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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第7章 大陸暦1153年
104/160

104 同行決定

 宿屋に戻った俺はエリカの部屋とアリスの部屋を順に訪ねたけど、ノックには何の応答も無かった。フロントの人に聞いたら、すでにここには戻ってきているって言ってたけどな。

 ああ、お風呂かもしれない。

 この宿の大浴場で女性同士、キャッキャウフフしているのかも。

 俺がしばらく自室で待っていると、部屋の外からドアがノックされた。

「マーク、帰ってる?」

 ドアを開けるとエリカとアリス、リズの三人が立っていた。俺は部屋の中に招き入れ、応接セットのほうを(すす)めた。さすがに高い宿屋だけあって、部屋の中にはベッドのほかに応接セットもあるのだ。

 てか、やはりお風呂だったのか、皆からほんのり良い匂いが(ただよ)ってきているし、なんだかちょっと色っぽくなっている。

 そして、驚いたのがリズだ。女神は可愛いと言ってたけど、少年のような格好をしていたときにはそうでもなかった。ところが、風呂上りの彼女は確かに可愛かったよ。いわゆる磨けば光るってやつかもしれない。

「マーク兄ちゃん、あまりじろじろ見ないで欲しいんだけど」

 おっと、少し凝視しすぎたか。失敬失敬。

「変態ね」

「最低です」

 えええ?最近、エリカとアリスの俺への評価が酷い。(あせ)って言い訳をする俺を見て、リズが面白そうに笑い始めた。うん、喜んでもらえたようでなによりです。

 どうもこのところの俺は二枚目じゃなく、三枚目キャラになっている気がするんだけど、なぜだろう?残念イケメンってやつかな?…って自分でイケメン言うなや(ノリツッコミ)。


「えっと、俺は小さい女の子が好きな変態じゃないからね。とにかく、これからのことを話し合いたいんだけど…」

 俺が議題として出したのは、リズの今後についてだ。

「え?当然、旅に連れて行くわよ」

「そうですよ、マーク。そのための買い物もしてきたよ」

 あれ?すでに旅に連れていくのは決定事項みたいになってるけど、俺の意見は?

「リズの鑑定はすごく便利なんだよ。観光客だと思って商品の値段を高く吹っ掛けようとした店なんか、すぐに分かっちゃったからね」

 アリスの言葉に10歳のときの記憶が甦る。【鑑定】、俺も欲しかったよ。

 てか、そんなことよりリズを同行させるかどうかだよ。リズの希望はどうなんだろう?

「リズ自身はどうなんだい?俺達と一緒に旅に出たいかい?言っておくけど危険な旅になるかもしれないよ」

「あの、もし迷惑じゃなかったら、おいら一緒に行きたいな。エリカ姉ちゃんとアリス姉ちゃんは優しくて好きだし、おいらも皆の役に立ってみせるからさ」

 俺は腕組みして、少しの時間黙考した。本当に危険なんだけどな…。どうするよ。

「うーん、分かったよ。リズのことは絶対に俺が守るから。その代わり、リズも【鑑定】の能力で俺達を助けてくれよ」

「うん、分かった!」

 リズが満面の笑顔で答えたのを見て、ちょっとほっこりした。


「あ、でも次の目的地であるテトレドニア公国へは徒歩移動になるよ。一か月くらい歩き続けることになるけど、大丈夫かな?」

「こう見えて体力はあるんだよ、おいら。絶対に迷惑はかけないから」

 ここでエリカが(あせ)りだした。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って、マーク。そんな強行軍、私は無理よ」

「ああ、エリカだけには馬を用意してもらってるよ。アリスには申し訳ないけど、俺と一緒に歩いてもらうことになるんだけど、良いかな?」

「もちろん!マークと並んで歩くよ。リズも一緒に歩こうね」

「うん!アリス姉ちゃん」

 エリカが少し寂しそうだけど、馬車が用意できなかったんだから仕方ない。あと、リズ一人くらいなら俺がおぶってあげても良いかな。軽そうだし。


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