120 冒険者ギルド
次の日、俺達は四人揃って冒険者ギルドの建物を訪れた。
何と言うか、ちょっとワクワクするよね。両開きのドアは開け放たれていて、冒険者らしき人達が出たり入ったりしている。
俺を先頭にエリカ、リズ、アリスの並びで建物の中に入り、奥にある受付へと向かった。ここは異世界モノの定番、俺達に絡んでくる先輩冒険者っているかな?
実は少しだけ楽しみにしていたんだけど、受付窓口に並んでいても誰も絡んでくる様子が無い。俺以外は美少女揃いだってのに…。いや、現実はそんなもんか。
「はい、次の方どうぞ」
俺達の順番が来たので、受付のお姉さんに聞いてみた。
「冒険者になりたいんですが、どうすれば良いですか?あ、後ろの三人も同じです」
「冒険者登録ですね。身分証さえあれば誰でも登録できますよ。ただし、命の危険がありますけど、そこは自己責任ですのでご注意ください」
「では、お願いします」
俺は後ろの三人の身分証を集めて、自分の分と一緒に受付に提出した。
「サブロウさん、アヤメさん、ボタンさん、キクさんですね。皆さんの冒険者ランクは6級から始まります。功績を積み上げれば5級、4級と上がっていき、最高ランクは1級になります。ぜひ1級を目指して頑張ってください」
「ありがとうございます。あ、ちなみに俺達四人はグループで行動するのですが、パーティー登録とかって必要ですか?」
「そうですね。強制ではありませんが、登録しておくとパーティーとしての評価が個人のランクアップに繋がりますので、登録しておくことをお勧めしますよ」
「では、登録します。パーティー名は『めがみん』でお願いします。あと、俺がリーダーを務めます」
これは昨夜、皆で話し合って決めた名前だ。『女神の使徒』にしようという案もあったけど、この国で女神ってのは邪教の神だからやめておいた。
「四人分の冒険者登録費用が4000モン、パーティー登録費用が1000モンで総額5000モンになります」
5万エンってことか、結構高いな。まぁ、別に良いけど。
料金を払ってから四人分のギルドカードを受け取った。身分証と同じく、前世の運転免許証くらいの大きさの金属プレートだった。
「再発行には別途料金が発生しますので、無くさないようにしてくださいね」
にっこり笑って忠告してくれた20代前半の美人のお姉さんにちょっと見惚れてしまった。どの世界でも受付の女性はだいたい美人だよね。
「ちなみに、首都ロデアへ行くような護衛依頼はありませんかね?」
「うーん、あると言えばあるのですが、ほとんどが3級以上の冒険者限定なので、難しいかと。まずは地道にランクを上げることを考えてみては?」
「だったら誰かが受注した護衛依頼に便乗して、同行させてもらうってのはできませんかね?もちろん報酬はいりませんので…」
「そうですね。もしも依頼者と依頼を受けた冒険者の双方が納得した場合は、可能かもしれません。無報酬で良ければおそらく許可をもらえるとは思いますが…」
俺は今泊まっている宿屋の名前を伝えて、一週間ほど待機することにした。その期間内に首都ロデアへの護衛依頼があり、俺達の同行を許可してくれるパーティーが現れれば良いんだけどな。最悪、勝手に俺達だけで出立することになるけどね(冒険者登録した理由は、単に目立たないためだし…)。
それから三日後、冒険者ギルドの使いが宿屋に来て、俺達の希望が叶ったことを伝えられた。明日の7時に出発するらしい。
護衛対象は馬10頭の隊商、護衛を受注したのは2級一人(男性・リーダー)と3級二人(男性と女性)の冒険者パーティー(パーティー名は『白狼』)だった。もちろん、この三人は隊商で馬の手綱をとる人と同様、徒歩移動だ。
んで、そこに俺達四人が加わるわけだが、エリカだけが馬に乗って、残り三人は徒歩ってことになるね。
『白狼』は、穏やかそうな中年男性と20代後半くらいの男性と女性がメンバーで、女性のほうは火の魔法師だった。顔合わせでの第一印象は良かったんだけど、実際はどうだろうね。まぁ、油断はしないでおこう。




