼』メンバーが俺達を見る目は優しげで、特にキク(つまりは、リズ)の自己紹介には目を細めて微笑んでいたよ。うん、ほっこりだね。
「アヤメだけは戦闘力として期待できそうだな。他のやつはあまり無理するんじゃないぞ」
「ああ、ありがとう。自分の身くらいは自分で守ることにするよ」
こうして、俺達は首都ロデアへ向かう隊商に受け入れられた。何事も無ければ約一か月で到達できるだろう。




